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もしかして悪役令嬢 ~たぶん悪役令嬢なので、それっぽいフラグを折っておきます~  作者: もののめ明
アリッサ5才

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その気はなかったけど、さすがに傷ついたよ……

ちょっと文字量多めです

「お嬢様、マシュー様がお嬢様にお会いしたいそうですが……」

 扉を叩く音と、メアリーの声。

 私は目を瞑ったまま「いいよ」と答える。

 そして、ゆっくりと目を開いた。

 あちゃー。服もびしゃびしゃじゃん。いいよと返したけど、着替えなくちゃ。

 まだ、ふわふわと変な感覚が残ってる気がする。

 でも、さっき頭の中に一瞬溢れかけた、形にならない凄まじい量のイメージは、霧散していた。

 ふ……と息をつく。

 たぶん、あれをそのまま受け入れていたら、壊れる。あんな膨大なデータは、ただの人間には処理出来ない。でも、もし全部受け止められたら、世界最強の魔術師になるのだろうか。私はなるつもりはないけれど……。

「お嬢様?!」

 扉を開けたのだろう、メアリーの驚いた声が響いて、私はようやく硬直していた体を動かした。

「ごめん。ちょっとマシューには待ってもらって。先に片付けと着替えをする」

「ど、どうされたんです?どこからこんな水が……」

「あはは~、いろいろ実験していました」

「すごい実験ですねえ。でも、こんなに水を使うなら、外か浴室の方がいいですよ」

「そうだね。これからは、気をつけます」

 メアリー、何故、この異常現象を普通に受け入れるの。ありがたいけどさ~。


「急な訪問、申し訳ありません」

「ううん、ヒマだったから大歓迎だよ」

「じゃないかと思って」

 客間でおとなしく待っていたマシューは、ニコッと笑ってテーブルの上の箱を指した。

「面白いものを持ってきましたよ」

 おお!私が一人で退屈してるに違いないと、何か持ってきてくれたらしい。さすがマシュー。

 早速、箱を開ける。

 中に入っていたのは……

「オルゴール?」

「? 見たことがあるんですか?」

「あ、いや……」

「魔風琴というらしいのですが。帝国の魔道具です」

 マシューが箱から取り出し、側面のボタンを押す。

 中央の色鮮やかな黄緑色の石が輝いて、どこか哀愁の漂うメロデイーを奏で始めた。

 うん、オルゴールだね。

 でも、動力はゼンマイじゃなく魔法石なんだ……。この世界は、魔法があるせいか、動力は魔法頼みが多い。

 これくらいの物なら、ゼンマイ仕掛けでいいだろうに。

 歯車とか、このオルゴールにも金属のシリンダーが使われているので、ゼンマイくらい簡単に作れる気がするんだけどなー。この世界の技術は高度なのかそうじゃないのか、よく分からないや。

 私が魔風琴を手に取ってあちこち検分していたら、マシューがやや不満そうに呟いた。

「万年筆もそうでしたが、お嬢様はこういうのに驚きませんね」

「え?お、驚いてるけど?」

「……改良できる部分はありますか?」

「どうしてそんなこと聞くの?」

「お嬢様は発想力が豊かですから」

 私のは、発想力ではなく前世の知識。

 その前世で、私がもっと大人な研究者や専門職の人だったら、この世界で技術革新したかも知れないけど……平凡な女子高生にそんな力はない。

「……んん~、魔法石頼みの動力を違うものに出来たらいいな、とは思うね」

「魔法石以外の動力ですか……」

「ま、そのうち」

「わかりました、そのうち」

 マシューは真面目な顔をして頷いた。

 メアリーもだけど、マシューも案外、突拍子もない私の言動を素直に受け入れるよねえ。どうしてなんだろう。

「あ!そういえば」

「なんですか?」

「マシューって私と結婚したいと思う?」

 ……その瞬間のマシューの顔は、地獄の底を覗きこんだ人のようだった。

「───うん。分かったよ。私も聞いてみただけだから……」

 でもさ!その絶望に満ちた顔は、いくらなんでも失礼だよ!しばらく根に持つからね!!

マシュー:お嬢様は、上司としては尊敬しています!どんな無茶ブリでも頑張って応えるつもりです。

でも、結婚は、できれば普通の可愛い奥さんを希望します……。

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