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世界を生き抜く悪党の美学  作者: 横切カラス
8章 悪党は全てを奪い去る
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第9話

聖教祭が近づいて来た週末。

僕は朝一番か飲み屋街に来ていた。


とにかく開いている店を梯子して、その店の一番強いお酒をひたすらにガブ飲みしていった。


気付けば昼過ぎ。

もうちょっとすれば日が沈み始める頃だ。


僕は目の前のお酒をガブ飲みする。


やっぱりどんなに飲んでも酔わないな〜

となると、あの時のは酔いのせいでは無いな。


最近なんかおかしい。

ミレイヌを犯しそうとしたあの日からだ。


「ここいいかしら?」


スミレが僕の前の席に座った。


「珍しいわね。

こんな所にいるなんて」


「まあね。

たまにはいいかなって」


まただ。

スミレの体にやたら目が行く。

抱きたい。

とにかくヤりたい。


見てるだけで性欲が爆発しそうになる。

スミレだけじゃない。

ナイトメア・ルミナスの誰と会ってもだ。


今までもみんなの無防備さに我慢を強いられる事は多々あった。

でも今回はそんなレベルじゃない。


みんな普通にしてるのに、思わず押し倒してしまいそうになる。

こんな事は今まで無かった。


「どうしたの?」


「なんでもないよ」


咄嗟に誤魔化したけど、何かおかしいのに気付いたかな?

まだ不思議そうな顔をしている。


「今日はどうしたの?」


とりあえず話を変えよう。


「報告よ。

ミレイヌ・サゴドンの調教はほぼ終わり。

もう彼女は思いのまま」


「流石ミカンだね」


「ミカンはもう必要無いのに毎晩楽しんでるわ。

よっぽど気に入ったのね」


「いいんじゃないかな」


あの子は上玉だったからね。

あれはいい玩具になるよ。

ああ、思い出しただけでムラムラしてきた。


「それとミカンがあなたを呼んでたわ」


「僕を?

何のようかな?」


「それは教えてくれないのよ。

あなたに直接言うって言ってたわ。

近い内に部屋まで行ってあげてくれない?」


「わかった近い内にね」


それまでにこの状態を何とかしないといけないな。


「ミリアの方も順番に事を進めてるわ。

少しばかり手際の悪い方法だけどね」


「不満?」


「いえ。

あなたが任せたならそれに従うわ。

ただフォローは必要ね」


「手間取らせるね」


「これぐらい気にしないで」


スミレは優しく微笑む。

その笑顔に更に性欲が駆り立てられる。


いよいよ重症だ。

とりあえず無理矢理にでも発散させないとマズイぞ。

今晩は歓楽街に行って女を買おう。



逃げる様に家に帰った僕は急いでシャワーを浴びた。


女を買う時の最低限のマナーだからね。

本当は秘密基地の大浴場がいいけど、あそこは危険だ。

なんたってみんな無邪気に入ってくる。


ここではそんな心配は無い。

でも思わぬ伏兵がいた。


リリーナがいつもの様に勝手に入って来た。

警戒はしていた。

だけど、今日に限ってチャイムを鳴らさずにノータイムで入って来た。


そのまま風呂場の前まで止まる事無く歩いて来た。


「ねえヒカゲ」


「なに?」


「話があるの。

リビングで待ってるから」


そう言ってリビングに戻って行った。

何のようかはわからないけど、僕は早々にシャワーを切り上げてリビングに向かう。


「どうかしたの?

って、え?」


リビングに入ると同時にリリーナが抱きついてくる。


今はマズイ。

シャワーで少し落ち着いていた性欲がぶり返してくるじゃないか。


「ちょっと急にどうしたの?」


「なんで私を避けるの?」


「え?避ける?

なんの話?」


「嘘!」


確かに嘘だ。

リリーナが視線の端に入るだけで、湧き上がってくる欲求に負けてしまいそうになるほど今の僕はおかしい。


でも、気付かれない様に上手く避けてたつもりだったのに……


「最近ずっと私を避けてる。

私を見てる様で全く見てくれない。

ねえ、私何かした?」


リリーナは両目に涙を浮かべて僕を見る。

その表情に僕の何かが崩れそうになってくる。


「なにも無いよ。

本当になにもない」


「じゃあなんで避けるの?

今まで嫌な事は嫌ってはっきり言ってくれた。

逃げる時はとことん逃げてた。

なのに、最近上辺だけ繕って避けてる」


遂に涙が瞳から溢れる。

ダメだ。

これは本気でやばい。

なんとか引き剥がさないといけない。


そう思っているのに体が言う事を聞かない。

視線がリリーナに吸い込まれて動かない。


「嫌いなら嫌いって言ってよ。

私に愛想尽かしたならそう言って。

お願いだから何も言わずに避けるのだけはやめて」


「違うんだリリーナ」


なんとか両肩を掴んで少し引き離す。

でも、リリーナの体が離れた瞬間に消失感が僕を襲う。


「何が違うの?

言ってよ。

いつもみたいに何も気にせずに――」


完全に無意識だった。

無意識の内に、リリーナの唇を奪っていた。


リリーナは驚き目を見開いている。

だけど嫌がるそぶりは見せない。


僕はそれをいい事に抱きしめて、貪る様にリリーナのキスを続ける。


気持ちいい。

まだまだ欲しい。

もうずっとこうしていたい。


リリーナは全く抵抗しない所か、僕に合わせて舌を絡ませてくれる。

それによって幸福感が更に増してくる。


リリーナが酸欠になるほど長い間貪りついた。

それでも離れ時の焦燥感が激しい。

若干息を切らせながらトロンとした目で僕を見つめるリリーナを見て更に欲求が高まる。


「もう我慢出来ないよ」


無言で頷くリリーナの唇を再び奪った。


なんて気持ちがいいんだ。

なんで今まで我慢してたんだっけ?

ああ、もうどうでもいいか。


僕は夢中でキスを続けて舌を絡ませた。

リリーナの柔らかい体を腕一杯に抱き締める。


唇を放してもリリーナを抱きしめたまま放さない。

放したくない。


酸欠気味のリリーナの甘い吐息が感じれる距離。


「リリーナがいけないんだよ。

なんとかギリギリ耐えてたのに」


「初めてヒカゲからキスしてくれたね。

嬉しい」


リリーナが幸福感一杯の笑顔を見せる。

とても美しくてカワイイ笑顔。


まだまだ足りない。

こんなの我慢出来るはずがない。


更に強く抱き締めて、再び唇に貪りつく。


全て僕の物にしたい。

誰にも渡したく無い。


リリーナは拒まない。

ならいいじゃないか。


体を委ねて来たリリーナをお姫様抱っこで寝室まで連れて行く。


リリーナは両手を首に回して火照った顔で見つめる。

そのままベットの前で再びキスを貪る。


リリーナも僕の顔抱きしめる様にして応えてくれる。

お互いの舌が絡まっていく。


溶けて無くなってしまうのでは無いかと思う程の熱いキスをして、ベットにリリーナを寝かせた。


上着を脱いでリリーナの上に覆い被さる。


「リリーナ綺麗だよ。

凄く綺麗だ」


「来てヒカゲ」


その美しさにまた唇を重ねる。

熱いキスをしたままリリーナの上着を少しづつ脱がしていく。


リリーナも合わせてくれるから、なんの抵抗も無く面白いぐらいに服が脱げていく。


あっという間にリリーナの上半身も裸になった。


唇を絡め、舌を絡め、両手を絡め、上半身も絡めていく。


もう何も考えられない。

このまま最後まで――


ドクン!!


心臓が大きく跳ねると同時に体を起こす。

ヒナタのアレが発症した合図で僕は正気に戻った。


なんて事をしてしまったんだ。

もうすぐで僕は美学に反してリリーナの大切な物を奪う所だった。


「どうしたの?」


リリーナが夢心地の表情で僕を見上げる。

僕の中で罪悪感が湧き上がってくる。


「ごめんリリーナ。

ヒナタの所に行かないと」


「そのごめんは何に対してのごめんなの?

ヒナタちゃんの所に行く事に対してよね?

私にした事に対してだったら怒るから」


そんなの答えられない。

だって僕にだってわからない。


「ヒナタちゃんの所に行ってあげて。

そのかわり私はここで待ってるから。

続きが欲しい訳じゃないわよ。

ヒカゲがいつも通り帰って来るのを待ってるから。

私もいつも通りの私で待ってるから。

それでいいでしょ」


「うん。

ありがとう」


「行ってらっしゃい」


「行ってきます」


僕は上着を着て飛び出した。

今は自責の念で頭がいっぱいだ。


もしヒナタのこれが無かったら今頃……

そんな事許されないのに。


もう一度僕は悪党の美学と向き合わなくてはいけない。


だけど今はヒナタの下へ向かおう。

まずはそれからだ。


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