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もしかして悪役令嬢 ~たぶん悪役令嬢なので、それっぽいフラグを折っておきます~  作者: もののめ明
アリッサ5才

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ケーキと、プレゼントと

少し文章量が多めです。

 さあ、それでは今回、王城まで来た任務を果たさなくては。

 まずは、ケーキね。

 内心、ドキドキしながら王子に渡す。

 商会で扱っているドライフルーツをたっぷり入れたパウンドケーキで、私の手作りだ。

 ちなみにこれ、私が前世の知識で作れる唯一のケーキである。作れる、は語弊があるかな。材料とその分量が分かっているケーキ、だ。お菓子作りをしていなかったんだから仕方がない。

 材料が全部1パウンドだからパウンドケーキ───という記憶のみを頼りに、シェフのジョンと試行錯誤を繰り返して作った。こちらの世界はクッキーか、パンケーキのような種類のお菓子しかないので、ちょっとしたお菓子革命だ。完成品を食べたジョンが小躍りして喜んだ一品である。

 でも実をいえば、私としては生クリームたっぷりのショートケーキを作りたかった(ていうか、私が食べたかった)。でも、悲しいことに前世で作ったことがないし、何より、生クリームがない。

 王妃さまの生国なら、あるかも?って期待したけど、それっぽいものはあるようなのに、稀少品で保存が利かないということで取り寄せは無理だった。あーん、がっくり。

 生クリームたっぷりのケーキとかパフェ、食べたいわぁ……。

 はっ、話がズレた。

 ま、ともかくそんなワケで、少なくともこの国では一般的でないケーキを見て、王子は目を瞬かせた。

「これは……?」

「殿下の誕生日のお祝いに、ケーキを作ってきました!お口に合うといいんですけど」

「え?アリッサ嬢が作ったの?!」

「はいっ」

 緊張のあまり力いっぱい返事したら、王子は片手で顔を隠してしまった。あれ?

「誕生日なんて……父上だって忘れているよ……」

 えーと……喜んでいるのかな?

 耳たぶが赤くなってる。

 ───予想外に可愛い姿に、ちょっとキュン。

「それと……あと、プレゼントです」

 続いて差し出したのは、10㎝ほどのダガーナイフ。こちらの世界では、違う名前だったと思うけど。

 実はこれ、最後まで悩んだのよね……王子にぴったりのプレゼントとは思えなくて。でも、他に良いものが思い付かず、ギリギリで決めた感じ。

「何がいいか、すごく なやんじゃって……このナイフ、アルカスターでは守り刀として人気なんです。気休め程度ですけど、殿下の御身の安全を守ってくれたらいいなって」

 リックへのプレゼントを買ったとき、ついでに自分用に買おうかと考えていたナイフだ。小さいから懐に忍ばせたり足首に隠したり出来るのだ。カッコ良さそうでしょ?

 一応、王子へのプレゼントなので、実用的なデザインより華美なものを選んだ。鞘は白、金の飾り金具、柄には赤い宝石。

 なお、宝石はマシューに相談したら、ものすごく考え込まれ、この紅蓮石を勧められた。何故か、絶対これがいいと言い切られて。

「赤い石……!」

「紅蓮石といって、困難や危険を焼き払うって意味があるみたいです」

 王子は不意にナイフを手に取って、恭しく口付けをした。

 ……え、なんか仕草が妙にエロいんですけど。

「ずっと、身に着ける。これから一生」

「えええ?!」

「そうだ。同じものを、アリッサ嬢にプレゼントしてもいい?」

「えーと、誕生日プレゼントのお返しは変だとおもいますが……」

 王子は艶やかに微笑んだ。

「去年、母上が君へのプレゼントを選んだんだ。あのとき、僕はまだ君のことをよく知らなかったから。……改めて、贈り直したいな」

 うーん、うーん、ナイフ交換って友情の証っぽい……かな?

 まあ、元々、買おうと思ってたし、王子から贈ってもらってもいっか。

マシューはもちろん、アリッサの髪の色の石を選びました。

テッパンですが、アリッサはそのことに気付いていません~。

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