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セオドア兄さまと一緒に、春華祭で賑わう領を回る

先週は予告無しでのお休み、すみませんでした。(今日も遅れた…)

夏バテ?なのか、頭が全然働かず。そろそろ涼しくなってくれないと、脳ミソがやばいです!

 刺繍を頑張らなくちゃ~と思ったけれど。

 春華祭が始まると、それどころではなくなった。

 夜中のお祈りは、私は旅行から帰ってきた疲れもあるからと、最初の1時間ほどの参加だけであとは寝なさいと部屋に帰された。でも翌日は、朝からセオドア兄さまと一緒に領内を回ることになったからだ。

 領都の神殿にはお父さまが行くけれど、地方はセオドア兄さまとオリバー兄さまが回るらしい。

 用意をして、馬車に乗り込むと、もうセオドア兄さまが待っていた。

 兄さまは眠そうな様子が全然、ない。ちゃんと寝たはずの私は、まだ目が完全に開いてないのに。

 考えてみれば、まだ10代の兄さまが、徹夜明けでそのまま領内を回って春華祭の仕事をするなんて……領主一家の仕事ってハードよね?


 前にも説明したけれど……貴族は生まれた日が誕生日で、毎年、その日に一つ年を取る。だけど、平民は"誕生日"はなくて、みな春華祭の日に一つ、年を取る。

 前世の日本も、昔は誕生日ではなくお正月に年を取ったらしいから、同じような感じなのだろう。

 最初にそれを知ったときは何も思わなかったけれど、今日はふと、春華祭の前日とか、前々日に生まれた子はどうするんだろう?と気になった。

 生まれてすぐに1歳になるって、どうなの?

 すると、神官さんが「冬至祭から春華祭までに生まれた子は、翌年の春華祭で1歳とする場合が多いですよ。生まれたときから体が大きい子は、たまに、その年の春華祭で1歳とする子もいますが……。まあ、親の考え方次第ですね」と、教えてくれた。

 ―――今、私とセオドア兄さまは、教会の廊下を礼拝堂に向かって歩いていた。

 貴族は10歳と16歳を特別な誕生日として祝うけれど、平民は7歳と14歳を祝う。その式典に出るためだ。

 兄さまがお祝いの言葉を贈るので、私はその横で見学をする。

 私は何か言う必要がなくて……良かった……。

 なお式典の前には、神殿の奥にある祭壇で祈りを捧げた。これは、私も参加。

 というか、領主一家にとってはこれがメインで、そのために各神殿を回っている。そのお祈りが終わり、一般の礼拝堂へ向かう途中で、私は神官さんに疑問を投げかけたってワケ。

 それにしても。

 家庭によっていつ1歳になるかが変わるなんて……結構アバウトだなぁ。

 貴族も毎年誕生日を祝わないし、こっちの世界での誕生日って、扱いが低い。なんか寂しい~。

 でも前世で、叔母が「私は永遠の20歳なのよ!」ってよく言っていたっけ。叔母さんなら、誕生日が適当だったら嬉しいかも……?

 ―――礼拝堂には、教区に住む平民の7歳と14歳の子たちが集まっていた。男の子も女の子も髪に花をたくさんつけていて、白い衣装を身にまとっている。

 平民は、14歳で成人……とまでは言わないけれど、大人の仲間入りをしたとみなされるそうで、14歳になったら独り立ちして家を出る子もいるらしい。

 さすがに14歳で結婚は早すぎるので(一人前に稼げないしね)、結婚するのは早くても16歳か17歳くらいになるとか。

 平安時代とかだったっけ?

 13、4歳で元服や裳着を迎えたのは。

 だから14歳で大人の仲間入りとされるのも別におかしくない話なんだろうな。

 なんだろう、けれど。

 やっぱり、14歳で大人扱いってちょっと早い気もする。令和じゃ中学生だよ、まだ義務教育の年代だよ。

 体も全然、大人じゃないし、もう少し年を取ってからでもいいのに。

 ねぇ?


 式典は、セオドア兄さまがみんなにお祝いの言葉を贈り、あとは全員で祈りを捧げて終わった。

 終わったあと、神官さまへの挨拶もそこそこに、次の神殿へ向かう。

「でも、礼拝堂に来ていた子たちは、このあと一人ずつ神官から祝福を受けるんだよ」

「そうなの?」

「それに7歳の子は、この春華祭で戸籍に登録されるしね」

 えっ、し、知らなかった。ブライト王国では、戸籍って生まれたときじゃないんだ……。

 ていうか、この世界に戸籍もあったのね。

 まあ、私は前世でも自分の戸籍って見たことがないんだけど。

 まだまだ、この世界で覚えなきゃいけないことがいっぱいだ!


 次の神殿へ移動する途中で、兄さまから帝国への旅の話をいっぱい聞かれた。

 私も帰ってきてみんなにいろいろ話したけど、まだ話し足りなかったので、話せるのは嬉しい。

「俺もオリバー兄さまも前に帝国には行ったけど、期間は2週間くらいなんだよ。アリッサくらい長く行ってみたかったなぁ!」

「兄さまたちも行ってたの?どこを回った?」

 あの景色はすごかった、あれは美味しかったと二人で大盛り上がりだ。

 そうそう、兄さまは帝国のお城にも行っていた。中の様子を詳しく教えてくれる。

 皇女さまのせいで城へ行きたいなんて考えもしなかったけど……うわぁ、外観だけでなく、中もブライト王国とは全然違うお城なんだね。それは見てみたかったかも……。

「でも、アリッサはお祖父さまとバートと一緒だったろう?羨ましいよ。俺も二人の戦いを目の前で見てみたかった。そもそも俺は夏に行ったから、魔物に遭うこともなかったし。海の魔物は見てみたいなぁ。……ていうか、アリッサも戦ったんだったっけ。アリッサの戦いも見たかったな」

「えっっっ、私は海に落ちそうになった人を助けたくらいだよ!」

 戦うとか、ムリムリ!

 まず、足がすくむもん。

 お祖父さまやバートは、本当にすごくてカッコ良かったけどね。

 ……また、お祖父さまやバートと旅をしたいけど。もうムリなんだろうなぁ。私、すごく貴重な冬を過ごせたね、今年は。

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― 新着の感想 ―
いつも楽しく読んでます! ふと、七歳で戸籍登録は現世でも昔は子供の小さい頃の生存率が低かった時あったのと同じで、無事に体とか成長できたから戸籍に入れるみたいな願掛けもあるのかな?? ま、世界が違え…
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