本音を言うと、ちょっと引きました…
クローディアさまがモジモジと不安と期待の入り交じった何か言いたげな目で見つめてくるので、クローディアさまの部屋も見せてもらうことにした。
エリオットさまは、「止めた方が良いと思うぞ」なんて言う。そう言われたら、余計に気になるじゃない。
クローディアさまの部屋は、エリオットさまの隣だった。
中は、本当にすっきりとしていた。必要最低限の家具だけで、飾りもほとんどなく寂しいくらい。エリオットさまの部屋と違いすぎる。そもそも、私はクローディアさまの部屋は女の子らしいフワフワの可愛い部屋を想像していたのに。
そして、部屋の一角に巨大なガラスケースがあった。
砂が敷き詰められ、岩と枯れた大木の枝が入っている。ガラスケースの天井には魔法石が複数設置されており、暖かな光を放っている。相当、高級な魔道具だということはすぐに分かった。
んん?
一体、この中に何がいるのか……眉をしかめてケースを覗き込んで。
無機質な目に見返された。
───これは、でっかいトカゲ?
「えーと、これは……」
「ポーリーンと言いますの。ウロコがとっても美しい子でしょう?」
「そ、そうですね??」
ポーリーン?お、女の子なのかな?
「オオトカゲだ。気持ち悪かったら、遠慮なく言っていいぞ」
「ポーリーンは気持ち悪くありません!」
えーと、えーと。ものすごくビックリしましたが。
この子は、つまり、クローディアさまが飼ってらっしゃるのよね?
私は両生類と爬虫類は平気だ。さすがに飼うまではいかないけど。
なるべく笑顔でクローディアさまを振り返った。先ほどのモジモジするクローディアさまを思えば、ここは明るく受け入れなくては。きっと、私がひるんだら、心に大きな傷を負ってしまうに違いない。
「こんなに大きなトカゲは初めて見ました。噛んだりしないんですか?」
「急に触ると噛まれますわね。声をかけて、優しく触れば大丈夫ですわよ。アリッサも、撫でます?」
「ディ。止めなさい」
「アリッサは、平気ですわよね?ね?」
そんな潤んだ瞳で見ないでください、クローディアさま。
噛まれると聞いたら腰が引けるけど……ここで引いたら女が廃る!
「平気です。ぜひ、撫でさせてください」
「アリッサなら分かってくれると思っていましたわ~!」
両手を組み合わせ、飛び上がって喜ぶクローディアさま。
その後で、額を押さえて天井を向くエリオットさまが見えた。




