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もしかして悪役令嬢 ~たぶん悪役令嬢なので、それっぽいフラグを折っておきます~  作者: もののめ明
アリッサ8才

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山間の秘密の村へ

 今日、私は……帝都の東の山間にあるラオムツァイト村というところへ行く。

 アルには、内緒にしている。ちょうど学校へ行ってるしね。


 ラオムツァイト村へ行くのは、私、お祖父さま、バート、リックだ。

 これに、案内人のフルバードさんが加わる。

 私はお祖父さまと、リックはバートと一緒に馬に乗ることとなった。外国人はあまり入れない村なので、少人数でさっと行ってさっと帰る予定なのだ。

 ホントはリックはもう一人で十分、馬に乗れる。けれど、山間の足場の悪い道を急いで行かなければならないため、この形になった。おかげで少し、不本意そうな顔だ。

 負けず嫌いな性格だから、半人前扱いが悔しいんだろう。

 私みたいに前世の知恵があるワケじゃないのに、魔法も勉強も剣術も馬術も、ここまで一気に身につけているリックはかなりスゴイと思うんだけどね。

 私だったら、「平民にそこまで求めないで~」って途中で投げ出しちゃうよ。


 ……出発してすぐ、お祖父さまが「そういえば」と口を開いた。

「せっかくアリッサに馬を贈ったが、乗る練習をせんままだな」

「あ、ホントだ。帰ったら教えてね、お祖父さま」

「うむ。……しかし、こうやって一緒に乗れんようになるのは寂しいのう」

 うん、こうやって乗せてもらう方が私も楽。

 練習って……やっぱり落馬したりするのかしら。だとしたら、怖いなぁ。

 さて、ライリー叔父さまが伝手を使って入村許可を取ってくれたのは。

 私のような転生者がいっぱいいるという、帝国の秘密の村だった。

 といっても別に完全に隠された村ではなく、帝国民はどこにあるか知ってる者も多いらしい。ただ、勝手に村へ入るのは制限されているというだけ。中の人は、自由に出られるけれど。

 簡単には入れない村に、今回、行けることになって……本当に良かった。

 ちなみに、今回の旅ではツァーンラント商会のオットーさんとも会いたいのだけど……こちらはまだ連絡がつかないままだ。

 どうやらツァーンラント商会のどこかの倉庫が火災で焼失してしまって、その対応でオットーさんはあちこち飛び回っているらしい。大変そう……。

 ―――村までの案内人・フルバードさんは、帝国の外務大臣の息子さんだ。

 外務大臣のクラウゼン候爵は、アルの留学についても尽力してくれたそうで、ライリー叔父さまとは仲が良いらしい。

「もうすぐ着きますよ。村には、300人ほどが住んでいます。そのうち、界渡りの人は20人いるか、いないかくらいですね」

 フルバードさんが前を行きながら、説明してくれる。

「へえ……私、もっといるのかと思っていました」

「多いときは、50人を超えるときもあったそうですよ。まあ、近年は平均して2、30人ですかねぇ」

 ふうん、そうなんだ。

 でもブライト王国では、あんまり転生者はいないみたいだから……多いといえば多いのかなぁ?

「界渡りの方は、同郷の方と話をするととても安心すると聞きます。アリッサさまも、同郷の方と会えるといいですね」

「はい」

 とりあえず頷いたけど。

 私、前世が恋しいとか、そういう気持ちは薄いんだよね。

 1回、大泣きしてるから、それでスッキリした?

 まあ、元々、未練もあまりなかったし。

 ……うーん、薄情な人間なのかしら、私って。もちろん、前世のお父さんお母さん、友達のことを思うと寂しさはあるんだけどさ……今はアリッサとしての自我が濃いというか。きっと、前世と今世がいい具合に融合して安定したんじゃないかなぁ。


 ラオムツァイト村は、ちょっと変テコな村だった。

 1つしかない出入り口の門を通って中へ入ると、最初は帝国らしい木造の建物が並んでいるのに、そこから先は―――キノコみたいな家や、真四角の建物(しかも、真っ青に塗られている)、たくさんの葉っぱで出来た家、見たことのないいろんな形や色の建物が点々と存在している。

 あ!

 瓦っぽいものが乗っている昔の日本家屋風の家もある!

 私が目を丸くして村を見ていたら、フルバードさんがにこやかに言った。

「面白いでしょう?全員ではありませんが、界渡りの方がそれぞれの故郷の建物を再現されているんです。まったく同じには作れないですけれど」

 故郷の建物……?

 ええ?

 いつの時代のどの国の建物か、さっぱり分からないなぁ。


 最初に、門から近い帝国風の立派な建物の中へ案内された。

 美しい装飾でいっぱいの来客室でしばらく待つと……真っ白な長い髪と、角度によって色の変わる虹色の瞳の女の人が現れた。

 年齢不詳だ。10代の少女のようにも、100を超える老婆のようにも見える。

 どういうこと?

 魂の奥底まで見抜きそうな虹色の瞳が、じっと私を見た。

「ようこそ、ラオムツァイト村へ。私はイーザ。この村の長のような者、とでも思ってください」

「はじめまして、イーザさま。アリッサ・カールトンと申します」

 イーザさまはうっすらと唇を笑みの形にした。

「"さま"は不要です、私は元は孤児で弾き者ですから」

 えーと、弾き者ってどういう意味だろう?

 なんとなく、良い意味ではないのだろうと感じるけれど。

 彼女は私から視線を外して、今度は後ろのお祖父さまたちを見た。

「アリッサさまと2人で話したく思います。どうぞ、他の方々は別の部屋へ」

「しかし」

「アリッサさまを害すことはありません。アリッサさまは特別な扉を開けておられる。他の方はその扉のうちを見てはならないのです」

 ???

 私、なんか扉を開けたっけ?

1週お休み、すみませんでした。

今週より再開です。あと、このタイミングで以前にお知らせしていたブクマ3000超え記念のSS、アリッサの祖父母――オードリックとイーディスの出会いの話を上げたかったんですが……思ったよりも長くなってまだ書き終わりません。

来週か、再来週に活動報告へ上げます。お待ちくださいませ~。

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― 新着の感想 ―
いつも楽しく読んでます! なんだろう?扉とは? 今更に現代知識だとは言わないだろうし、何か特別な力なのかな? 流石に本人が危害加えないと言ってるのでそれはないと思いたい。 前回の襲撃者の事でも話…
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