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世界を生き抜く悪党の美学  作者: 横切カラス
8章 悪党は全てを奪い去る
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第13話

ヒナタ達を送り届けた後、約束通りリリーナの待つ寮へと帰って来た。


リリーナは何も変わらずいつも通り。

僕も何も変わらずいつも通り。


それをお互い確かめるように、いつも通りの会話をしてリリーナを送り届けた。


それから僕は秘密基地へと足を運ぶ。

ミカンに指定された部屋へと向かった。


部屋の中は何か甘い匂いが漂っていた。


「僕を呼んでたみたいだけど、どうしたの?」


「ん」


ミカンが指差した方を見ると、ミレイヌがあられもない姿で拘束されていた。


その口からは甘い吐息が漏れ、全身から甘美な香りが醸し出されているみたい。


「調教。

ほぼ終わってる。

あとは仕上げだけ」


ミカンがミレイヌの顎を持ち上げて、顔をこっちに向けた。

その表情は何かを求めてる様な虚ろな物。

僕は思わず生唾を飲み込んだ。


「痛み?快楽?恐怖?

どれで支配する?

どれでも出来るようにしてある。

仕上げは主に任せる」


「あとは僕がしていいの」


「ん。

主へのプレゼント」


なら遠慮なく頂こう。

仕上げの方法は決まってるじゃないか。

それは楽しい方だよ。


「じゃあ早速。

ミカンは席を外してくれる」


「ん」


ミカンはスッと消えた。


さて今度こそ楽しもう。

もうリリーナの声は浮かんで来ない。


これでいい。

ヒナタの言葉で僕は思い出した。


姉さんが小学校の卒業式の時に言ってた将来の夢。

みんなの幸せを守る優しい警察官になりたい。


僕には信じられなかった。

そんなの割に合わないじゃないか。


だって世界は理不尽で、正しい事をしても報われるとは限らないのだから。


でも姉さんは言った。


「確かにいい事をしたって自分に返ってくるとは限らないよ。

でもね夢路。

みんながみんなに優しくなったらみんな幸せになれると思わない?

私が優しくなれたら、それに一歩近づけると思うの」


姉さんが言ってるのは机上の空論にもならない夢物語。

だってそれが正しいと分かっていても、それが出来ない僕みたいな悪党がいるのだから。


だけど姉さんみたいな人こそ幸せになるべきなんだ。

僕みたいな悪党には不幸な最後が待っているべきだ。


ならばせめて悪党らしく自分勝手に身内の幸せだけを願おう。


その為に身内の不幸は何であっても排除しないといけないんだ。


僕はこの世界に来て、沢山の身内が出来てしまった。


この心地よい生活に溺れてしまっていた。


そのせいで僕は身内の幸せを言い訳に、人並みの幸せを求めてしまっていた。

みんなから僕に向けられる好意は勘違いだと言うのに……


いつか身内のみんなの好意は向けられるべき人に向けられる日が必ず来る。

それが誰なのかはわからない。

少なくても僕では無い。


そんな日の為に、僕みたいな悪党は深い関係を築いてはいけない。

僕は前世の時のように身内と距離を取らなければならない。

身内の幸せの邪魔になってはいけない。


身内の幸せと僕の幸せは共存出来ない。


だって悪党の僕と一緒に居続ける事は不幸以外の何物でも無いから。


だからこそ誰よりも自分自身に甘い僕には美学が必要なんだ。

何よりも優先すべき悪党の美学が。


それが矛盾だらけのハリボテのルールだったとしても。


そんな事わかっていたのに。


ちょっと、ほんのちょっとだけ、甘い夢を見てしまった。


でも、僕は悪夢の住人。

甘い夢なんて見ることは許されない。


今更他の何にもなれない。

なろうとも思わない。


改めて自分自身の身の振り方を考えよう。

身内が幸せになれるように。


その為に今は目の前の上玉の女を犯そう。

心ゆくまま、欲望のままに。


僕は一心不乱にミレイヌを犯す。

柔らかく、良く反応する体

吸い付く様なきめ細かい肌。

耳に心地よく聞こえる喘ぎ声と時々達する絶叫。


その全てが僕の欲望を満たすと同時に、更なる欲望を駆り立てる。


流石ミカンだ。

完璧に仕上がっている。


この際だ。

我慢してた欲望を全てぶつけよう。


そうだよ。

これこそ僕なんだ。


こんなに酷いことをやっているのに一切背徳感も罪悪感を感じない。

ただただ楽しい。

楽しいんだ。

だから僕は悪党であり続けるしかないんだ。

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