可愛いイトコと初対面!
帝都のカールトン商会で、初めてライリー叔父さまの奥さま、ニーナ叔母さまに会った。
小柄で、すっごく可愛い人だ。3人も子供がいるって本当?!ってくらい若々しい。
でも、両手にまだ2才の双子ちゃん(エヴァリーちゃんとステラちゃん)を抱きかかえつつ、従業員に次々と指示を出して仕事をこなす逞しさも持ち合わせている。すごい。
「初めまして、アリッサさま。騒がしくってゴメンなさいね!」
ぎゃあああ!と泣き叫ぶ双子ちゃんをあやしながら、ニーナ叔母さまは朗らかに私を迎えてくれた。
「オーガストさまとイーディスさまもお久しぶりです」
「う、うむ。……大丈夫か?その子たち、仰け反って落ちそうだぞ……」
「大丈夫です。お客さまが来たのを分かっていて、泣き叫んでいますから。今、解き放ったらみなさんを襲うので……ちょっとお待ちくださいね」
……襲う?
思わずポカンとしたら、ライリー叔父さまの長男アッシャーくん(6才)が溜め息をつきながら教えてくれた。
「妹たちは、髪をひっぱるのが好きなんです。とくに父のような赤い髪は好きなので、アリッサさまは注意してください。さっき、アリッサさまを見て目をかがやかせていましたから」
えっ、私、ロックオンされてるの?!
き、気をつけよう……。
ニーナ叔母さまは、平民だ。リーバル港で食堂を営むお家で生まれ育った。
ライリー叔父さまとは、リーバル港の裏町で出会ったそうだ。まだリーバルの街に慣れていない叔父さまが迷ってウロウロしているところを助けたのが縁だとか。
で、ライリー叔父さまが一目惚れし、口説きに口説いて結婚することになったという話だった。
カールトン家らしいエピソードだよねー……。
なお、ニーナ叔母さまはブライト王国出身だから、本当は子育てはブライト王国でしたいらしい。だけど、商売の関係で帝国へ来たときにアッシャーくんの妊娠が分かり、そのままタイミングを逃して今に至るのだと教えてくれた。
「私の父と母にも孫の顔を見せてないし、オーガストさまやイーディスさまにもお会いしないままだったので……今回、こんな機会ができて嬉しいです」
そっかぁ。
異国で子育てって……大変なんだろうなぁ。言葉も風習も違うし、知り合いもいないんだもん。
ちなみに、今はみんなで食事中だ。アルたちはもう寮へ帰っているので、カールトン一族だけの食事。
ただ食事中なんだけど、ゆっくり食べることも出来ないくらい、お祖父さまが双子ちゃんの餌食になっていた。
大きな身体のお祖父さまは登頂しがいがあるらしい。
2人はよじよじ登っては髪を引っ張っるだけ引っ張って、降りる。そしてまた登る。
それをきゃあきゃあ楽しそうに繰り返しているのだ。
もちろん、ニーナ叔母さまは止めさせようとした。だけど、お祖母さまが「いいのよ、オーガストは子供好きだから」とにこやかに言って、おかげでお祖父さまは為すがままになっている。
こんなに途方に暮れているお祖父さまを見るのは……初めてだ。
笑っちゃダメだけど、すごく面白い。
たぶん、ライリー叔父さまもバートも、リックもテッドもそう思っているのだろう。今にも吹き出しそうな顔でちらちらお祖父さまと双子ちゃんを見ている。
お祖母さま、わざとそのままにしてるよね……?
「アリッサさまは、魔法を使えるの?」
ふと、私の横に座っているアッシャーくんが興味深そうに聞いてきた。
一番狙われていた私が双子ちゃんに襲われずに済んでいるのは、アッシャーくんがガードしてくれたおかげだ。
「うん、使えるよ」
「ホント?!あとで見せてくれる?」
「分かった!あ、あとね、"さま"は無しがいいなぁ」
「でも……」
「ぜひ、アリッサお姉ちゃんで!」
「……うん。わかった」
ふふ。可愛い弟が出来ちゃった。
お姉ちゃん、張り切って魔法使っちゃうよ~!
「アルの帝国生活の詳細を聞く」で記念SS書きます!と書いたけれど、そのエピソードの「いいね」数がいつもより少なかったので。あああ~、オーガストとイーディスの話なんてみんな興味ないか~と思っていたら……いつの間にか「いいね」数が増えてました。
こ、これは……読みたい!と思ってくださる方がいると勘違いしてもいいですよね……?




