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もしかして悪役令嬢 ~たぶん悪役令嬢なので、それっぽいフラグを折っておきます~  作者: もののめ明
アリッサ5才

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屋敷に一人で留守番なので、のんびり魔法練習します

 王都のカールトン邸は、今日は閑散としている。領の方で行われるオリバー兄さまの成人パーティーに、こちらの使用人も手伝いに行ってるからだ。

 私は部屋でおとなしく魔法の練習をしていた。今日は時間もたっぷりあるし、邪魔も入らない。水属性に取り組んでみよう。

 炎や風は、私の基本属性だからだろう、教科書に添って使えば、あまり苦労せずにそれなりに使えるようになる。しかし、土はそうはいかない。なので水も同じではないかと思う。腰を入れて、ゆっくり挑戦しなくては。


 午前中はひたすらコップの水と向かい合って、さざなみを起こそうと頑張った。

 だけど途中から頭痛がしてきたので、少し休憩し、魔法のことを考えてみることにした。

 水はH2O。水素原子と酸素原子が結び付いて出来ている。水を分解し、水素と酸素にすれば……あら?これって気体=風になるのかしらん。

 んん~、科学的に元素で考え出したら、魔法の属性って大雑把よねえ。一体、どこまでが風でどこまでが水の領域になるんだろう。

 不思議だなあ。

 でもそっか、考えてみたら、前世で普通に使っていた電化製品も不思議か。電気で動くって分かっているけど、その電気がどんなものか、どうやって作り出しているのか、何故それで物が動くか……私は原理を分かってないし。

 案外、魔法も似たようなものなのかも。

 ちゃんと研究している人には魔法が何故こういう働きをするか、どういう仕組みか理解しているけど、別に一般人は手順さえ知っていれば使える、みたいな。

 ま、そもそも科学だって全部の事象を解き明かしている訳じゃないもんね~。私は前世で超能力とか幽霊の存在とか、信じていた方だけど、科学では説明が出来ない。

 ……あ。ダメだ。なんだか、こんがらかってきた。

 私の中途半端な科学知識で魔法を理解しようってのが無謀なんだ、うん。


 ごちゃごちゃ難しく考えるのは止め、(酸素、水素、水~)と適当に心の中で歌いながら、コップの水に意識を戻した。

(酸素、水素、水~)

 物質は変化する。自然は循環の繰り返しだ。

 魂も、私はたまたま前世の記憶を取り戻したけど、きっと循環しているに違いない。

 誰の言葉だったっけ?

 ───万物は流転する。

 その言葉は、真理だなあ。流れる水も変化すればそよぐ風に……だけど冷えて固まれば堅牢な土に、熱く燃え上がれば炎に……私達の肉体もやがて土に還り、また別の生命の元となり……流転する……流転…………。


 カチッ。

 何か、感覚の奥の方で扉が開いた気がした。

 はっ、とした瞬間、コップの水がさざなみ、溢れ、どんどんと空中に集まり始める。

 やばい。

 たぶん、開けない方がいい扉を開けた。

 何故、そう思ったのか分からない。ただ、理屈抜きでそれを悟って、私は慌てて目を固く瞑り、すべての感覚を閉ざした。

 ばしゃん!

 私の前に広がっていた大きな水の玉が割れる───。

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