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もしかして悪役令嬢 ~たぶん悪役令嬢なので、それっぽいフラグを折っておきます~  作者: もののめ明
アリッサ5才

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貴族って、結構大変だよね

「アリッサが水龍公爵家に嫁入りするって話で今、会場が大騒ぎなんだよ」

「セオドア兄さま……エリオットさまは、お友達なんです。結婚とか、そういうの、ぜんぜん考えてないです……!」

「うん、俺もそうだろうなって思っていたよ」

 温室に着き、明かりを灯して私をベンチに下ろした兄さまは、よしよしと頭を撫でてくれた。

 思わず泣きそうになる。

「ただ、アリッサが水龍公爵家に行ったことが発端らしくて。ちゃんと紋章のない馬車を使ったのに……うちを張ってるヤツがいるんだろうな」

 親指を噛んで、兄さまが悔しそうに言う。

 そ、そうなんだ。

 そんな対策してたんだ。知らなかった。

「王城に行ったときも、そうだったの?」

「そうだよ。特に王城の方はそうしないと、殿下や王妃様に私的には会えないからね」

「私的に会えない?」

「堂々とどこの誰か分かるような入り方で王城を訪ねちゃったら、公式扱いになって、大広間で官僚や衛兵が並ぶ中、壇上に並ぶ殿下や王妃様と話をすることになるよ」

 うわ、それは最悪だ。

 そっか……。私、礼儀やマナーは勉強してるけど、貴族としての“常識”はあまり真面目に考えてなかったかも……。

「それにしても……アリッサ、一晩泊まっただけで水龍公爵閣下まで籠絡するって、どんな魔法を使ったんだ?」

「ろうらく……?」

 兄さまの言葉の意味が分からない。

 首を傾げていたら、兄さまも同じように首を傾げた。

「ルパート閣下、父上とは今まで全く折りが合わなかったのに、今日はにこやかに挨拶に来て、“今後とも末長くお付き合い頂きたい”って言い出した上にアリッサを褒めまくったもんだから、周りがこれはもう“アリッサとエリオット様が婚約”なんだってゆー空気になったんだよ」

 ───ああああ……そうだった。

 使ったよ、確かに。ある意味、私、魔法使ったよ。ルパート閣下、完全に魔法の粉の虜になってるじゃん……。

 私は思わず崩れ落ちて、頭を抱えた。

 兄さまがビックリして、必死に背中を擦ってくれる。

「だ、大丈夫か?!」

 私は心配する兄さまに事の次第を説明した。

 途端に、兄さまは大爆笑だ。

「ル、ルパート閣下は偏食なのかあ」

「だから、末長くよろしくってゆーのは、万能調味料を早く売り出してね、これから愛用しますからって意味だよ」

「あっははははは、最高だな、アリッサ!ルパート閣下を餌付けするなんて!!」

 いや、それ失礼すぎるよ兄さま……。


 お腹が減った私のために、兄さまは何か食べ物を持ってくると温室を出ていった。

 代わりに従僕の一人が入ってきて礼をし、入口横に立つ。

「今日は人が多く、お一人は危ないので護衛につかせて頂きます」

 暗い庭園を抜けて、温室に来る物好きはいないと思うけどな~。

 そう思いつつもありがとうと言って、私はメモ帳と万年筆を取り出した。

 兄さまが帰ってくるまでしばらく掛かるだろう。その間に長靴を履いた猫の話の続きを考えよう。

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