いらないことを思い出しちゃったよ…
緊張の多かった前回と違い、楽しい時間を過ごし、ほこほこになった身体でさあ寝ようとベッドに入ったときだった。
……思い出しちゃった。
王城の怖い話。
ぎゃーーー、なんで思い出したの私!!
すでに部屋の明かりは侍女が最小限にしている。おかげでほぼ闇に沈む部屋。
なのに、それまで気付かなかった片隅の鏡の存在に、ふと意識が向いてしまった。
(大丈夫!布団を頭からかぶってしまえば!)
大体、お城には侍女や従僕や兵士がいっぱいいるのだ。王さまに王妃さま、王子だっている。怖いことなんか全然無い───
カタッ。
窓が鳴った。
(風。今のは、風)
言い聞かせながら、そろりそろりとソファのクッションを集め、5個くらいある枕とともにベッドの自分の周囲に壁を作る。
うう、頼りない。
他に何かないかしら。ああ、でもその前に、鏡もなんとかしないと。
怖じ気付く足を励ましながら、フットスローを外し、椅子を引っ張って鏡のそばまで行く。
なるべく鏡を見ないように、椅子に上って鏡にフットスローを掛ける。ちょっと布面積が小さいよ~、ふえーん。
そのとき、扉からコンコンと音がした。
「?!」
驚きのあまり、椅子から転げ落ちそうになる。
「アリッサ嬢?」
ガタガタと音がしたからだろう、扉が開き、王子の心配そうな声が聞こえた。
「こんな時間に女性の部屋を訪れるべきではないと思ったのですが、少し気になって……て、大丈夫?!」
椅子から落ちそうになりながらフットスローに絡まっている私を見て、王子は大仰天。慌てて助けてに来てくれた。
前後の関係から、文字数がかなり少なめになってしまいました……。
代わりに(?)に夕方更新分はボリュームたっぷりです。




