不公平な世界だからこそ
「……誰かを羨ましい、憎らしいって思うのは、自分もその人が持ってるモノを欲しいからでしょ。じゃあ、持ってる人を貶めても意味ないと思うんだけど」
「意味がわからねぇ」
「自分の欲しいものを持ってるからって、その人を攻撃しても、手に入るわけじゃない。そんなムダなことをするより、欲しいものを得るために努力する方が良くない?」
「努力したって、最初に何も持ってなかったら、どうしたって手に入らないんだよ」
確かに、スタートの差は大きい。
私の今世の立ち位置なんて、かなりの“当たり”だろう。
だけど、こればかりは運だ。人生ガチャだ。人がどうにか出来る領域じゃない。
「……そうだね。生まれる場所も身分も才能も容姿も、全部、運。だけどそれ、仕方ないじゃん。そこに文句を言うなら、神様に言ってよ。それとさ……もし、公平にみんな同じになったら……つまり、顔も頭の中身も一緒になったら、他人を好きになれる?全員、同じもの食べて同じ仕事して、それ、面白い?自分と同じような人と会話して、何か刺激ある?そんなんで世の中、発展するのかしら。あなた、刺激が欲しいんでしょ。じゃあ、“差”があるのは仕方ないじゃん」
「…………」
「他の人と違うから、面白いこともあるし、腹の立つこともあるし、刺激もある。そして差があるから、偉くなりたい、お金持ちになりたいって夢も持つんだよ」
「話をすり替えるなよ。だから最初っから持ってるヤツは許してやれってか?」
「そうじゃないってば!」
もう頭の中、ぐちゃぐちゃだよ。
私だって正解は分からない。世界は不公平だらけだ。だけど、嘆いたって変わらないものは変わらない。
「つまり、自分が楽しく幸せになることに労力を割きなさいって言ってるの!言っておくけどね、持っていようが持ってなかろうが、死は誰にでも平等に、そして急に来るんだからね。そのとき、“ああ、いい人生だった”って笑える方が勝者じゃないの?そういう生き方をしなさいっての!」
私は、前世でもそれなりに平凡で幸せだった。ただそれに気付かなかっただけで。だから、今の生を受け入れても、本当は心の底に未練が残ってる。あんな中途半端に、何もない人生を終えるなんて。
今世は、そんな未練を残したくない。
そう、お気楽な身分に胡座をかいてるなんて言われたくない。今世の私は、努力してるのだ。
「…………それでも、それは恵まれた者の考えだ」
「そうね。だけど、あなただって持っているじゃないの。五体満足で、目も耳も口も問題ないでしょう!わたしが言うのも何だけど、あなただって持ってないことを理由にするのはズルいわ。せめて、上にあがるために足掻くだけ足掻いてから言いなさいよ。少なくとも、わたしは足掻いてるんだからね。努力してる。持ってるくせになんて、言われたくないわ!」
平等ってなんなんでしょうね。
少なくとも容姿、能力が全人類均一だったらそこに恋も愛も生まれまい……。
でも、戦争や飢餓や、幼児虐待などは、“持って生まれた運”ではなく、人類全体の協力で減らしていけるものだと思うので、出来る限り0を目指して頑張っていきたいですよね……。(何をどうすればいいか、難しいところですが)
今日も夕方に更新します。はー…、書くのが難しい……。