第2話
騎馬石像に襲われると言うトラブルがありながらも無事にモンドーに到着した。
チャップ雑芸団のみんなは騎馬石像の事は気付いて無いみたいだから黙っておいた。
それにしても、あいつはなんだったのかな?
なかなかの強敵だったね。
戦いにおいてファーストコンタクトが非常に重要だ。
いかに自分に有利な条件で戦えるか。
これによって8割勝負が決まると言っても過言では無い。
そう言う意味では騎馬石像は完璧だった
ガーゴイルと同じように魔坑石によって魔力と物理に耐性を持ち。
更に魔坑石の特性に甘える事無く魔力阻害までしてくる徹底よう。
しかも目隠しも兼ねていて、自分が魔坑石の石像だと悟られないようにしていた。
まるで前回のガーゴイルの敗北を見ていたかのようだ。
いつぞやの一発芸人、じゃなかった暗殺者とは訳が違う。
そう考えると今回は引き分けに持ち込めて御の字だ。
もしかしたらガーゴイルのお友達で敵討ちにでも来たのかな?
それならまた相見える事があるだろう。
その時を楽しみに待つとしよう。
とりあえず僕は今この町の素晴らしさを満喫するのに忙しい。
チャップはいつものご挨拶。
他のみんなは相変わらず自由に町の散策へと出掛けて行った。
さて僕も行くとしよう。
なんたって密入国しかした事無いからね。
楽しみだ。
やっぱりこの町のデザインは素晴らしいね。
更にもうすぐ終戦記念式典だけあって賑わっている。
その式典で公演する為にチャップ雑芸団は来たらしい。
でも、僕はもっとシックな感じが好き。
だからあえて人気の無い路地裏を歩いて行く。
この落ちついた感じが凄くいいね。
あの家の壁の造りとかセンスあるね。
丁度エルフの青年が出て来た角の所。
「あっ!見つけた!」
青年がこっちを見て嬉しそうな声を上げた。
誰か探してたみたいだね。
「師匠〜!!」
見た目よりも幼く見える笑顔で大きく手を振っている。
なのに誰も返事しない。
「ちょっと師匠〜。
無視しないでくださいよ〜」
師匠ってのもこんなに呼んでるんだから返事してあげればいいのにね。
酷い奴だね。
青年は痺れを切らしたのか走って来た。
僕は退いた方がいいな。
あれ?
でも周りに誰もいないぞ。
って事は師匠って誰?
キョロキョロしてると青年が僕の前で急ブレーキをして止まった。
「師匠!
お久しぶりです!
無視なんて酷いじゃないですか」
え?僕?
僕は弟子なんて取った覚え無いよ。
「もう!オオクルのバカ!
待ってよ!」
後ろから追いかけて来たエルフのレディーが文句言いながらも止まって僕に頭を下げた。
「ご無沙汰してます。
ヒカゲさん」
えーと……誰?
どうしよう、全く誰かわからない。
ここは作り笑顔で誤魔化すぞ。
「お二人共、人違いですよ。
では僕はこれで」
「人違いじゃないですよ!
俺の事忘れたんですか!?
師匠の一番弟子のオオクル・ノワールですよ!」
「オオクルって、あのルカルガの里の?」
オオクルって名前には覚えがあるよ。
一番弟子にしたつもりは全く無いけど。
「はい!
そうです!」
「って事は君はシャノン?」
「はい。
族長の娘のシャノン・ルカルガです」
「ちょっと待てよ。
僕の知ってるオオクルとシャノンはこんな小さかったはずだ」
そう、僕の知ってるのは10才ぐらいの少年少女だ。
それなのに今は同じ背ぐらいになっている。
まだ半年ぐらいしか経って無いのに。
「それは成長期ですから」
「成長期にも程があるだろ」
背が頭二つぐらい伸びてるだけでなく、二人共体付きがしっかり大人になっている。
まるで別人だ。
「コラッ!オオクル!
ちゃんと説明しないとダメでしょ!」
シャノンがオオクルを叱りつけてから僕の方にふりむいた。
「私達エルフは15歳を過ぎると第2成長期が来て、グット大きくなるんです」
「なるほどね。
人体の神秘だね……
え?15才?」
「はい。
ちなみにエルフは第2成長期が来ると成人として扱われます」
僕は普通に10才ぐらいだと思ってたよ。
間が無さすぎじゃない?
「そうなんだ。
久しぶりだね2人共。
それでなんでこんな所にいるの?」
「私達は今レインさんの所でお世話になっているんです。
それで一緒に終戦記念式典の為にここに同行させてもらっています」
「それで師匠が来てるって聞いたから探して来てくれって頼まれたんだ」
「頼まれたってレインに?」
「それとお客さんに」
「お客さん?」
「そう、お客さん」
「お客さんって誰?」
「お客さんは、んー」
オオクルが喋ってる途中でシャノンの手が口を抑えた。
「コラ!
それは言ったらダメって言われてるでしょ!」
「そうだった。
って事で師匠。
案内するから着いて来てよ」
えー。
めんどくさいな〜
「それ、行かないとダメ?」
「師匠。
何か用事あるんですか?」
「あるよ。
この町を堪能するって大切な用事が」
「なら俺も師匠に同行して、終わったら連れて行くよ」
嫌だよ。
一人でのんびりしたいよ。
「オオクル」
僕が言う前にシャノンがオオクルの暴走を止めてくれるみたいだ。
「それはいい考えだね。
私も一緒についていくね」
まさかの展開に僕はビックリだよ。
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