忙しいけれど、寂しい春
私が元気になると同時に、兄さま姉さま達は学校が始まり、王都へ。
今年からはライアン兄さまも入学なので、現在、領の館にはアナベル姉さまと私の二人だけだ。寂しい。
カールトン家では以前からご飯は家族揃って食べているけれど、お父さまは割りとあちこち飛び回ってるし、お母さまもそれに付き従うことが多い。
子供が減った現在では、必然的にアナベル姉さまと二人の日が増える。まあ、最近はお祖父さまとお祖母さまがちょこちょこ来てくれるのでマシではあるけれども。
てゆーか、再来年はアナベル姉さまも学校へ行くから、私一人になるのかあ。
うう、もっと寂しい。
前世では一人っ子だったのに、兄姉に囲まれるのが当たり前になったら……一人になるのって、こんな心細いものなのね。いや、兄姉が私にベタ甘なのが悪いのかも?
寂しいと思いつつも、相変わらず日々やることが積みで、忙しい。
そんな中、重要な案件を思い出した。
アルフレッド王子の誕生日だ。
貴族が誕生祝いのパーティーをするのは、すでに言ったと思うけど5才・10才だ。あと、成人になる16才にも開催する。それ以外は、家族で簡単に祝うか、特に何もしないのが普通だとか。(庶民なんて、そもそも誕生日がなく、春華祭のときに年を上がるものらしい。昔の日本の数え年みたいなものかな)
誕生日を祝わないと分かっているのだけど……孤独で闇を抱える王子だ。それを癒すには、誕生日をお祝いするって、すごく効果がありそうな気がしない?
それにこの間、リックとテッドに新人式のお祝いをしたのよね。あれ、言ってみれば7才の誕生祝いみたいなものじゃん。王子にもやってあげなくちゃ、不公平かなと思うのだ。
そもそも王子は私の5才の誕生日を祝ってくれたし。
ということで、王城へ行くためにお母さまと交渉する。ただ、誕生日祝いをする話はナイショだ。
だってお母さま、まだ私と王子をくっつけたいみたいなんだもん。友人として祝うと言っても、お母さまのお花畑な脳内変換で、違う意味に取られたら困る。
王子と会いたい理由は、とりあえず、新作ゲームの意見を聞きたいからということにした。
これは、別にウソじゃない。
人生ゲームで、エリオット様達が改良に関わった話をしたら、「次は一番に話してくださいね」と脅迫(?)されたのだから。
なお次のゲームは、リバーシ辺りを作ろうと目論んでいる。
トランプもいいんだけど、リバーシなら遊び方が1つなので分かりやすい。
あ、そうだ!ついでに商会でゲームと絵本販売の状況も確認しないと。
春華祭で倒れたせいで、いろんなことが頭から抜けてる気がする~。王子のプレゼントも、何にしようかなあ……。




