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入国時点でワクワクが止まらない

 アシャム国へ着いた、のだけれど。

 実のところアシャム国がどんな国か、さっぱり分からなかった。

 何故かといえば……アシャム国は地下に広がる国だったからだ。入口なんて、最初はただの岩壁だと勘違いした。

 垂直に切り立った岩山の麓に着いたと思ったら……言われないと気付かない、ルダがぎりぎり抜けられる程度の細い亀裂が。そこがアシャム国へ至る数少ない道の一つで(他は、他国人には秘密らしい)、そこを通ってほんの少し開けた場所まで行く。

 で、岩壁に囲まれたその空間の一角に、岩を削って造られた神殿みたいなやつがあって―――その神殿の奥の壁が動いて、中へ……アシャム国へ入れるのだ。

 きゃー、すごい!

 まるで映画かゲームの世界だ~!!

 港からここまで、アシャム国の案内人がいたから辿り着けたけど、何も知らなかったら来れない国だよね。

 しかも、誰だって入れるワケじゃない。扉は魔法で閉ざされていて、招かれた者以外はダメなのだ。

 すごいよねぇ、守り完璧じゃん。

 岩神殿の奥の、ただの装飾壁のようなところがゆっくりゆっくりと開いていくのを、私は感動しながら見守った。

 うう、テンション上がるぅ!

 ちなみに乗ってきたルダは、岩山の亀裂をもう少し抜けたところにある高台で、面倒を見てくれるらしい。

 ―――扉を抜けた先は天井が高くて、意外と明るかった。

 上の方に天窓というのか、幾つも明かり取りの穴があり、そこから入ってくる光で明るいようだ。それと、壁や天井すべてが白く塗られていて、そのせいだろう、余計に明るく感じられた。

 長い廊下を抜け、丸い天井の部屋に出る。

 身分の高そうな人が数人、そこで立って待っていた。

 みな、白のだぽっとした服だ。光沢のある白の糸で全面に刺繍が施されているので、天井からの光でキラキラして見える。

 腰に太めの帯を締めていて、そちらの方は何色もの色が使われていた。帯には宝石のついた飾りもジャラジャラ。重そうだな~。

 そうそう、それとおじさんたちは、みな、ヒゲがすごい。顔の下半分がヒゲだ。

 私、前世でも気になってたんだけど……こういう人ってご飯のとき、大変じゃないのかな?あと、お風呂上がりは、髪を先に乾かすの?ヒゲを先に乾かすの?

 ついジロジロ見てしまって、お祖母さまから「アリッサ!」と注意された。

 あはは、やばいやばい。

 ―――おじさんたちは揃って両手を合わせ、頭は下げずに膝だけを曲げた。足は、軽く前後に開いている。

 事前に聞いたところによると、この国では頭を下げるのは太陽神だけらしい。至高の存在の太陽神以外に頭頂部は見せないそうだ。

 ということで、頭には布も巻かれている。

 ちなみにこの国で頭を撫で撫でとか、ポンポンしたら……すごい重い罪になるから気をつけるようにと注意された。

 親でも赤ちゃんを撫でちゃダメなのかしらん?


 通訳も交えて、お祖父さまとおじさんたちが長い長い挨拶をしたあと。

 廊下や階段を複雑にあっちこっち行って、数日滞在することになる部屋へ案内された。ここで旅装を解いて、しばらく休んでいいらしい。

 夜に、歓迎会も兼ねた王さまとの食事会があるそうだ。

 ふーん。じゃ……それまでの間、ちょっと探検してもいいかな?地下の国なんて、面白そうじゃない?


「探検?おぉ、いいね。俺も見てみたい!」

 隣の部屋のテッドとリックに声を掛けたら、テッドがすぐに頷いてくれた。そのテッドの頭を後ろからリックが殴る。

「バカ!他国人の俺たちが勝手にウロウロできるワケねぇだろ」

「いってぇな!頭を殴ったら、重罪なんだぞ」

「この国の人はな。お前はアシャム国人か?」

 2人が言い争いを始めたので、慌てて仲裁する。

「もう、ケンカしちゃダメだってば!……さすがに勝手にウロウロはしないよぉ。ちゃんと誰か案内人を頼むって。ていうか、サフィーヤ姫と一緒に回れたらいいんだけど。お会い出来ないかなぁ」

 リックが「うーん」と首を捻った。

「じゃあ、まずライアンさまにお尋ねしてみるか。ライアンさまも、婚約者には会いたいだろうし」

「そだね。じゃ、兄さまのところへ行ってくる!」

 さすがリック。

 ということで、ルンルンで兄さまの部屋へ突撃したら―――

「はあ?アリッサ、疲れてないの?どんだけ体力有り余っているんだよ……」

と呆れられてしまった。

 えーーー、兄さま、鍛錬足りてないんじゃない?

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