第4話
勝負に勝った僕はカナリアの案内で絶景スポットに向かった。
なかなか険しい雪山を登って行く。
僕達じゃ無かったら簡単にはいかないレベルだ。
それでも、登山する人はいるみたい。
途中に何個か休憩所みたいな小屋があった。
その一つで一休みする事にした。
「ボス。
疲れて無いと思うけど休憩しててよ。
ここら辺のトナカイは絶品なんだよ。
僕が狩って来てあげるよ」
「僕も手伝うよ」
「いいのいいの。
僕に任せておいてよ」
そう言ってカナリアは雪山に消えて行った。
まあ、そう言うのなら待つとしよう。
こういう山小屋も風情があるよね。
昔エベレストの頂上からの景色が気になって登った時を思い出すな〜
あの時は1時間ぐらいかかったけど、あれは絶景だったな。
あまりに絶景にはしゃぎ過ぎて3メートル越えの雪ダルマ作ったのを放置して下山しちゃったから、慌てて崩しに戻ったのが苦い思い出だね。
流石の僕もちょびっと疲れちゃったよ。
でも、あんな人工物があったら次に登頂した人の感動が薄れちゃうからね。
そうだ。
カナリアを待ってる間に雪ダルマを作ろう。
今度はもっと大きいのに挑戦するぞ〜
僕は4メートル級の雪ダルマを作り上げた。
大きのが出来て満足したので、そのお腹をくり抜いてかまくらを作って火を準備する。
なんたってこんな気温が低い中トナカイを狩りに行ってるからね。
帰って来たらすぐに温まって貰おう。
取って来たお肉もすぐに焼けるから一石二鳥だね。
「こんな所で奇遇だの」
僕が火をおこしていつでもバーベキュー出来るようになった頃、またもやザンキが現れた。
「こんな所で奇遇なんて無いよ。
なんで僕をつけ回すわけ?」
「はて、なんのことだか?」
このクソジジイ惚けやがって。
「こんな立派なかまくらが作れるとは、なかなかやるのう」
「凄いよね。
こんなのどうやって作ったんだろうね」
「お主が作ったんだろ?」
「違うよ。
僕が来た時にはあったんだ」
僕は惚け返したやった。
どうやらこのクソジジイは僕を出来る奴に仕立てあげたいらしい。
なんでか知らんけど。
「儂が昨日来た時には無かったんだがな」
「昨日も来たの?
物好きだね」
「登山が趣味なもんでな」
「ならいろんな山を登った方が楽しいよ」
「なるほど、では明日からそうするよ」
そう言ってクソジジイはどっかに歩いて行った。
なんなんだあのジジイ。
後から来たカザキリが僕に頭を下げた。
「ごめん。
老師は強い人を見るとつい声をかけてしまう癖があるの」
クソ迷惑じゃねぇか。
「迷惑だから辞めるように言った方がいいよ」
「いつも言ってるの。
でも聞いてくれない」
つまりこれはあれだな。
老害だな。
「あと僕はポンコツだからね。
老眼入って来てるよって教えてあげてね」
「一応言っとく」
カザキリもそう言い残してザンキの後を追って去って行った。
一体なんなんだろうか?
あれか。
オラ強い奴に会うとワクワクすっぞってやつ?
まあ、気持ちがわからんでも無い。
でもあれは迷惑過ぎるよ。
その内ボケて無差別に徘徊して、辻斬りになるな。
剣聖の辻斬りとか笑っちゃうぐらい大惨事だね。
「ボスー!
見て見て!
デッカいトナカイ捕まえたよ!」
カナリアがトナカイを捕まえて……って、本当にデカいな。
「めちゃくちゃ大きいね」
「でしょ。
僕のボスへの想いに比べたら大した事ないけどね」
「よし、いつでも受け止めてあげるよ」
「本当に!
嬉しいな〜」
そんなに僕に勝ちたいんだね。
いいよ、いつでも受けて立ってあげるよ。
絶対負けないけどね。
「そのトナカイ、僕が捌いて焼いてあげるよ」
「やったー!
僕は肉は断然生派だったけど、今やボスの料理派になってるんだ」
「塩コショウで焼くだけだから料理って言う程の物は出来ないよ」
「いいのいいの。
楽しみだな〜」
まあ、本人がいいのならいっか。
◇
カナリアの言う通りトナカイは絶品だった。
塩コショウしか無かったけど、逆にそれが良かったかもしれない。
腹ごしらえもしたし、僕達は真っ直ぐに山頂に向かった。
あ、ちゃんと雪ダルマは崩して来たよ。
同じ失敗はしないようにしないとね。
山頂に着くと巨大なトゲトゲの氷の壁があった。
どうやらぐるっと円形に一周してる。
まるで真ん中の何かを守ってるみたい。
「これは何?」
「これはね、ワイバーンの巣だよ」
「ワイバーンの?」
「そうだよ。
ワイバーンって世界各地に巣を作って年単位で住む場所をローテーションするんだよ。
それもどれも外敵の少ない過酷な所に。
ここがその一つ」
なるほど。
だからこんなトゲトゲしいんだ。
「住む度に補強していくんだ。
そしてしばらく放置されてる間に凍ったり溶けたりして何重にも氷の層が出来るんだ。
その上から更に補強しての繰り返しで、何十年もかけて出来上がったのがこれなんだ」
近くで見ると、そのトゲの壁が何重にも重ねられてるだけじゃなくて、トゲ一つ一つが何層にもなっている。
それは砕こうにも表面ばかりが砕けて、なかなか中には到達出来そうにない。
まさに天然の要塞。
ワイバーンはこれを初めから想定していたのだろうか?
「これでも凄いんだけどね。
ボスに見せたい絶景はこんな物じゃないよ」
そう言いながらカナリアはテントの設営を初めていた。
「テントを何に使うの?」
「やだな〜ボス。
テントって言ったら寝るに決まってるじゃないか」
「寝るの?
今から?」
「そうだよ。
さあさあ、ボスどうぞ」
カナリアがテントの中に入ってから手招きする。
なに?一緒に寝るって事?
「僕は外で大丈夫だよ」
「ダメだよ。
テントに入るには意味があるんだよ」
「そうなの?
なら僕は別にテントを――」
「えー。
このテント二人用だから一人だと寒いよ。
僕風邪ひいちゃうよ」
「それは大変だ」
「でしょ」
「もう仕方ないな〜」
僕がテントで寝転ぶとカナリアは素早くテントを閉めて僕の腕を枕にして寝転がった。
このテントは魔力で暖が取れるようになってるみたいで暖かい。
「あれ?これなら僕要らなくない?
ってもう寝てる」
なんか気持ち良さそうに寝てるからいいとするか。
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