お菓子を自分で作りたいのです
今日のおやつは、クッキーだ。
砕いたナッツがプラスされていて、とても美味しい。
私はおやつを食べたあと、厨房へ向かった。
「おや、アリッサお嬢様。おやつのお代わりはムリですぞ?」
丸い体形のコック長ジョンがニコニコと言う。
私も満面の笑顔でジョンに近寄った。
「今日のクッキー、おいしかったわ。ジョンの作るおかし、本当に大好き!あのね、今度、ジョンがおかしを作るところ、見ててもいい?こんなおいしいおかしが、どうやってできるのか、見てみたいの」
その途端、ジョンは感動で目を潤ませた。
「ええ、ええ、いいですとも。ぜひ、見てくださいませ。ジョン、お嬢様のために精根込めて、作りますぞ」
ふっふっふっ。
やはり、幼女の可愛いおねだりが一番効果的だな。新しい作戦は上手くいきそうだ。
三歩目を踏み出したぞ~。
翌日から、私は厨房へ入り浸った。
あれこれ質問しては、スゴい、面白い、などといちいち大げさに反応し、にっこり笑う。そして、「わたしもやってみたいなー」と言うのだ。
最初は渋っていたジョンや、他のコック達も、私の無邪気さに当てられ、「ちょっとくらいなら……」と少しずつ触らせてくれるようになった。
こうなれば、シメたものだ。
一月もしないうちに、あれこれ手伝わせてくれるようになった。幼女の笑顔と無邪気なお願い、これは使わないと絶対に損な武器だと思う。
とりあえず、お菓子のレシピは覚えた。
次はちゃんとした料理も制覇したい。
前世の母が聞いたら、目を回しそうだけどね。「あんたが料理?!隕石でも降ってくるんじゃない?」なんて言いそう。
でも私だって、必要とあらば覚えるのよ。きっと前世でも、彼氏くらい出来てたら、めっちゃ頑張ってお菓子作りはしたと思うなー。
ただ、今世でのお菓子作り&料理には大きな壁がある。便利なガスコンロなんてあるはずもなく。竈で作るんだよね……。
ということで、私にはまだ危なすぎて使わせてもらえない。火がちゃんと使えるようにならないと、一人立ちの日は遠い。
てゆーか、火を熾すのに魔法なんですけど?
早く魔法の使い方も覚えなくちゃ!