第11話
結局魔人ってなんだったわけ?
凄く気になるじゃないか。
明日調べてみよう。
とりあえず今日は寝ようっと。
明日休みだし、ゆっくり寝てから考えようっと。
僕はそう思って寝る前に水を飲んだ。
その時
「主ー!!!」
影から出て来たソラが僕をソファーに押し倒した。
「早く!早く!早く!」
ソラが僕の上に跨ったまま跳ねる。
幼女姿だから重く無くて助かった。
「わかったから一旦落ち着こうね」
「わかった!
早く頂戴!早く頂戴!早く頂戴!」
全然わかってない。
もう僕の事をご飯としか見てない目をしている。
「あげるからね。
一つ約束出来る?」
「早く頂戴!」
「好きなだけ飲んでいいけどね」
「飲み放題!
やったー!飲み放題!」
「血を飲むだけだよ。
わかった?」
「わかったから早く頂戴!」
「大人しくするんだよ」
「はーやーくー!!」
全然わかって無いような気がするんだけどな〜
僕が半信半疑のまま首筋を出した瞬間ソラが齧り付いた。
そのまま大人しく僕の血を飲み始めた。
はあ〜。
飲んでる時は大人しいからいいんだけどね。
血なんてケチケチするものじゃ無いし。
ソラの体がだんだん成長していって、妖艶な姿へと変わっていく。
服は消えて全裸になっている。
そして血を飲み終えて体を起こしたソラの目は案の定。
「主〜
ねえ、ヤろうよ〜」
ソラが甘ったる声を出した。
「ソラ。
血を飲むだけって言ったよね?」
「主もヤりたいでしょ〜?」
ヤりたいよ。
こんなソラに迫られてヤりたくない男がいるなら連れて来い。
って体くねらすな。
下半身が反応するだろ。
「約束したよね?」
「でも私は主と一緒で悪党だから我慢嫌い」
言い返せない。
仕方ないから前みたいに僕の首筋に齧り付かせて寝るまで吸わせる事にした。
それがもう長い事。
普通の人の致死量を余裕で超えてたね。
気付いたら全裸のソラを乗せたまま朝を迎えた。
長かった戦いだった。
やっと寝てくれたソラをゆっくりと下ろす。
風邪をひかない様に布団を被せてあげたら、
「主の所がいい」
とか言って、布団ごと僕影に潜って行った。
なんで僕の影やねんって思ったけど、余計な事言って目が覚められたらややこしいから黙っておいた。
しかし、あの生殺し状態はヤバイよ。
妖艶なソラと体を重ねて平然としていられるわけ無いよ。
でも今の僕にはミレイヌという玩具がある。
あれを殺さず飼っておいたのは英断だった。
とにかくソラが帰ったら早速使おう。
それまで我慢我慢。
大丈夫、僕は我慢出来る子。
さて、僕も寝よう。
流石に今日は誰も来ないだろう。
ピンポーン
と思っていたらチャイムが鳴った。
僕は飛び起きてダッシュで玄関に行って扉を開ける。
だって帰っちゃったら嫌だもん。
「おはようございますヒカゲ君」
「アンヌおはよう。
今日はどうしたの?
別に用事が無くてもいいんだけどね。
アンヌならいつでも大歓迎だよ」
「もう、ヒカゲ君ったら」
僕の癒しのアンヌが微笑んでくれた。
もうそれだけで嬉しい。
「さあさあ、そんな寒い所にいないで中に入ってよ」
「ではお邪魔しますね」
「どうぞどうぞ。
温かいココア出すから座ってて」
僕はアンヌにリビングに通してからリビングのドアの鍵を閉めた。
「ねえヒカゲ君」
「なあに?」
「なんで鍵を閉めたの?」
「用心の為だよ」
「いつもリビングの鍵も閉めて無いのよね?」
「閉めて無いよ」
「ならどうして今閉めたの?」
「……」
「前もこんな事ありましたよね?」
「あったような無かったような……」
「ヒカゲ君」
「はい」
「私を閉じ込めてどうするつもりですか?」
「……」
「なにかいやらしい事考えてない?」
「そんな事無いよ」
「ならリビングの鍵は開けましょうね」
「……はーい」
僕はリビングの鍵を開けた。
なんか分からないけど凄く開けたくなかったけど。
「それで、また泊まる?」
僕はホットココアを置いた。
アンヌはそれをフーフーしてから飲んでから言った。
「泊まりませんよ」
フーフーしてるアンヌ可愛い。
僕の脳内アンヌコレクションがまた増えたよ。
「今日はヒカゲ君に買い物を付き合って欲しいの。
いいかしら?」
「いいよ。
やったー、アンヌとデートだー」
「えーと、デートと言っていいのでしょうか?」
「だって、買い物したらランチを食べるでしょ」
「ええ、ランチぐらいご馳走しますよ」
「その後はお散歩して、ディナー食べて、綺麗な夜景見て」
「そんなに遅くなるつもりは……」
「そしてホテルに行って、朝までベットの中で……」
「行きませんからね!
そんなのダメですからね!」
「今夜は寝かさないよ」
「わかりました」
「え?本当に?」
「やっぱりヒカゲ君にお願いするの辞めます」
「わー、ウソウソ。
冗談だってばー」
「いえ、私一人で行って来るので大丈夫です」
「うわーん。
ごめんなさい。
ちゃんと夜遅くなる前に送るからさー。
デートしてよー」
「え?ちょ、ちょっと!?
そんな事で泣かないでください!?」
僕が泣いたふりしたらアンヌが慌てだした。
慌ててるアンヌも超可愛い。
「わかりました。
デートしましょう」
やっぱりアンヌは優しい。
すぐに許してくれちゃう。
「本当にデートしてくれる?」
「ええ。
でも、夜はダメですからね」
「はーい」
なんだかんだ言っても、なんでも許してくれちゃうアンヌ大好き。
◇
アンヌとデート嬉しいな〜
「ねえねえアンヌ」
「はい、なんですか?」
「何を買うの?」
「今度ヒカゲ君の学園で行われる剣術大会のエキシビジョンマッチの前で『チャップ雑芸団』が公演をしてくれるのは知っていますか?」
「知らない」
言われみれば、エキシビジョンの前になんかあるとか言ってたっけ?
どうせ行かないから聞いて無かったわ。
「ヒナタちゃんとシンシアが魔獣に襲われた所を助けたそうよ。
そのお礼に無償でしてくれるらしいわ」
「へー、そうなんだ」
流石ヒナタとシンシアだ。
息をする様に人助けしちゃうんだね。
「世界的にも有名な雑芸団なのよ。
ヒカゲ君は知らないのですか?」
「知らない」
雑芸団ってみんなを笑顔にする素晴らしいお仕事でしょ?
僕とは縁が無さすぎるね。
「そうなのですか?
チャップさんのお話によると、ヒカゲ君もその場にいたと言ってましたよ」
「え?僕が?」
あれ?そんな事あったかな?
……あー、あれか〜
「ヒナタを迎えに行った時だね」
「相変わらずヒカゲ君は優しいですね」
そうだそうだ。
そう言えばピエロが居たわ。
そっか。
あの時だ。
あの時も魔人がどうとか言われたんだ。
あの青髪の幼女に。
「その時のフライヤーのデザインを依頼されたので、その材料を買いに行くのですよ。
ちょっと荷物が多くなりそうなのでヒカゲ君にお願いしたんです」
「アンヌのフライヤーなんて贅沢だね」
「そんな事ありませんよ。
私には勿体ないお仕事です」
「そんな事あるよ。
出来たら僕にも頂戴」
「はい、いいですよ」
「やったー」
アンヌが作るんだもん。
絶対素晴らしいに決まってる。
今から出来るの楽しみ。
そうだ、あの幼女に魔人って何か聞いてみよう。
「結構荷物が一杯になるかもしれないので、お願いしますね」
「任せといてよ。
むしろアンヌには何も持たせてあげないよ」
「はい、頼りにしてますね」
アンヌの笑顔頂きましたー。
もうこれだけで百人力だよ。
◇
楽しい時間って一瞬だよね。
気付いたらもうこんな時間。
でもアンヌとの約束だから部屋の前まで送った。
とーっても残念だけど仕方ないね。
僕はその足で学園の闘技場に向かった。
丁度ハヌルが予選トーナメントを優勝した所だった。
グッドタイミングだ。
「やあ」
「え!?ヒカゲ君!?
なんでいるんだよ!」
僕が控室から出て来たハヌルに直撃すると、ハヌルはとても驚いて僕を控室の中に引きずり込んだ。
そして慌てて控室の外を確認してから扉を閉めた。
「まさかとは思うけど、俺の応援で来てたわけじゃないよね?」
「違うよ」
「それは良かった。
あとリリーナ嬢には会って無いよね?」
「会って無いよ」
「ヒナタ嬢とシンシア嬢にも会ってないよね?」
「会って無いよ。
直接ここに来たからね」
ハヌルは安心しきった様にため息を吐いた。
なんでヒナタ達が関係あるのかはわからないけど。
「俺ってこれでも一応王族だからさ。
それなりに図太い性格してるつもりなんだけど、ヒカゲ君には負けるよ」
僕が図太いだって?
そりゃあ僕は悪党だからね。
でも、今それがなんの関係があるのかな?
「どうでもいいけど、ハヌルにお願いがあるんだ」
「俺に?
一体なんだ?」
「チャップ雑芸団の所にいた青髪の幼女に会いたいんだ」
「ん?
確かに今チャップ雑芸団は王城にいるけど、青髪の幼女なんていないぞ」
「いたじゃないか。
小さな女の子が」
「えー、いなかったと思うけどな〜
……まあ、とりあえず王城までおいでよ」
なんだろう?
なんか話が噛み合わないぞ。
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