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もしかして悪役令嬢 ~たぶん悪役令嬢なので、それっぽいフラグを折っておきます~  作者: もののめ明
アリッサ5才

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お好みのチーズをどうぞ

 いざ、王城へ!

 前回と違い、正門からではなく別の小さな門から入ったが、案内されたのは前と同じ部屋だ。

 やはり王妃さまに出迎えられた。はあ、お母さまにはあれほど「さっと王子に会うだけでいい」と言ったのになー……。

「いらっしゃい、アリッサ。待っていたわ!遠慮せず、もっと頻繁に遊びに来てくれていいのよ」

 ……いいえ、ここは頻繁に遊びに来る場所じゃありません!

 でも、考えてみたら、王妃さまも寂しいのかしら。他国から嫁いで来られた方だもんね。

 とりあえず、王妃さまへの贈り物も用意しているから大丈夫!

「こちらは、母からの手紙です。それと、こちらはわたしから王妃さまに……」

 王妃さまの生国フランドールから取り寄せたチーズだ。テーブルにずらりと並べる。

「どれがお好きか分からなかったので、お気に召さないものがあるかも」

「まあ!まあまあ!」

 王妃さまの神秘的な紫の瞳が大きく見開かれた。

「エンタールにリンツに……ヤギのチーズもあるのね!」

 うっすら涙目になっている。

 ブライト王国でもチーズはあるが、フランドールほど種類は多くない。

 今回、要冷蔵の品も魔道具で冷やしながら苦労して取り寄せたのだ。これだけ喜んでもらえたら、その甲斐はあったと思う。

「アリッサ……ありがとう。あなた、やっぱりうちの子になっちゃわない?」

「チーズのお取りよせなら、わたしが王家の子になるより女商会長になって、王妃さまご用達をうけたまわる方がよいと思いますけれど」

「……悪くないわね。それに女商会長なんて、とても革新的だわ」

「ありがとうございます」

 王妃さま、意外と話の分かる方かも?

 これはガンガン、チーズを贈るべきかしら。

「はあ、またヤギのチーズが食べれるなんて思わなかったわ」

 王妃さまは、うっとりとチーズを撫でた。

「……ヤギのチーズが一番お好きなんですか?」

「あら、アリッサはお気に召さなかった?」

「あー……えーと、ちょっと匂いが……」

 せっかくなので、チーズは多めに取り寄せ、全部、マシューと一緒に試食している。ヤギのチーズは、かなりクセがあってマシューも私も合わなかった。

 が、王妃さまの好物に「不味い」とは言えない。

 王妃さまはウフフと楽しそうに笑う。

「いいのよ~、美味しくないって言っても。これは好みが分かれる味だから。食べやすいヤギのチーズもあるのだけれどね。でも、わたくしの故郷の味を大切にしてくれてありがとう。そして、本当に、こんなにも持ってきてくれて、ありがとう!」

「いいえ。食べなじんだ味を、食べられなくなるってとても辛いと思いますから」

 私も前世を思い出してから、やっぱり日本の味が恋しいもん。

 王妃さまの恋しさが少し減ったのなら、それはとても嬉しいことだ。

今日から朝夕2回更新です。

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