第12話
今回は大分遠くまで行ってる。
でも丁度いいや。
頭を冷やす時間が欲しかった所だ。
まだリリーナの綺麗な身体が頭の片隅にこべり付いて離れない。
そのせいでずっと欲求不満。
僕は忘れるのが得意なはずなんだけど……
ダメだ考えれば考える程リリーナの甘い喘ぎ声を想像してしまう。
とにかく走ろう。
全速力で。
って邪魔だな〜
なんか前方で団体さんが召喚魔術をしてるよ。
遠回りしようかな?
でも召喚されたグリフォンが飛んで行った方向は、ヒナタの向かってる方向と一緒みたい。
って事は、今日のヒナタの敵はグリフォンですか。
ヒナタの敵って事は悪党のみなさんですね。
丁度いいや。
イライラしてるんだ。
まずは1人の頭をパンチで吹き飛ばーす。
残った胴体から血飛沫頂きましたー
では皆さんかかってらっしゃい。
って、こいつら一切戦おうとせずに逃げ出したよ。
なになに?
戦闘は苦手ですか?
でも逃しませーん。
もう周りに結界張っちゃいました。
残念。
では続けていくよ〜
「アハハハハ。
楽しいな〜」
強敵との戦いは心躍るけど、こう言う狩りも楽しい。
泣き叫びながら逃げ惑う奴らを、一匹一匹握り潰して行くの最高。
この肉を引きちぎれたり、潰れたりする感覚がなんとも言えない。
無心でプチプチを潰してるのと同じ感覚。
おっ、中には結構若い女もいるじゃん。
僕の好みの女は殺す前に犯しちゃうか。
時間もあんまりいないからサクッと犯しちゃおう。
こんなけいれば欲求不満も解消できるさ。
はい一匹捕まえた。
まずはこの邪魔な服を引き裂いてっと。
いいねその悲鳴。
必死に抵抗してるのも唆るよ。
でもみんな冷たいね。
誰も助けに来ない。
では、公開レイプショーといきますか。
これだから悪党はやめられない。
“私にした事以上の事を他の女したら許さない”
まただ。
なんでなんだよ。
一体なんだって言うんだ?
僕が楽しく犯そうというのに。
なんでリリーナの言葉が頭に浮かぶんだよ。
僕は下敷きになってる女を叩き潰す。
ああ、イライラする。
せっかく楽しい気分だったのに。
もういい。
順番に潰していこう。
窮屈だ。
なんで?
僕は窮屈なのが嫌で悪党である事を選んだのに。
他人の決めたルールが嫌で悪党の美学を作ったのに。
今やそれが窮屈の原因になっている。
よく考えたらなんで悪党の美学なんて作ったんだろう?
自由を求めていたのにルールなんて作ったら本末転倒なのに。
僕は最後の1人をプチっと潰した。
でもなんかモヤモヤするな〜
なんだろう?
僕は根本的な何かを忘れている。
僕が結界を解いたと同時に、放置してた召喚魔術が発動した。
こっちもすっかり忘れててたよ。
なんかでっかいワイバーンが出て来てこっちを睨んでるぞ。
なんだ?
僕は今機嫌悪いぞ。
ってあれなんか首を垂れたぞ。
「召喚したのは僕じゃないよ。
みんな殺しちゃった。
おや?
君はいつぞやのワイバーン君じゃないか」
この子ったら、召喚魔術によってまた使役されてるよ〜
鈍臭いな〜
僕は魔力によって使役魔術を破壊してあげた。
「はい、これで大丈夫。
次は気をつけるんだよ」
ワイバーンはグルっと鳴いて大空へと飛んで行った。
「バイバーイ」
あんなに大きくて強いのにね。
あのワイバーンお人好しなのかな?
おっと、そろそろヒナタとグリフォンが接触しそうだ。
ではお迎えに行きますか。
◇
ヒナタめっちゃ強くなってるじゃん。
まさかグリフォンを圧倒するまでになってるなんて。
でもね。
お兄ちゃんは気になる事があります。
なんですか、その服装は。
それはあまりにも……
可愛い過ぎるだろ。
お兄ちゃんは良くないと思います。
その可愛いさは人心を惑わすレベルだよ。
走ってる姿も跳んでる姿も可愛いな〜
あの服はヒナタの為に作られたに違いない。
グリフォンもサクッと倒しちゃうし、まだまだ強くなるんだろうな〜
……あれ?ちょっとやばくない?
シンシアも間に合いそうにないし。
仕方ない、行きますか。
僕は気力で身体強化をして馳せる。
そのままヒナタ目掛けて跳んで、ヒナタを受け止めた。
「あっ!お兄ちゃんだ!
やっほー!」
「やっほー、じゃないよ。
危ないじゃないか、あんな高い所から落ちたら」
「えへへー
お兄ちゃんナイスキャッチ」
無邪気で可愛いね。
さて、ちょっとカッコいいお兄ちゃんはここまでだよ。
なんたって僕はポンコツお兄ちゃんだからね。
「ヒナタ。
残念なお知らせがあります」
「なあに?」
「お兄ちゃんパワーが切れました」
「それはピンチだね」
「そう、ピンチなんだ」
僕はヒナタと地面にサンドされた。
普通に痛い。
「アハハ。
お兄ちゃん鈍臭〜い」
「そうだよ。
お兄ちゃんは鈍臭いんだよ。
だから無理させないでよ」
「そんな事言ってもお兄ちゃんは来てくれるんでしょ」
「まあ僕はお兄ちゃんだからね」
「えへへ〜
私は幸せ者だね」
「幸せ?」
僕が思わず漏らした疑問に、ヒナタは満面の笑みで答えた。
「うん!
だってシンシアとアイビーは私を心配して、こんな所まで追いかけて来てくれるんだ。
お兄ちゃんだって何があっても来てくれる。
みんな大好き!」
その表情に一点の曇りも無い。
そうか、幸せか。
なるほどね。
そういう事か。
「アハハ。
アハハハハ」
僕の口から乾いた笑いが自然と溢れ出る。
こんなの笑わずにいられない。
だってあまりに僕は愚か過ぎる。
「お兄ちゃんどうしたの?
急に笑い出して?
変な所打った?」
「なんでも無いよ。
お兄ちゃんはヒナタが幸せで嬉しいよ」
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