第11話
クレープ美味しかった。
結局30種類も食べてしまった。
お支払い金額がえげつなくなってたけど、ルナの顔色一つ変わらなかった。
流石王族。
あれぐらい大した事ないのだろう。
ルナと別れた僕は真っ直ぐ家路につく。
あとはゆっくりまったり過ごすだけだ。
寮に着いてソファーにダイブした瞬間チャイムがなった。
またお客さん。
「はーい。
今出るよー」
だけど、今回はウキウキで扉を開けた。
「こんばんは。
ヒカゲ君」
「やあ、アンヌ。
遊びに来てくれたんだね」
やったー。
僕の最大の癒しのアンヌだー。
なんで王都にいるか知らないけど、そんなのはどうでもいい。
今日はいい日だ。
「急に来てごめんね。
お邪魔してもいい?」
「どうぞどうぞ、入ってよ。
お邪魔だなんてとんでもない。
アンヌならいつでも大歓迎だよ」
僕はアンヌを部屋に入れて、扉の鍵を閉めた。
そしてリビングに入ったらリビングのドアの鍵も閉めた。
「ねえヒカゲ君」
「なあに?」
「なんで鍵を閉めたの?」
「用心の為だよ」
「いつもリビングの鍵も閉めてるの?」
「閉めて無いよ」
「ならどうして今閉めたの?」
「……」
「……」
あれ?なんでだろう?
なんか無意識で閉めてしまった気がする。
「ヒカゲ君」
「はい」
「なにかいやらしい事考えてない?」
「そんな事無いよ」
「ならリビングの鍵は開けましょうね」
「……はーい」
僕はリビングの鍵を開けた。
なんか分からないけど凄く開けたくなかった。
「それで、王都にはいつまでいるの?」
「来週いっぱいまでいる予定です。
エルザがいると聞いたので、久しぶりに会おうと思って」
「なんだ。
僕に会いに来た訳じゃないんだ」
「も、もちろん、ヒカゲ君にも会いたかったよ」
僕が露骨に残念そうにすると、アンヌが慌てだした。
いちいち反応するアンヌは可愛い。
つい虐めたくなっちゃう。
「でも一番じゃないんでしょ?」
「そんな事無いわよ。
ヒカゲ君が一番」
「本当に?」
「本当よ。
だからこうやって最初に尋ねて来たのですよ」
「やったー!
僕がアンヌの一番」
喜ぶ僕を見てアンヌがホッとした表情を見せる。
その後のダメな子を見守るような優しく暖かい表情に僕は癒された。
「ヒカゲ君。
お願いがあるのだけど」
「うん、いいよ」
「まだ何も言ってませんよ」
「アンヌのお願いならなんでも聞いちゃう」
「もう、ヒカゲ君ったら」
クスッと笑うアンヌが可愛い。
もう僕はメロメロだよ。
「それでお願いなんですが。
王都にいる間泊めてくれませんか?」
「ここに?」
「ええ、ダメですか?」
「アンヌが居てくれるのは凄く嬉しいけど……
シンシアの所の方が良くない?」
だってあっちは正真正銘の姉妹だよ。
僕は弟とはいえ義理だし。
「それは……その……」
なにか凄く言いにくそうにしている。
ははーん、わかったぞ。
喧嘩でもしたんだな。
仕方ないな〜
「僕はいいよ。
いつまででもいてよ」
「いえ、いつまででもはいませんよ。
でもありがとうございます」
「やったー!アンヌと同衾だー!」
「同衾はしません!」
アンヌがピシャリと大声で否定する。
この慌てっぷりがとても愛おしい。
「えー。
でもベット一つしか無いよ」
「私はソファーで大丈夫です」
「えー。
ソファーで二人寝るのは狭いよ」
「なんでソファーで一緒に寝るんですか!
ヒカゲ君はベットで寝ればいいでしょ!」
「アンヌをソファーで寝かせて僕だけベットなんて、僕には心が痛くて寝不足になっちゃうよ」
「それはダメですけど……」
「大丈夫だよ。
この部屋のベット大きいから」
僕はアンヌの手を引っ張ってベットルームに案内する。
最高級の部屋だけあってベットはダブルサイズ以上ある。
「確かに大きいですけど……」
ガシャリ!
アンヌがベットを見てる時にベットルームの鍵を閉める。
アンヌがビックリしてこっちを振り返った。
「なんで鍵を閉めたんですか!?」
「え?あれ?なんでだろう?」
「早く開けなさい」
「そういやアンヌ。
前の騙し討ちのお詫びになんでも言う事聞いてくれるって言ったよね?」
「言いましたよ!
だけど、なんでこのタイミングで言うのですか!」
「何にしようかな〜」
僕は両手をワキワキしながらアンヌにゆっくり近づく。
アンヌはそれに合わせて後退りするけど、ベットに当たってベットの上に尻餅をついた。
「ヒカゲ君。
なんか怖いですよ」
「なんでもって言われると悩んじゃうな〜」
「そのなんか卑猥な手の動きは辞めなさい!」
「なんでもいいんだよね?」
「なんでもって言ってもあまりにエッチなのはダメですからね」
「あまりにってどれぐらい?」
「えーと……それは……」
アンヌが悩みだす。
自分で言っておいて、基準が無いのだろう。
「同衾は?」
「ダメに決まってるでしょ!」
アンヌが一気に顔を真っ赤にして怒鳴った。
反応がいいから、つい虐めたくなっちゃう。
「ならお風呂で洗いっこしよ」
「ダメです!」
「ならアンヌ全身ペロペロしていい?」
「ダメです!
なんで私が思ってるエッチな事を軽く超えてくるんですか!」
「もうアンヌは我儘だな〜
じゃあ一緒のベットに寝るぐらいならいいでしょ?」
「え?まあ、それぐらいなら」
「よし、じゃあ決まりだね。
約束だよ」
「はい、わかりました」
大きな要求を拒否させて小さな要求を通す。
良くある交渉術だ。
アンヌは本当に単純だな〜
「やったね。
アンヌと同衾だ」
「だから同衾はしません!」
「アンヌの抱き枕は柔らかくていい匂いなんだろうな〜」
「そんなのダメですからね!」
「しばらく寝れそうにないな〜」
「寝れなかったら意味ないじゃないですか!」
「アンヌも寝かさないよ〜」
「ダメです!
やっぱりダメです!」
「今夜が楽しみだな〜」
「話を聞きなさい!!」
かわいい。
顔真っ赤にして恥ずかしそうに怒ってるアンヌは凄くかわいい。
まあ、どうせ襲わないんだけどね。
でも、こうでもしないとアンヌの事だからベットで寝てくれない。
僕が我慢すればいいだけの話さ。
僕の身内は悪党には渡さない。
もちろん生粋の悪党の僕も含めて。
◇
翌朝。
目が覚めるとアンヌの可愛い寝顔がある最高の朝を迎えた。
もちろん指一本触れてない。
この寝顔だけで満足しよう。
僕はアンヌを起こさないように起きてリビングに行く。
「これが一週間か〜」
これは思ったよりもハードだぞ。
大丈夫だ。
僕の美学は絶対だ。
ん?一週間?
アンヌがお泊まりする嬉しさですっかり失念していたぞ。
明日の夜はマズイじゃないか。
まさかこんな罠があったとは……
どうする?
なにか手を考えないと……
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