流れ星に何を願おうかな
ちょうど昼時の到着だったので、すぐにランチとなった。湖を望むテラスで食べるらしい。
「うわー、風が気持ちいいですね!」
テラスの脇にはいい具合に木陰を作ってくれる木があり、さわさわと葉擦れの優しい音を立てている。
私は思わず深呼吸した。
ううーん、身体中が清められる心地~。
「夜は、流れ星がたくさん見れるよ」
「本当ですか?!じゃあ、いっぱいお願いしてみないと」
「お願い?」
「あ……あー、異国の風習で、流れ星が消えるまでに願い事を3回唱えたら、その願いがかなうって聞いたんです」
しまった。こっちの世界にはない風習だった。ちょっと焦ったけど、アルはにっこり笑って「いいね」と頷いてくれた。
「僕も願い事を唱えてみよう。ただ、3回も言えるかなあ」
「ですよね~。あ!って思った瞬間に流れてしまいますもん」
「んん~、同じことをずっと唱え続けていたら、ちょうどいいタイミングで星が流れてくれないかな?」
「ふふ、それ、ズルい気もしますけど、いい考えかも!」
いっぱい流れ星が流れるなら、それって素晴らしい作戦ではないだろうか。
「そんなところでお喋りしないで、こっちにいらっしゃいな」
王妃さまから声をかけられた。
私達は「はーい!」と返事して、急いでテーブルに向かった。
ランチでは、お母さまと王妃さまの学生時代の冒険をいろいろ聞けて、面白かった。
授業をさぼって猫とたわむれたり、寮で一晩中お喋りをして監督生に怒られたり、休みの日は街で買い物を楽しんだり……ときどき、ゴニョゴニョと誤魔化していたけど、二人は、わりとやんちゃな学校生活を送っていたようだ。
いいなあ。私も、学校へ行ったらこういう友人を作りたいなあ。
出来るかしらん。
ディも仲の良い友人だけど、学年が違うし。あ、アルとも違うんだっけ。
たぶん、大人になれば1年や2年の差なんて気にならないかもだけど、学生の1年って……壁なんだよねえ。
そういや前世で、部活動のときの先輩はめちゃめちゃ怖かった。
私は中学では、何を間違えたかテニス部だ。男子テニス部にカッコいい先輩がいるからという不純動機で友達と入部したのだが……いやもう、男子と触れ合うヒマもなくバシバシ鍛えられまくったもんね。
で、一度も公式な試合には出れなかったのだ……。いや、3年のときに1回だけ出て、すぐ負けたっけ?黒歴史だよなー……。




