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世界を生き抜く悪党の美学  作者: 横切カラス
6章 悪党は世界の全ての敵となる
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第28話

リングに1人残された僕の元にスミレが歩いて来る。


「お疲れ様。

これで終わりかしら?」


「ああ、あとは財宝とやらを拝みに行くだけだ。

お前達はどうする?」


僕の闘いに圧倒されて固まっている三人に声をかける。


「ついて行かせてもらうわ」


リリーナが言葉を絞り出して椅子から立ち上がった。

後の二人も立ち上がった所を見るとついて来るみたい。


まあ、あれだけ実力の差を見せつけたら剣を向ける事は無いだろう。


僕は奥の扉を開ける。


そこには緩やかな登りの螺旋階段があった。

その階段を登って行く。


長い階段を登りきった所に月明かりが差し込む部屋に辿りついた。


その月光に照らされて鎧と剣が白く輝く。

精巧な作りからして間違いなくロビン・アメシスの作品だ。


「魔坑石の鎧と剣!

まさかこれが大いなる王国の力だと言うの」


ルナが信じられないと言わんばかりに驚いている。

だけど残念ながらあれはそんな物ではないよ。


「ルナ王女。

あれはそんな優れた物ではありませんよ」


どうやらトレインは気付いたようだね。


「でも。

魔坑石の鎧と剣があれば全ての魔力の攻撃も防御も無効にできます」


「無理ですよ。

何故ならあれを着た本人も魔力を阻害されますからね。

さっきの部屋でわかったでしょ。

あんな状態であんな重たい物を着たら動けませんよ」


トレインの言う通りだ。

魔力に頼っているこの世界の人にはあれを使いこなすのは不可能た。


僕みたいな魔力に頼らずに動ける人間には使えるけどね。

別にいらないけど。


ロビンの奴め。

最後の最後にトラップを仕掛けてやがった。

本当に面白い奴だ。


僕は鎧の元に歩いていく。

そして鎧をゆっくり回転させて月明かりが当たる角度を変える。

すると剣に反射された月明かりが、部屋の奥の壁にかけられた絵を照らし出した。


7人の傍若無人に振る舞う様を天から1人の女性が困り顔で見ている絵。


「これは聖教の成り立ちを描いた絵ですね」


ルナが絵を見ながら語った。


「7人の超人に困っていた民衆の元に女神ティオネが現れ粛正し世界を救った。

以降女神ティオネを信仰する聖教が産まれたと言われています」


なるほど、ならあの困り顔の女性は女神ティオネなんだ。

そして傍若無人に振る舞う7人はまるで――


「七つの大罪ね」


「よく知ってるな」


スミレの言う通りだ。

しかし、スミレは物知りだな。

この世界にも7つの大罪って言葉があるのかな?


「あなたが教えてくれた事は全部覚えているわ」


え?僕が?

全然覚えていないや。


「人をダメにする自制すべく感情。

だけど、悪党にとっては必要不可欠な原動力なんでしょ。

私達はまだそれが足りないから、あなたがその逆の二つ名を付けてくれたのが懐かしいわ」


……どうしよう。

全く記憶に無い。


多分何も深く考えずに雑談の中で言った事なんだろう。


よし、この話題を深掘りするのはやめよう。


「どうやらこれが王国の隠された財宝って事だな」


「でも、ドーントレスのジジイは大いなる力って言ってたわよ」


僕が無理矢理話を終わらせて帰ろうと思ったのに、リリーナが終わらせてくれない。


でも、リリーナの言う事にも一理ある。

これが大いなる力とは……


僕は女神ティオネの困り顔を見てふと思った。

その困り顔の中に何処か優しく見守る母性の様な物が滲み出ている。


更に7人の中には人間だけでなく、長耳のエルフが1人、尻尾と耳が生えた獣人が2人、角の生えた鬼人が1人、鋭い牙のヴァンパイアが1人いる。


僕は改めてスミレの顔を見た。


「どうしたの?」


スミレは不思議そうに僕を見る。


「いや、なんでもない。

なんでもないんだけど……

ククク。

アハハハハハハ」


僕は堪えきれずに大笑いしてしまった。

みんなが突然笑い出した僕を不思議そうな目で見てるけど、そんな気にならない。

こんなの笑わずにはいられない。


そうか。

あの日スミレが秘密基地の結界に弾かれなかったのはロビン、君の仕業だったのか。

そしてスミレの元にナイトメア・ルミナスのみんなを集めたのも君の仕業なんだね。


全ては今この時、僕にこの絵を見せるこの瞬間の為だけに。


全く良くやるよ。

こんな大掛かりで時間がかかる事を。


「リリーナ・コドラよ」


「な、何よ」


僕は笑うのを辞めてリリーナの方を見る。


「これこそが大いなる力だ」


「どう言う意味?」


僕はそれには答えるつもりは無い。

そのかわりこれは置いて行くよ。


「スミレ。

帰ろうか」


「ええ」


スミレは僕の近くに寄る。


「待ってください。

これが大いなる力とはどう言う事なんですか?」


ルナが僕らを引き留めようと尋ねる。


「王国の姫よ。

この部屋の物はくれてやる。

両方ロビンが手掛けた一級品だ。

代わりの国宝としては充分だろ。

その代わり、美術館に展示されたロビンコレクションは奪って行く」


「待ってください!

まだ話が――」


僕はロングコートを翻して、自身と隣まで歩いて来たスミレを隠す。

そして跡形も無く闇に溶けるように消えた。


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