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世界を生き抜く悪党の美学  作者: 横切カラス
10章 悪党は才能と努力で成り立っている
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第1話

自分のクラスに王子が編入して来たらビックリだよね。


それも2つ年上。

意味不明だよね。


「一体どう言う事ですか?」


放課後。

リリーナがハヌルに尋ねた。


「どう言う事も何も、今日からここに通うんだよ」


ハヌルがなんとも無いように答えた。


「宣教師学園はどうしたんですか?

もう卒業間近でしたよね?」


確かにそうだよね。

あと一カ月で卒業だよね。


「卒業はしたよ。

俺は成績良かったからね。

早期卒業の許可貰ったんだ。

ちょっと王族特権使ったけどね」


ならせっかく卒業したのに、また学園通うの?

もの好きだね。

そんなに学校好きなら僕の代わりに通ってくれないかな?


「何故そこまでして魔法剣士学園に?

しかもこの中途半端な時期に」


不思議だよね。

宣教師学園卒業したら、わざわざここに入学するメリット何も無いもんね。


でも僕はそれよりも不思議な事があるんだ。


「もちろんヒナタ嬢と一緒に学園生活送りたいからさ。

4月まで待ってしまうと特待生クラスに入るのにまるまる一年かかってしまうからさ」


「それだけですか?」


「それだけだよ」


それだけの為に学園通い直すか普通?

王族の考える事はわからないね。


「って事は剣術大会上位を目指すんですね」


「そうさ。

テストの点数は申し分無かったからね。

もちろん狙うは優勝だよ」


なるほど。

確かにこの学園には特待生に直接編入出来るルートは用意されていないからね。


「ねえ、僕も聞きたいんだけど。

なんで僕を挟んで喋ってるわけ?」


僕、そろそろ帰りたいんだけど。


「ダーリンが私と一緒に居るからよ」


「それはリリーナが放してくれないだけだよ」


「てっきり義兄さんも俺に聞きたい事があるんだとばっかり思ってたよ」


「義兄さんってのは辞めてくれない」


「お前なんかに妹はやらない!って事かな?」


「違う違う」


それは僕が決める事じゃないからね。

君がヒナタを泣かさない限り僕は静観するよ。


万が一泣かしたらこの世から消し去るけどね。


「僕は今はヒナタのお兄ちゃんだけど、ヒナタが領主になったら僕の方が立場が下になるからね。

ヒナタの婚約者のハヌルも……

そういや、結局婚約したの?」


2人が両サイドから信じられない物を見るような目で見て来た。


僕、そんなのに変な事言った?


「あんなに大々的にニュースになってたのに、当事者の家のヒカゲ殿が知らないの?」


「ハヌル王子。

ダーリンはそう言う奴なんです。

信じられないでしょうけど」


「いや〜ビックリしたよ。

俺は無事婚約させてもらったよ。

ヒナタ嬢もOKしてくれた」


「そうなんだ」


「とりあえずだけどね。

結婚はヒナタ嬢の卒業を待つ予定だし、それまでにヒナタ嬢が心変わりしたら白紙に戻すって約束さ」


「え?

そんなんでいいの?」


「もちろん。

俺は心変わりされない自信があるからね」


自信満々でハヌルは言い切った。


彼程のイケメンだとそりゃ自信持てるだろう。


それに聖教祭での様子を見た限りだといい感じだったし。

あの超親バカの両親が婚約を認めるって事は、きっとヒナタにとっていい縁なんだろう。


「ちゃんと王位継承権も放棄したし。

あとはヒナタ嬢にもっと好かれるように精進するだけさ」


頑張ってくれたまえ。

僕に消されないように。



剣術大会はまず学年毎に32個の予選トーナメントに分けられる。

そしてその優勝者32人で予選トーナメントを行って、ベスト8を決める。


最後はその8人で総当たり戦をして学年の順位を決める事になる。


その後にエキシビジョンで1年と2年の上位5名同士のチーム戦があるが、それは成績には影響しない。


そして、どの予選トーナメントに入るかはくじ引きだ。


ちなみに10人いる特待生はみんな別のトーナメントに行くようになっている。


そこは特待生のアドバンテージだ。


そして僕のくじは、[6番(特)]と書かれていた。


これは6番トーナメントで特待生の誰かが6を引けば初戦の相手。

引かなければ不戦勝の2択だ。


特待生のくじが始まる前に現時点でのトーナメント表が貼り出された。


もちろんみんなの注文はこれから始まる特待生のくじ。


1人づつ引いていくらしい。


完全に見せ物だけど、これぐらい気にするようだったら特待生なんてしていらないって事だろう。


現に誰も気にする様子も無く、堂々としている。


まずはシンシアから引くみたい。


みんな祈るように見ている。


なんたって自分のトーナメントに特待生がいるかいないかで雲泥の差だ。


僕も祈ろうかな?

特待生と当たって初戦負けれますように。


「シンシア・アークム。

6番トーナメント」


やったー。

初戦負け決定だー。


会場からもいろんな喜怒哀楽の空気が流れる。


でも怒はおかしくない?

何故か僕に向けられてるみたいだし。

いや、これは怨の感情っぽい。

なんで?


壇上からシンシアが安心したような、嬉しいような笑顔を僕に向けた。


なんて可愛いくていい笑顔なんだ。


そんなの壇上で披露したら、全校生徒が虜になっちゃうよ。


でもあの笑顔はあれだよね?

僕を大会でボコボコにするって笑顔だよね?


当日が怖いな〜

……アンヌ見に来てくれないかな〜

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