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もしかして悪役令嬢 ~たぶん悪役令嬢なので、それっぽいフラグを折っておきます~  作者: もののめ明
アリッサ8才

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手作りプレゼントは流行らせない

 食事会は、本当に楽しい時間となった。

 アルの帝国の話や、私の船旅の話は特に盛り上がった。まさかアルがフロヴィンの店でアルバイトもしたなんて、ビックリだったけどね!

 最後は、プレゼントだ。

 マーカス殿下から始まり、みんなが順々に渡してゆく。ラストが私。

 みんな、特に包装してないのに、私だけ包装してるって……変かな。

 変だよね。

 でも。

 仕方ないじゃん!

 さっと渡して、中身は部屋で見てねと言おうと思ったのに……それよりも先にディが「まあ!中身は何かしら?」なんて言い出した。マーカス殿下が重々しく頷く。

「包装して渡すというのは、良いな。ワクワクする」

「殿下、開けて開けて!」

 ちょっと、マーカス殿下にアナベル姉さま!

 中身、知ってるクセに何を言うの?!

 ―――アルは私をちらりと見てから、真剣な顔で、慎重に包装を解き始めた。

 ううう。

 やばい。

 お腹が痛くなってきた。

 この、妙な待ち時間……死ねる!

 アルはかなり丁寧に時間をかけて包装を解き、出てきた剣帯を見て……だけど何故か、そのまま固まった。

 …………あ、あれ?

 思ってた反応と……違う?

「あら、とても素敵な刺繍ですわ!」

「アリッサ嬢が刺したのか?」

 ディとエリオットがアルの様子に気づかず、声を上げる。その声に、アルは弾かれたように私を見た。

「この刺繍……アリッサが?」

「う、うん。……前に、刺繍したやつが欲しいって言ってたから」

「…………」

 みるみるうちに、アルの顔が赤くなった。

 そして慌てたように横を向いて片手で顔を隠す。

「あ、ありがとう……」

「うん……」

「…………」

「…………」

 うわわ、わ。

 ど、どうしよう。変な沈黙の間ができちゃった。

 あたふたしていると、ふいにエリオットが悲しそうな目で私を見た。

「私が欲しいと言っても……もらえるだろうか?」

「え?……う、うん!もちろん刺繍するよ!?ただ、剣帯は刺繍するのが難しかったから、もう少し簡単なやつになるかも知れないけど」

 や~ん、助かった!

 エリオットの言葉にホッとして、私は力強く返事する。

 うんうん、そうよね。考えてみたら、友達には、刺繍したアイテムをプレゼントするべきよね?!エリオットだけじゃなく、ディにも、なんならマーカス殿下にもあげちゃう!

 ……ハンカチの隅にワンポイントくらいでないと、私が大変だけど。

 するとディが険しい顔をして、エリオットをドン!と押した。エリオットがムッとする。

「こんなときに何を言い出すの!」

「このような時でないと、言えない」

「だからってね……」

 いつもはおとなしいエリオットが、このときばかりは眉を寄せて声を上げた。

「でも、ディ以外のハンカチが欲しいじゃないか!」

「まあ!わたくしの刺繍が下手だって言うの?!」

「嫌というか……ポーリーンの刺繍がリアルすぎる……」

 …………は?

 ポーリーンの刺繍?!リアルな??

 ポーリーンは、ディの飼っている大きなトカゲだ。それの刺繍って……。

 うーん、それは……ちょっと気になるかも。

 その場の全員が、たぶん、そう思ったんじゃないかしら。周りにいた侍女たちも、ピタッと動きを止めてディとエリオットを見ている。ポーリーンが何か分からないはずなのに。

 ディは真っ赤になって咳払いした。

「つ、つまり、わたくしの刺繍の腕が良いということですわよね!」

 はっ!

 今の話の流れに乗れば、私の刺繍剣帯から話が逸れてくれそう。

 私は、赤い顔のディに話しかけた。

「……ディの領の人は、みんな刺繍必須なんだよね?キレイな糸を領で作っているから、凝った刺繍する人、多そう~!」

「そうですわね、絵画のような刺繍をする方もいますわ。わたくし、それに比べるとまだまだですわ……」

 ディも、リアルなポーリーンの刺繍の話を変えたいのだろう、すぐに返してくれた。

「そうそう、近頃は絹糸でレース編みもやっておりますの。この頃は我が領の売れ筋商品ですわ!……ちなみに、エリオットも上手いんですのよ」

「エリオットもレース編みするの?!」

 あれ?

 なんだか思わぬ方向へ話が転がった?

 今度はエリオットが赤くなった。

「……我が領の特産だから、どのようなものか知っておく方がいいと思って、ほんの少しやっただけで……」

「我が家のクッションカバーのほとんどはエリオット作じゃないの。完全に売りに出せるほどの腕前だわ」

「ディ!」

 あらら~。エリオットがそんなにレース編み上手いなら、私の下手な刺繍なんて、プレゼントしにくいじゃん。

「あ、手作りといえば!」

 重要なことを思い出した!

「マーカス殿下からのプレゼントも、殿下の手作りだよ、アル」

「え?」

「特別なものをあげたいって」

 アルが驚いたように、手元の短剣とマーカス殿下を見比べる。

 マーカス殿下もちょっと顔が赤くなった。

 渡すときに言えばいいのに、言わなかったのよね。私も自分のプレゼントで頭がいっぱいだったから、気づかなかったんだけど。

 アルは、言われなかったら分からないと思う。だって、メインが短剣に見えるんだもの。

「手作りといっても……短剣ではなく、それを入れる革の部分のことだ。飾りをつけたり、刻印を押したりしただけで、手作りというほどでは……」

「でも、少し縫いましたよね?」

「少しだけ」

 アルがまた、あのステキな笑顔になった。

 あう、眩しい……。

「ありがとうございます、兄上……!」

「ちょっとちょっと、待って!」

 ほんわかと和む場に、突然、アナベル姉さまが立ち上がった。

 どうしたんだろう。

「誕生日プレゼントは手作りで―――みたいな流れを作るのは止めて~」

「ホントだよ!下手な手作り品をプレゼントするワケにもいかないし、手先が器用じゃない人間は大変じゃないか!」

 あとに続いたのはライアン兄さまだ。

 一瞬、部屋は静かになったあと、どっと湧いた。

「その通りですわね。……マーカス殿下とアリッサのプレゼントは、極秘事項ですわ!」

 ディが絶妙な締めをしてくれた。

 うんうん、騒がれたくないから、ぜひ、そうしておいて~。

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― 新着の感想 ―
いつも楽しく読んでます! 手作りはね〜料理とかなら決まった分量で作れば、大勢の人なら食べれるものが作れるはずだけど、手作り品は本当にセンスとか手先の器用さが出てくるしね! 後、料理でも本当に(レシ…
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