表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
世界を生き抜く悪党の美学  作者: 横切カラス
7章 悪党は自分の物に妥協しない
128/285

第7話

あーやだやだ。

なんで僕がオオクルの特訓に付き合わないといけないわけ?


せっかくここにいたらヒナタ達の稽古に付き合わなくていいのに。


さっさと彼にはリタイアして頂こう。

なんたって僕には神様パワーがある。


午前中と同じ特訓法でひたすら実戦方式。

オオクルは午前中の疲れが残ってるだろうし、どうせすぐにへばってくれるはずさ。


……自然育ちの健康優良児を舐めてたよ。

夕方まで休憩無しでとか体力化け物かよ。


それでも、心がバッキバキに折れるまでコテンパンにしてやった。

これで終わりのはずだ。

さあ、帰った帰った。


「師匠。

かーちゃんが今晩夕食をご馳走したいと言ってます」


オオクルがへばって大の字で倒れながら言う。


可哀想に。

母親に言われたから仕方無くなんだろうね。


こんなにコテンパンにされたら夕食誘いたく無いはずだからね。


ここは僕が空気を読んでやろう。


「いや、いいよ。

モグちゃんが作ってくれるから」


「神様も一緒にどうぞって言ってました」


「そうなの!?

やったー!

クミンの料理は絶品なんだよ」


モグちゃんは両手を上げて喜んでいる。


待てよ。

モグちゃんが行くって事は、僕の夕飯作ってくれないって事?


じゃあ行くしか無いな。



里に下りると、馬車が数台族長の家の前に止まっていた。


お客さんが来てるみたいだ。


「領主の使いの方が来てるみたいだね」


僕の肩の上に座ったモグちゃんが馬車を指差しながら言う。


「領主と交流があるんだね」


「今の領主とはね。

前の領主はシオルグとの繋がりが強かったから、ここのエルフの子達とはむしろ敵対してたよ。

だからオラが結界を通さなかったんだ」


モグちゃんが得意そうに胸を張っている。

だけど、その結界は僕を通してしまう欠陥品だ。


「ふーん。

国境とか領地とかは人間が勝手に定めた物だから、エルフの里には関係無いと思ってたよ」


「そこは関係無いかな。

だけど、近くにいる隣人同士だからね。

交流するにしろ、敵対するにしろ、立場をはっきりさせとくに限るんだよ」


「なるほどね」


コミニティの中で生きる善人の生きる術なんだろう。


僕にとっては窮屈なしがらみに過ぎない。


でも、それが出来るからこその強さがある。

その強さがこの里を作ったのだろう。


紫色の髪は忌み子。

そんな風習に囚われた里と、その風習から脱却しようとした里。


同じエルフでも、ここまで違う。

人間もいろんな国のいろんな考えがあるのと同じ事。


前者の里は滅び、後者の里は豊かに暮らしている。

だからと言ってどっちが正しいとかでは無いのだろう。


僕は見た目だけで忌み子とか言うのはくだらないと思う。

だって、そっくりの顔の僕とヒナタだって全く逆の悪党と正義だ。


僕の方が世界にとってはよっぽど忌み子だ。


でも、シオルグのコミニティにとっては生き抜く術だったのだろう。


それが時代の流れに飲み込まれて消滅したに過ぎない。


「あれ?

もしかしてヒカゲさん?」


僕は後ろから声をかけられて振り返る。


「やっぱり!

お久しぶりです」


族長の家から出て来たレインが駆け寄って来た。


「やあ、久しぶりだね。

なんでここに?」


「それはこっちの台詞です。

こっちに遊びに来てるなら、声ぐらいかけてくれたら良かったのに」


そういや、レインはここの領主の娘だったな。

ん?待てよ……


僕はポケットからクシャクシャになった封筒を取り出して、レインに渡した。


「なんですか?」


「僕の両親から」


レインはその中の手紙を読んでから僕を睨んだ。


「ヒカゲさん。

ここに来る前に私の家に寄る様に言われてませんか?」


「……言われた様な気もする」


「なんで寄らなかったんですか?」


「忘れてた」


「もう!

今回はただの挨拶だけの手紙でしたから良かったものを!

内容によっては国際問題ですよ!」


「ニャー」


僕はカワイイ寝のポーズで誤魔化す。


「なんですか、それは?」


「かわいいでしょ?」


「確かにかわいいですけど、そんなのでは誤魔化せませんよ」


「ダメ?」


「ダメです。

しっかり反省してください」


「はーい」


おかしいな〜

僕なら一撃なんだけどな〜

やっぱり男の僕がやってもダメなのかな?

少しでも面白かったと思ったら下にある☆ ☆ ☆ ☆ ☆から、作品の応援をお願いします。


1つでも構いません。


ブックマークも頂けたら幸いです。


よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ