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もしかして悪役令嬢 ~たぶん悪役令嬢なので、それっぽいフラグを折っておきます~  作者: もののめ明
アリッサ5才

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美形な双子の両親は、やはり美形です

「薄情ですわよ!」

 水龍公爵家に着いた途端、クローディアさまがツンツンしていた。

 本日は、夏至祭。クローディアさまのお招きで、水龍公爵家に一泊する日である。

「全然、会いに来てくれないんですもの」

 ……私、クローディアさまと恋人だったかしら。

 エリオットさまが横で苦笑した。

「アリッサは、商会の仕事もしていて忙しいからな。仕方ないだろう?それに、もうすぐ兄君が成人の誕生日を迎えると聞いている」

「分かっていますわよ。でも、手紙も短いんですもの」

「ごめんなさい。お兄さまのマントの刺繍で毎日地獄なんです」

 そんなことはないけど、丸く収めるためにそういうことにしておく。

 クローディアさまは信じてくれたみたいだった。

「まあ。アリッサ、刺繍が苦手なの?淑女の必須科目ですわよ」

「クローディアさまは得意なんですか?」

「我が領は絹製品が特産ですもの。女は歩くより先に針を持って刺繍を始めるわ!」

「……ディの刺繍は少々、前衛的だがな」

「エリオット!顔に刺繍されたい?!」

 は~、やっぱり和むわあ、この二人。


 水龍公爵、ルパート・ヘイスティングス閣下は、思わず眩しさに目を細めてしまうほどの美形だった。

 うそん。

 こんな父親、世の中に存在するの?

 同じ白銀の髪と薄紫の瞳のエリオットさまも、将来はこんな風になるのかしら。

 私のお父さまだってダンディでカッコいいけど、閣下は種類が全く違う。怜悧で透明感があって……変な言い方かも知れないけど、白いドラキュラ伯爵って感じ。意味、分かる?要は人を超越した美しさなのよ……。

 夫人のシェリーさまも、触れたら消えそうな儚げな女性だった。夫人も髪は白銀。瞳は薄い翠色だ。

 幻の妖精一族ですか、水龍公爵家って?

 そして、まだ2才のナイジェルさまも紹介された。ナイジェルさまは夫人と同じ色合いだ。

 クローディアさまはデレデレだったけど、分かる!すっっっごい可愛い!

 こんな弟、欲しい~。溺愛しちゃう~~~!

 この一家、もう、このまま永久保存したいわ……。

 ただ悲しいことに、ルパート閣下は私にやや冷淡だった。何故、炎龍公爵の娘を我が家に招いたのかといった空気がバンバンに出ている。うう、涙が出そう。

 が、しかし。

 この頃の私は図太さが身に付いてきたので、負けない。だって、半分商人ですもの。こんなことで怯んでいたら、世界を股にかけた女商人にはなれないわ!

「アリッサ・カールトンと申します。閣下とお会いできて、光栄です」

 最高の笑顔と美しいカーテシーで挨拶したら、閣下の方が怯んでいた。ふふん。

 そうそう。

 水龍公爵家へ手土産として何を持っていくか悩んでいたら、お祖父さまがとっておきを出してくれた。

“キューラ”とうちの領では呼ばれている布だ。前世的に言い換えると“接触冷温感布”だろうか?ちょっと違うかな?

 ともかく、これ、とある洞窟でのみ生息する蚕の特殊な糸を使っている。何が特殊かといえば、この蚕の糸、常に20度前後の温度なのだ。

 つまり、この糸を使ったシーツや掛け布団、下着などは、夏涼しく、冬暖かい。

 ただ、本当に稀少な糸なので、普通の糸と混ぜて織り、領主一族だけがこっそり使っている。あと、王家への特別な進物とか。

 私が、クローディア様から絹の手袋をもらったという話をしたら、お祖父さまが「うちの絹はもっとすごい!」と出してきたのだ。

 こんな高級品を手土産にしていいものかしら、とは思わないでもない。対抗心にしては程がある。が、お祖父さまが推しまくるので仕方ない。

 ということで、キューラ製の枕カバー(もちろん、ご家族分)をルパート閣下に渡したら、触った感覚で分かったのだろう、玲瓏とした美貌が驚きでいっぱいになった。きゃ~、こんな貴重なお顔が間近で拝めたなら、キューラを差し出しても全然お安いわ!

始まりました、水龍公爵家お泊り編!

ということで、予想通りボリュームたっぷりになったので(水龍公爵家絡みは、書き出すと止まらない…)、今日から朝夕の2回更新をします。

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