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世界を生き抜く悪党の美学  作者: 横切カラス
8章 悪党は全てを奪い去る
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第1話

季節は変わり冬がやって来た。

ホロン王国は寒さの厳しくなって来ていた。


だと言うのに我が妹達は元気である。


悪夢の一夜からヒナタとシンシアとアイビーは早朝から朝練を始めた。

雨の日も雪の日も学園の行事が無い限り毎日だ。


いい事なんだよ。

いい事なんだけど……

なんで毎日朝練後に僕の部屋に来てお風呂に入るわけ?

僕の部屋は年会費制のスポーツジムじゃないんだよ。


でも言えない。

余計な事を言うと、僕も朝練に巻き込まれそうだから。


黙って毎日お風呂を沸かしてあげる方が平和って物だ。


初めの頃はシンシアとアイビーは遠慮がちだったけど、今や賑やかで楽しそうな3人の声がここまで聞こえてくる。


というか、外まで聞こえてる。


これにより更なる問題が生じる事となった。


僕は毎日の日課となりつつある4人分の朝食を作り初めようとした時だ。


ピンポーン。


僕の部屋のチャイムが鳴った。


もう勘弁して欲しい。

このチャイムが鳴って碌な事があった試しが殆ど無い。

ちょっとトラウマになりそうだ。


僕はめんどくさいので出ない。

どうせ勝手に入ってくる。


チャイムに喜んで出たのはアンヌが来た時ぐらいだ。


あ〜ぁ、またアンヌ来ないかな〜

なんでエルザと一緒に旅に行っちゃったんだろう?

ずっとここに居てくれても良かったのに。


「あ・ん・た・ね〜」


やっぱり勝手に入って来たリリーナの恨めしそうな声が玄関の方から近いてくる。


リビングの扉が乱暴に開かれたと思った瞬間、リリーナが一瞬で僕の元まで走って来てボディーブローを入れた。


スピードの乗ったボディーブローは素直に痛い。


「なにするんだよ」


「一体何回言ったら分かるわけ?

毎回毎回同じ事言わせないで!

いるなら出る!」


「鍵持ってるじゃないか」


「それでも出るのよ!

私が来たら玄関までお出迎えに来なさい!

それもとても嬉しそうに!」


「嬉しくないのに?」


再びボディーブローが炸裂した。

もはや顔色ひとつ変えずに予備動作も無い。

リリーナはボディーブローを極めつつある。


「どう言う意味かしら?

まるで私が来るのが嬉しく無いみたいに聞こえるのだけど?

そんな事無いわよね?

こんなに美人で可愛い婚約者が尋ねて来て、嬉しく無い訳無いわよね?」


「逆に聞くけど、僕が突然リリーナの部屋にズカズカと入って行ったら嬉しいの?」


「嬉しいわよ」


「え?本当に?」


僕は思わぬ答えにビックリした。

大丈夫かこの子は?


「ええ本当よ。

なんなら私の部屋の鍵いる?」


「いりません」


「あらそう。

残念」


何が残念なのかは聞かないでおいた方がいい気がする。


「それで今日は何のよう?」


「最近あなたの部屋から毎朝の様に女の子達の声が聞こえるって聞いたの」


なんか途轍もなく怖い笑顔でリリーナが話始めた。


「確かによーく聞こえるわね。

とても楽しそうな可愛らしい声が。

しかも、お風呂場の方から聞こえるなんてね〜

一体どう言う事かしら?

説明してくれるわよね?」


「何を勘違いしてるかわからないけど、あれはヒナタだよ」


「3人の声が聞こえるのだけど?」


「シンシアの声だね」


「あと一人は?」


「アイビーだよ」


「死ね!変態!」


今日一番のボディーブローが炸裂した。

蹲りそうになったけど、リリーナに胸ぐらを掴んで無理矢理立たされた。


「私言ったわよね!

私にした事以上の事を他の女したら許さないって!

それなのに、よりによって妹とその友達になんて!

しかも3人同時だなんて!」


「ちょっと待ってリリーナ。

なんか勘違いしてない?」


「勘違いですって!

女の子が朝から男の部屋でお風呂入るなんて、やる事やった証拠でしょうが!」


「違う違う。

全然違う。

3人とも朝から剣術の稽古して汗かいたからお風呂に入ってるだけ」


「なんであんたの部屋なのよ!」


「どうせ迎えに来るのに一回帰るのめんどうだって言ってた」


「へぇ〜。

じゃああんたは毎朝3人のお風呂と朝食の用意をしてあげてるって言うわけ?」


「そうだよ」


リリーナは僕の顔をじっと見る。

僕は綺麗な目で訴えた。


「それ本当でしょうね?」


「なんなら出て来た3人に聞いてみなよ」


「覗いたりもしてないでしょうね?」


「もちろん」


リリーナはようやく手を離してくれた。

まだ若干苦しい。


「まあいいわ。

信じてあげる。

コーヒー淹れてちょうだい。

あと私の分の朝食もね」


そう言って勝手に椅子に座った。


「僕が?」


「なんか問題あるわけ?」


「……ありません」


僕はコーヒーを淹れてあげてから、朝食の準備に入った。


今日はネギ入りのスクランブルエッグと焼き鳥だ。


「あなたって、本当に妹には優しいわよね」


リリーナは朝食を作る僕を見ながら、手伝う事無く優雅にコーヒーを飲見続ける。


「その優しさを私にも向けてくれてもいいと思わない?」


「勝手に上がり込んで来る君にコーヒー入れて朝食まで用意してあげてるのに、なにが不満なわけ?」


「それはあなたが朝から女の子を三人も連れ込んでるからでしょ?

変な気を起こさない様にこれから私が毎日見張りに来てあげるわ」


「えー」


「妹達とその友達は良くて、婚約者の私がダメなわけ無いわよね?

それとも一緒に住む?

それいいわね。

私がこっちに引っ越して来ようかしら?」


「マイアサ キテクレルノ ウレシイナー」


「そうでしょ。

感謝しなさい」


なんでそんなに恩着せがましく言えるのだろう?

一体僕が妹達と妹の友達に何をするって言うんだ?


「本当にヒカゲって私の事大好きよね」


「……」


「なんで黙るのよ!」


「今包丁持ってて危ないから」


「どう言う意味よ!」


「今殴られると君に怪我させるかもしれないだろ」


「私を心配してくれたの?」


「だって怪我して欲しくないじゃん」


「まあ、そう言う事なら……」


急にそっぽを向いてモゴモゴ言い出した。

なんか知らんが殴られなくて済むようだ。

これからリリーナが来たら包丁を装備しよう。


「殴るのは後にしてあげるわ」


結局殴るんかい。


「そうだダーリン。

私、今日の放課後寄る所があるの」


「そうなんだ。

じゃあ僕は先に帰ってるね」


「私、男と会う約束してるの」


「へぇ〜」


「なんか思う所無いわけ?」


「なにが?」


リリーナが目付きを険しくして睨む。

なんか気に触る事言ったみたいだ。


まあ、考えてもわからないから気にしないでいよう。


「ねえダーリン」


リリーナが怖い笑顔を作って優しい声で話しかける。

やっぱりなにか怒ってる。


「なに?」

「まだ朝食の準備終わらないのかしら?」


なんだお腹空いたのか。

お腹空くとイライラしちゃうよね。


「出来たよ。

先に食べる?」


「ええ。

持って来てくれる?」


「はいはい」


僕はリリーナの前に朝食を並べた。

我ながら上出来だ。

とても美味しそう。


「ねえダーリン」


「なに?」


「もう包丁持ってないわよね?」


「そりゃ料理終わったからね」


「もっと私に興味を持て!」


朝食運んだらボディーブローされるとか……

なんて理不尽なんだ。

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