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世界を生き抜く悪党の美学  作者: 横切カラス
7章 悪党は自分の物に妥協しない
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第3話

目的地は決まったわけだが、問題が一つある。

国境を越えないといけない事だ。


最悪は無断で越えればいいのだけど、みんなに行くとバレているのにそれはリスクが高すぎる。


僕は実家までダッシュで行って、両親にカルカナ王国に行く許可を貰いに行った。


お気楽両親は軽く許可をくれた。

口ぶりから両親もリリーナのプレゼントの為だと勘違いしたみたい。

おまけにお小遣いまでくれた。


これもリリーナの誕生日のおかげだ。


仕方ない。

リリーナの誕生日プレゼントもついでに用意しよう。


エルザの里であるルカルガは国境渡ってすぐのヤマーヌ領内にあるみたいだ。


一言に隣の領地と言っても広い。

アークム領から見たら反対に位置する森の中だ。


馬車だと3時間かかるぐらいかかる。

でも僕のダッシュだと一瞬。


森までは着いた。

問題はここからだ。


エルザは見つからないように結界をしていると言っていた。


つまり結界を見つければいいって事だ。

簡単簡単。

ほら、気づいたら結界の中に入ってたよ。


入っといて言うのもなんだけど、こんなに簡単に入れて良かったのかな?

あぁ、ダメだったみたい。


すっごい殺気だ。

でも、せっかく隠れて奇襲出来るってのに勿体ないな〜


「くらいやがれ!」


って声まで出したら全然意味ないじゃん。


僕は木の間から飛び出して来た刺客の剣を一歩下がって軽く躱わす。

刺客は金髪短髪の少年だった。


あれ?この子なんとなく――


「や〜」


もう1人隠れていた刺客が僕の後ろから覇気の無い声で襲いかかって来たけど、声を出したら意味ないって。


跳んで躱わすと同時に宙返りして、刺客の後方の離れた所に着地する。


二人目は藤色短髪の少女だ。

両方10歳ぐらいかな?


「くそっ。

完璧なタイミングだったはずなのに」


「やっぱり私には無理だよ」


「情け無い声出すな。

弱気なのがバレるだろ」


「でも……」


全部筒抜けなんだよな〜

そう言う事は敵にバレないようなボリュームで話そうよ。


二人共剣筋は悪く無いんだけどな。


「次も俺が先に行って気を逸らすから、お前は森に隠れて奇襲だ」


「もう辞めようよ」


「何を言ってるんだ。

今、里を守れるのは俺達しかいないんだ」


「でも、私上手く出来ないよ」


「大丈夫だ。

失敗してもいい。

何度でも僕が囮になってやる」


「うん、わかった」


うん、僕もわかった。

だって全部聞こえてるんだもん。


「そこのお前!

この俺が相手だ!

いいか!

俺だけが相手だからな!」


少年が必死にアピールしてる間に少女が木々の間に隠れに行ってる。

なんかとても微笑ましい光景だ。


「いくぞ!

こっちだけ見てろよ!」


少年が緊張した面持ちでジリジリ近づいくる。


「コラッ!

やめんかバカ息子!」


その少年の頭に、痛そうな音がこっちまで聞こえる程強烈なゲンコツが入った。


「痛ってー!!

何するんだよかーちゃん!」


どうやらこの金髪エルフは少年のかーちゃんらしい。


ゲンコツした反対の手には、先ほどの少女の後ろ襟をがっちり掴んでいる。


少女もゲンコツされたみたい。

涙目で頭を両手で押さえてる。


「何するんだよ!じゃない!

お客さんになんて事するんだい!」


「でもかーちゃん!

こいつ絶対悪人だぜ!」


ご名答。

少年は人を見る目があるね。


「初対面の人になんて事言うんだい!

ここの結界は森の神様が作った結界だよ。

悪人は迷って入って来れないようになってるんだ」


おい神様。

仕事しろよ。

悪党の僕がすんなり入って来てるぞ。


「すまないね。

この子達はしっかり叱っておくから、勘弁してくれないかい?」


「いいよ。

全然気にしてないから」


このエルフ、全然子持ちに見えない。

エルフって凄いな〜


でもこのエルフどことなく……

と言うか、少年もそうだったけど――


「ありがとう。

私はクミン・ノワール。

このバカ息子はオオクル。

こっちの子はシャノン・ルカルガ。

族長の娘さ」


やっぱりエルザの親族だったか。

何処かエルザに似てると思ったんだ。


「僕はヒカゲ・アークム。

エルザにここなら探し物が見つかるって聞いて来たんだ」


「ああ、前にエルザが言ってた友達だね。

ようこそ。

とりあえず族長に挨拶に行こう。

案内するよ」



ルカルガの里は入り口から全体を見渡せる程度の小さな里だ。

その至る所に綺麗なクリスタルが置いてあった。


なんだか時間がゆっくり流れているよう。

いきなり襲撃を受けたが、里の人はみんな穏やかでのんびりと生きている感じだ。


族長は藤色髪のおじさんエルフだった。

ダンディなお髭を生やしている。


ここに来る途中で見たエルフ達は色んな髪色していた。


エルザの言った通りこの里では、髪色で格付けするなんて馬鹿げた事は無いようだ。


「なるほど。

話はわかった。

歓迎するよヒカゲ・アークム」


族長はエルザからの手紙を読み終えてから言った。


「ただ、君の探し物については森の神様に聞いてみないといけない。

我々も必要な時にお伺いを立ててから使う事にしている」


「わかった。

森の神様に聞いてみるよ」


「そうしてくれ。

娘に案内させよう」


族長の横で気配を消すように小さくなっていた、シャノンがビクッとした。

そして恐ろしい物を見るように僕を見る。


どうやら僕の事が相当嫌いらしい。

行きたくないと顔が物語っている。


そんなに嫌われる事をした覚えは無いのだけど……

嫌なのに無理矢理案内させるのも気が引ける。


「族長。

俺も行くよ」


オオクルが手を挙げて、話に割り込んで来た。

だけど、決して親切心では無さそう。

僕を敵対心が剥き出しの目で睨みつけている。


「そうか。

じゃあ二人共頼むぞ」


族長さん、この目にお気づきじゃない?

こんな二人を僕の案内役に任命しちゃうの?

もしかして、本当は僕は歓迎されて無いのかも。


……そりゃそうか。

いきなり来てシルクと羽毛よこせだもんね。

追い返されないだけありがたい事だ。

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