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世界を生き抜く悪党の美学  作者: 横切カラス
9章 悪党は自分勝手で残酷である
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第14話

夕暮れの町を漆黒の鎧が駆け抜けて行く。


まだ日が沈み切っていないと言うのに、町にひとっ子1人いない。


みんな辻斬りが出た事により屋内に逃げ込んだのだ。


騎士の追跡も躱しながら駆け抜けた漆黒の鎧はそのまま町の外に飛び出した。


そこでヘンジンと対峙する。


「盲点だった。

辻斬りは夜に出ると固定概念に囚われていた。

よく考えたら夜が明ける度に消える訳では無いのだから、昼出てもおかしくないな」


漆黒の鎧は深く長い息を繰り返し吐きながらヘンジンを見つめる。


「苦しそうだな。

大人しくお縄についたら楽になれるかもしれんぞ」


その言葉を聞こえたかはわからない。


ただ漆黒の騎士は一歩ずつ前へ歩みを進める。


「グルゥゥゥゥゥゥゥゥ」


もう最後の良心すら殆ど消えていた。


一段と低い唸り声で威嚇して人を遠ざける事が最後の抵抗だった。


しかし、その抵抗虚しくヘンジンは丸腰ながらも怯む事無く佇んでいた。


そして漆黒の鎧が最後の一歩と同時に揺らぐ。


次の瞬間には漆黒の鎧の剣をヘンジンが左の手刀で受け止めていた。


遅れて硬い物同士がぶつかる鈍い音が響く。


「ワイの体は特別製でね。

そう簡単には斬れないぞ」


ヘンジンは右の手刀を突き出すが、再び漆黒の鎧の姿が揺らいで空振りに終わる。


ヘンジンの右手は剣へと変貌していた。


その右手を振り向き様に振り抜く。


後方から迫っていた漆黒の鎧の剣事弾き飛ばした。


荒々しく着地した漆黒の鎧の背中に翼が生える。


「ちょうどいい。

的がでかくなった」


ヘンジンが間合いを一気に詰めて切り裂いた。

しかし切り裂いたのは残像。

その残像が消えない内に真上から漆黒の鎧が落ちてくる。


ヘンジンが後方に跳んで躱した後の地面を砕く姿を残像に残したまま、漆黒の鎧はヘンジンの目の前に現れた。


ヘンジンは紙一重で剣を合わせるが、それすら残像だった。


背後から感じられる威圧感にヘンジンは死のビジョンがはっきりと見えた。


「死ぬよりマシだから我慢してよ」


颯爽と現れたエルザがヘンジンを横から蹴り飛ばした。


漆黒の鎧の剣が空を切る。

その隙を見逃す事無くエルザは剣を振るう。


漆黒の鎧は一旦真上に飛んで躱し再び急降下してエルザに襲いかかった。


2つの剣が何度も交差する。


激しくぶつかり合っているのに、2つの剣はまるで抵抗が無いかの様に美しくなめらかに二人の間で煌く。


お互いがお互いの剣を最低限の接触で逸らしていて、尚且つ流れる様に相手に切り掛かっていた。


それは達人同士だからこそ起きる奇跡の剣舞。


無駄な雑音が無く、剣同士が擦れる澄んだ音だけが微かに聞こえる。


「その魔力、その剣技、やっぱり老師の物だ」


エルザは魔眼が捉えた混じり合った2つの魔力の両方に見覚えがあった。

そして剣を交えて、疑惑が確信に変わった。


「老師!

どうしてこんな事を!」


エルザの問いに漆黒の鎧は答えない。

ただ2人の剣が交わり続けるだけ。


「答えてください!

剣聖ザンキ様!」


「グガァー!!」


漆黒の鎧の魔力が雄叫びと共に爆発した。


その衝撃波がエルザを弾き飛ばす。


「グルゥゥゥゥゥゥゥゥ」


漆黒の鎧は唸り声を漏らしながら動きを止めた。


エルザの声に少しだけ復活した良心のかけらが動きを止めていた。


「剣聖エルザよ。

こやつが剣聖ザンキだと言うのは間違い無いのか?」


ヘンジンがエルザに問う。


「間違い無い。

あの研ぎ澄まされた剣技を見間違うはずが無い」


ヘンジンはその答えに舌打ちをした。


かなりの手練だと言う事はわかっていた。

しかしそれ程の大物だとは思っていなかった。


相手が剣聖ザンキとなるとヘンジンには荷が重い相手だ。


「生捕りは無理だ」


ヘンジンは自らの推理に絶対の自信があった。

だからこそ彼は早い段階で犯人を追いかけて、生捕りにして更生の道をと考えていた。


望まぬ体を持って生まれた彼は、シンパシーを感じていたのかもしれない。


だが、その慈悲を押し殺して右手をライフルに変形させた。


銃口が漆黒の鎧の頭部にロックオンされた。


「己の運命じゃなくて、ワイの不甲斐無さを恨みな」


銃声と共に魔力の弾が発射され、頭部目掛け真っ直ぐに飛ぶ。


「グガァー!!」


漆黒の鎧の魔力が再び雄叫びと共に爆発して、銃弾を弾き飛ばす。


そして漆黒の鎧は高速で飛び去った。

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