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もしかして悪役令嬢 ~たぶん悪役令嬢なので、それっぽいフラグを折っておきます~  作者: もののめ明
アルフレッド視点1

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変わってみよう、と思う

 折れた足は王城へ戻るなりすぐに治されたが、僕の折れた心はすぐに治らなかった。

 何でも簡単にこなせると思っていたけど、思い上がりもいいところだ。惨めだった。

 ウィリアムもブランドンも、珍しく何も言わず、ただ日々だけが平坦に過ぎてゆく。

 そんなある日、母上が「アリッサ嬢を城へ招きたいのだけど」と言い出した。

「お会いになりたければ、ご自由に会われれば良いでしょう。僕は会いませんが」

「あまり大袈裟にしないため、アリッサ嬢しか招けないのよ。小さな女の子が、たった一人で城へ来るなんて不安に思うでしょう?アルは二回も彼女と会っているから、同席してくれない?顔見知りがいれば、少しはマシだと思うの」

 情けないこれまでの経緯を知っているはずなのに、母上はひどいことを言う。

 僕は返事せずにそっぽを向いた。

 母上の溜息が洩れる。

「アリッサ嬢はとても努力家なのですって。たくさんの勉強に加えて商会のお手伝いもするし、護身術まで習っているとか。そしてね、それは全部、彼女がやりたいと言って始めたことなのよ。アルは……自分でやりたいと言ってやったことは何かあるかしら?わたくし、アルにアリッサ嬢の好奇心や行動力を見習って欲しいの」

「…………」

 母上に言われて、僕ははっとした。

 確かに……これまで僕は、自分から何かをしようとしたことがないかも知れない。

「それとアリッサ嬢と婚約しろとか、友達になれとか、そんなことを言うつもりはないわ。コーデリアと決めているから。あなた達の意に沿わぬことはしないって。ただね、どうしても一度はアリッサ嬢には会ってみたくて。わたくしは火龍公爵家に行けないから、少しだけ、協力してくれないかしら?」

 母上はずるい。こんな言い方をされて、駄々っ子みたいに振る舞えるはずもない。

 僕は渋々、承諾した。


 その夜、僕は一つの決意をした。

 アリッサ嬢は護身術を習っているという。だからだろう、木に登ったとき、最後はいとも簡単に自身の体を持ち上げていた。僕は、彼女みたいに腕の力だけで体は持ち上がらない。

 そう、すでに基礎の部分で僕は年下の少女に負けているのだ。

 剣術をやっているといっても、形だけ。先生も、僕が怪我をしない程度に手加減している。これでは駄目だ。アリッサ嬢は、きっとそんな生温い訓練はしていない。

 ───ウィリアムを呼び出す。

「どうしたんです、殿下」

「明日から、僕もウィルと一緒に騎士や護衛の訓練をする」

 ウィリアムは、何故か騎士の訓練と護衛の訓練二つをこなしている。必要とされる動きが全く違うので、両方を修めているらしい。

「へ?殿下が?必要ないでしょう」

「必要か必要でないかは関係ない。僕が強くなりたいんだ」

「…………なるほど」

 意味深な目付きでウィリアムが頷く。何か軽口でも叩くかと思ったが、驚くほど明るい笑顔になって僕の頭を撫でた。

「じゃ、明日から一緒に鍛えましょう!男はやっぱり強い方が格好良いですからね!」

「こら、撫でるな!」

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