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もしかして悪役令嬢 ~たぶん悪役令嬢なので、それっぽいフラグを折っておきます~  作者: もののめ明
アリッサ5才

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初乗馬体験は思ったより怖かった

 ランチのあと、さっそく乗馬服に着替えて馬小屋へ。

 この世界に来てから、初めてのズボンかな?動きやすくていいわ~。編上げのブーツもカッコいい!

 たまに、部屋ではジャージでくつろぎたいって思うんだけど、ジャージがないならせめてこの乗馬服……ではムリだよね~。

「急に触ると、馬も驚きますでな。まずは挨拶して、ゆっくりと撫でてあげてくだされ」

 人の好さそうな馬番のお爺さんが、一頭の白い馬を引き出してくれた。

 お、大きい!

 私がまだ子供で小さいとはいえ、この背に乗ったらすごく高さがあって怖そうだな……。

 馬に詳しくはないけど、前世のサラブレッドに比べたら、脚がだいぶ太い気がする。でも、目は穏やかな若草色で、優しそうだ。

「スウェインという名前なんだ」

 アルが手を伸ばしてそっと首を撫でてあげると、スウェインは嬉しそうに目を細めて鼻面をアルにすり寄せた。

「こんにちは。アリッサといいます。よろしくね、スウェイン」

 ドキドキしながら声をかけて、私もそっと首に触れる。

 ふわ~、手に感じる体温が生々しい~。

 スウェインは、アルから私に視線を移し……ふん!と鼻息を吹きかけてきた。

「きゃあ!」

「はは、アリッサ、気に入られたね」

「ウソ?!嫌われたんじゃないですか、今の!!」

「スウェインは気に入らなかったら、かじる」

「ええっ?!」

「大嫌いな人間は、蹴りますな」

「ひええ……」

 蹴られたら死ぬって。


 アルの後ろからしがみつく形でスウェインに乗った。

「た、たかい……」

「ちゃんと僕に掴まっていたら、大丈夫」

「ア、アルの乗馬の腕は、大丈夫なんですか?」

「失礼だなあ。アリッサを危険な目に遭わせる腕なら、最初っから誘わないよ」

 妙に楽しそうに言いながら、アルはしがみついている私の手を撫でる。

「手!手を、手綱から離さないでください!」

「大丈夫だってば」

「ふわっはっは、お嬢様、安心召され。殿下はこの半年ほどで驚くほど腕を上げられましたでな。それにスウェインも賢い子で、無茶なことはせんですよ」

「は、はい……」

 馬に乗ってみたかったけど……こんなに高いとは思わなかった。

 しかも動き出したら、お尻が跳ねるじゃん!なんか、思っていたより安定感がないような……。

「高い木に上るのは平気なのに、この高さは怖いの?」

 ゆっくりとスウェインの歩を進めながら、アルが聞いてきた。

「うーん、木は、自分の手足で安全確保しながら上ってるから平気ですけど……馬って、馬の機嫌次第で振り落とされそうな怖さがあるというか」

「なるほど。僕の腕も不安だし?」

「…………いえ、そんな、アルに不安なんてないですよ?」

「棒読みだなー。よし、じゃあ、少し僕の腕を披露しよう」

 言うなり、アルは軽くスウェインを蹴った。

 その瞬間。

 スウェインは軽快に走り始め…………ぎゃー、お尻がもっとポンポン跳ねだしたぁぁぁ!い、痛い?!

「ちょ、アル、景色!景色を楽しみながらゆっくり行きましょう!!」

「向こうに、もっといい景色のところがあるんだ。早く行こう!」

「きゃーーーーっっっ!」


 きっと仕返しだ。

 前にカエルで脅かしたり、無理矢理に木を上らせた仕返しなんだ。

 ようやく馬から下り、痛むお尻を押さえて、私は恨めしい気持ちでアルをじっとり見つめた。

 ……最初の“怖い”という気持ちは、スウェインが走り出したら吹っ飛んだ。だって、もうホントにお尻が痛いんだもの!馬の鞍には絶対、クッションをつけるべきだと思う。

「おかしいなあ、あんまり楽しくなかった?」

「……お尻が痛いです」

「痛い?……アリッサ、力が入りすぎてない?足の力は抜いて、スウェインの動きに合わせるんだ」

「ええ?馬の動きに合わせる?予測もつかないのに難しいですよー……てか、アルはお尻痛くないの?馬に乗りすぎて岩みたいにガチガチのお尻になってるでしょ」

 痛くないなんて、おかしい。

 私が口を尖らせて訴えたら、アルはくすくす笑う。

「触ってみる?」

 それ、セクハラ。いや、本人がOKなら、問題ないのか?

「お尻にさわる趣味はありません!」

「僕も触られる趣味はないけどね」

 楽しそうに言って、アルは後ろを指差した。

「とりあえず、この景色を見せたかったんだ。機嫌、直してくれないかな?」

 彼の背後は……木立が途切れ、色とりどりの花が咲き乱れる夢のような景色が広がっていた。そのあまりの絶景に、お尻の痛みを忘れて私は歓声をあげた。

誤字報告をいただきました。ありがとうございます。

たくさんありました……お手数をお掛けしました。


数字は元々は漢字を使っていたのですが、読みやすさを考慮してアラビア数字に変えたものの、変え忘れたり、大文字小文字が点在したりしまして……ご指摘、感謝です。

頭の1字空けに関しては、スマホからPCに移す際、互換性の問題か勝手に詰まります(言い訳?)。なるべく見直しているのですが……結構、抜けていましたね……。

その他、「出来る」「言う」の部分に関しては、本来ならすべて漢字か平仮名に統一した方がいいと思うのですが、前後に漢字が多くて読みにくいかな?と感じた場合、平仮名を採用しています。反対に、平仮名に囲まれていたら漢字。これはもう、感覚でして。

全部統一しないと気持ち悪い!と思われたら、申し訳ありません。

おかげで、どこまで漢字にするか平仮名にするか、毎回悩んでいます~…。漢字の方が読みやすいときもあるし、平仮名の方が柔らかい雰囲気になる場合もあるし。同じく、擬音語も平仮名か片仮名か悩みます。この変換も、書いたときの感覚……。

アリッサの台詞も、すっかり漢字が多くなってきました。この頃、幼女の真似を忘れつつあります。

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