流れ星に願いを
さすがにアルと二人っきりはダメだということで、部屋の隅にメアリーが付き添う形で、パジャマパーティーとなった。一晩中付き添いではなく、途中、別の侍女と交代はするみたいだけど。
……あれよね、二人っきりで寝たことは、一生秘密にしておいた方がいいってことよね?
さて、パジャマパーティーの会場は、屋根裏部屋だ。
屋根裏部屋とはいえ、星を見るための天窓があるステキな部屋だった。
「うわ~、うわ~、部屋で寝ながら星が見れるなんて贅沢!」
「50年ほど前に、星好きだった当時の王女が作らせた部屋らしいよ」
「いいですね。今日はどれくらい流れ星が見れるかな」
ごろんと寝転がれば、流れ星が流れていなくても最高の眺めだった。夜空に星が、数えきれないほど輝いている。宝石の砂を撒いたみたい。
ひゃ~、カールトン領も星はよく見える方だと思っていたけど、それ以上だ。
「そうだ、アリッサにこれを」
楽しくってごろごろ転がっている私に、アルが箱を差し出してきた。
慌てて起き上がり、受け取る。
中は……アルカスターの守り刀!私がアルに贈ったのと同じ、白の鞘に金飾り、柄の宝石は───青。吸い込まれそうなほど澄んでいて、キレイ。
思わず見惚れていたら、アルが少し眉を下げて「気に入らないかな?」と聞いてきた。
はっと顔を上げ、ぶんぶんと首を振る。
「キレイな色で見惚れました。この色、すごく好きです!」
「!!」
「青って幸せを運ぶ色って言うし……私もこの守り刀、ずっと身につけますね」
「う、うん……」
マシューが勧めるから、アルの守り刀には赤い宝石を選んだけど、こういう色の方が良かったんじゃないかなあ。刃物に赤って禍々しいじゃん。青とか緑は上品だよ、うん。
それにしてもどこに着けようか、悩む~。太ももに装着したら、ヤラしいかしら?でも、暗器っぽくてカッコいいよね?ムッフフ……。
ふと、隣を見ると何故かアルが赤くなって布団に顔を埋めていた。
あれ?どうしたのかな?
流れ星は、2~3分に1回くらいの間隔で流れていた気がする。すごいよね。
私は前世で流れ星を見たことがなかったので、とてもとても感動してしまった。ただ、願いを3回も言うのは、やっぱりムリだな~……。
ちなみに、私の願いは馬に乗れるようになりますように!を縮めて「乗馬」。
これを早口で3回言うと、「う」が消えて「じょばじょばじょば」に聞こえるらしく、途中でメアリーの腹筋が崩壊してしまった。おかげで「おじょーさまぁ……ちがう願いにしてください~」と懇願される事態に。
一方、アルの願いは背が高くなりますように、ということで「高い背」。
意外とアルの願いが可愛くてほんわかするわ~。
そんなこんなで、アルと二人で願い事を連呼しては失敗して大笑いして。
最後は笑い疲れ、たぶん、私達は涙目で寝てしまったかも知れない……。
なお、お母さまと王妃さまは、屋根裏から聞こえる笑い声に私とアルがどうかしたのかとかなり心配したらしい。
明日の更新はお休みいたします。
年末でいろいろと片付けねばならないこともあり、間に合いませんでした……。
保養地編は長くなる予定なので、この後は休まず更新するようにしたいです。年内に次へ行きたい!
ちなみに、ここが終わればアルフレッド王子視点の話がちょこっと入る予定です。




