第二話 ブリックス皇国
今回も思いつく限り適当に書きました。
言葉の練習よりも小説ってどんなの??ってところから始まってます。難しいけど、それらしく描けた時が、すごく楽しいです。
ブリックス皇国━━━剣術と魔法を中心に技術を発展させてきた国。武力においては、右に出る国は無く、その技術は、対魔ブリックス聖戦における魔王軍との戦いで大きく貢献した。また、力のある冒険者や傭兵を兵士として採用することもあり、腕に自信のある冒険者や傭兵達にとってブリックス皇国は憧れや目標として存在している。
先のラッドとの戦闘後、灰色コートの男はネズミの洞穴から出て、商店街の方を歩いていた。
「ん〜、空気が美味しい!変な裏路地なんか通って近道しないでゆっくり観光すれば良かったかな?」
思い出すのは、生ゴミや人の嘔吐物の匂いで満たされた薄暗い通路。流石に、男は参っていたようだ。
「それにしても、屋台が沢山だなぁ。歩く人々も楽しそうだし、活気があっていいことだね」
見渡す限り、街の通路には沢山の屋台が並んでおり、雑貨、食べ物、武器や魔法のスクロールなど様々な物が売りに出されている。
「いらっしゃい!うちの商品を見ていかないかい!!」
「今日の朝採れた新鮮な魚だよ!」
「うちのポーションは品質に自信があるヨ!!」
色んな屋台の店主たちに呼び止められる。
気を抜いたら、引っ張られてしまいそうだ。
「聖戦が終わって良かったね。もっと前は、シーンとしててすっごく寂しかった街なのにね」
男は、少し前に見た街の風景を思い出す。
今の街からは想像がつかないほど、街は静かで、屋台なんて一つもない。
今屋台が並んでいる道だって、鎧を着た兵士たちが歩く為にしか存在していなかったのだ。
大人から子供まで早く聖戦が終わることを祈るばかりの毎日が続いていたのだ。
「ふふ、君は凄いことをしたんだね。今は何をしているんだい??」
屋台の奥にある大きな石像に目を向ける。
それは、聖戦の終結に大きく貢献した者の石像であった。
「勇者コルリオくん、君は今、一体どこでどんな生活をしているんだい?」
勇者が魔王を討伐した後、その行方は不明である。
皇国も勇者コルリオの行方については秘匿にしており、誰も勇者コルリオの現在を知らないのである。
『まぁ、聖戦が終わって、平和になった世界のどこかで昼寝でもしているんだろうな』
勇者コルリオの石像を通り過ぎて、男は再び街の散策に向かおうとする。
『次はどっちに行こうかなぁ?お城の方に行こ──』
視界の端で、屋台の方から何か大きな塊が飛んで来ているのが見えた。
「おい!アンタ、そこに立ってると危ない!避けろ!」
店主らしき人が避けてくれと叫んでいる。
避けなくたって男にとってはなんともないだろう。
だが、飛んできている塊、それは──
「ダンベル?いや、魔法具のダンベルか」
この世界で筋トレをする者たちに好まれている魔法具のダンベルが飛んで来ていた。
魔法具のダンベル──魔力を込めることにより、重さを自在に変えることが出来る筋トレ道具。軽くすることで、持ち運びが楽になる。いつでもどこでも筋トレができる優れものだ。
男は困っている。
流石に、治りやすい体質なんてのを人々に見せてしまえば悪目立ちをするのは避けられないだろう。
かと言って、これを今から避けるのは正直、疲れ──いや、難しい。
「あ、危ない!お願いだ、どうにか避けてくれ!」
店主の顔が青ざめている。
周りの人達も男を心配そうに見つめたり、子供の目を塞いだり、皆それぞれの動きをしている。
『流石に疲れ──難しいとか言ってる場合じゃないな。うん、避けよう。』
男が避けようと、足に力を入れた途端、横から謎の人物が現れ、男の前に立つ。
「武装展開」
その人物は詠唱武装を唱え、槌のような形をした武器を作り、ダンベルに向かって振り回した。
「ふんぬぁぁぁ!!」
ダンベルと槌がぶつかり、「ゴンッ!」と衝撃波と鈍い音が周囲に生じた。
弾かれたダンベルはコロコロと地面に転がり、やがて静止する。
周囲の人々は止まったダンベルと男達を交互に見る。
「うぉぉぉぉ!!本当に済まない!そして、ありがとう!君、どこも怪我はないか!?」
やがた、店主が大声を上げて寄ってくる。状況を呑み込めた人達が安堵し、段々と散り始める。
「吾輩は、特に怪我は無いのである!お主もそうであろう?灰色の男よ!」
目の前の人物はニッと笑って方をポンポンっと男の肩を叩いた。
「えぇ、お陰様で無傷です。危ないところを助けていただき、ありがとうございました…えーっと」
「おや、失礼!吾輩はゴリアスと申す!」
「ゴリアスさん、ありがとうございました。僕は、」
「よい、ローブで顔まで隠すのだ。訳ありなのだろう??」
「……お心遣い感謝します」
「紳士として当然である!では、吾輩はこれにて!」
ゴリアスと名乗る大男は槌を分解してその場から飛び上がり、一瞬にして立ち去った。
『嵐のような男だったなぁ。』
ゴリアスが飛び去った後を眺めていると、横から店主が喋りかけて来た。
「あの、本当に申し訳ございません!謝礼として、うちの商品をどれか持って行っ──」
「いえいえ、店主さん。僕はこの通り大丈夫でしたし、気にしなくて結構ですよ。それに、ゴリアスさんに僕は助けられましたし、お礼なら、ゴリアスさんにしてください」
店主に謝礼をと言われたが、直ぐに断った。
仮に男に当たっていても何も問題なかったのだ。
そんなことで、謝礼をしていたら、男は無一文で店を潰してしまうことだろう。
『ふふっ、でもそれはそれでやってみたいかもな』
───不意に当たっていたらどうなっていたかと考えてしまう男がいたのだった。
店主から逃げるようにして、男はその場を去る。
気付けば、月が次第に上がっている頃だった。
『この後は、冒険者ギルドにでも行ってみようかな?』
夜の冒険者ギルドは武勇伝で賑わう。
世界の情報を知るには1番いい。
『どんな話が聞けるのか楽しみだなぁ』
男は冒険者ギルドに歩みを進めたのだった。
ゴリアテのプロフィールを灰色のコートの男視点で幾つか挙げていきます。
身長:2mほど
体格:とてもマッチョ
歳:恐らく30前半?
性格:紳士
備考:武器は槌、脳筋に見えて、小さいダンベルに当てる技量もある。強者であると予想できる。
以上です!
急に出てきたゴリアス、一体何者なんでしょうね?