魔法の練習を始めるよ!
とうとう、この日がやってきました!
魔法の勉強、開始で~す。魔法のある世界に転生したからには、やっぱ早く使えるようになりたいよねっ。
大変かなと思ってた文字を覚える件は、案外、時間が掛からなかった。そして、ありがたいことに文法が日本語に似てるので、文章の読解は楽なのだ。これがもし、英語みたいな構成だったら、もっと時間がかかったんじゃないかな(英語、苦手だったし)。
分からない単語は辞書を引けばいいだけだし、こうなればもう楽勝。
図書室で、初級魔法の本はしっかりチェックしてある。こっそり持ち出し、皆が寝静まった夜中に練習をすることにした。
なお、兄さまに聞いたところによると、この世界では魔法の勉強は10才から始めるらしい。学校へ通い始めるのが10才ということもあるし、小さいうちは魔力が安定しないからなのだとか。
一人練習はいいけれど、ここでチート能力が発揮されて、ばばーんとでっかいファイアボールなんかが出たらヤバいかも知んない……ということで、倉庫から防御石や結界石というのを持ってきた。
屋敷の防犯は、こういう魔法の込められた石を使うことが多く、倉庫には備蓄があるのだ(防御石などは1回の攻撃を防いだら壊れてしまうため、替えが置いてあるらしい)。
さて、初級火魔法。
蝋燭に火を灯すところから。
指でパチンとして火が点けば、カッコイイよね~。
そうそう、魔法は四種類の属性に分けられる。火、水、土、風。光と闇もあるらしいけど、ここ100年くらい、使える人はいないとか?
でもって普通は、一人一属性か二属性。
たまに全属性がいる。
私が何属性か、学校へ行くまで分からないけど、この髪色だもん。始めはやはり、火でしょ。
ま、最終的には全部試すけどね。
火の点いていない蝋燭を置き、本にある通りの呪文を唱える。
かざした掌に熱が集まってくるのが分かる。やはり私に火属性はあるようだ。
蝋燭よ、灯れ!
必死に念じてみるけど……ダメだ。掌の熱が掴みどころなく霧散してゆく。
初日。
頭が痛くなるくらい頑張ったけど、結局、一度も火は灯らなかった。
いやもう、ファイアボールとか夢のまた夢じゃん?!
───蝋燭に火が灯ったのは、練習開始1週間目のことだった。それも、本当に小さな火で、すぐに消えてしまうほど。
ううう、道のりは遠い……。