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いっぱいお祝いしてもらいました

ようやくの再開です!

 今日は、私の誕生日~!

 貴族は5才、10才は盛大に祝うけど、それ以外は特に祝わない。ちょっと豪華な夕食を食べるくらい、が一般的らしいけど。

 今年は、領ではなく王都の方で夕食を食べるよと言われ、お祖父さまお祖母さまと一緒に王都の屋敷へ行くと……屋敷ではなんと私の誕生日パーティーの準備がされていた。

 お父さま、お母さま、グレイシー姉さま、アナベル姉さま、セオドア兄さま、ライアン兄さまが揃っている(オリバー兄さまだけ、領でお留守番)。

 姉さま兄さまは、学院の寮にいるはずなのに。

「え?あれ?……どうして?」

 私はビックリして、みんなと、並ぶご馳走をきょろきょろと見渡した。

 アナベル姉さまが私の横に来て、にんまりと笑う。

「誕生日おめでとう、アリッサ!ビックリしたでしょ。いつもアリッサに驚かされることが多いから、私もアリッサを驚かせることをしてみたのよ!というか、去年はアリッサの誕生日に、私のためにいろいろとしてくれたでしょう?そのお返し」

「うん、ビックリした……ありがとう、姉さま!」

 思わずアナベル姉さまに飛びつく。

 うれしい~、最高の誕生日だわ!


 アナベル姉さまは、さらに私のためにケーキを作ってくれていた。

 どんなケーキかといえば……なんとチーズケーキ!

「王妃さまの故郷のケーキなんですって。アリッサが王妃さまにいろいろチーズを納めているじゃない?それで、王妃さまがすっかり懐かしくなって、向こうのレシピを取り寄せていたらしいの。お母さまがそれを教えてもらって……グレイシー姉さまと私の2人で作ったのよ。ま、そこそこシェフにも手伝ってもらったけどぉ」

 少し前から、学院が休みの日に何度も試作を繰り返していたそうだ。

 もう……姉さまってステキすぎる。

「さあさあ、まずは席に着いて。食事しながら、話をしましょう」

 入口で姉さまときゃあきゃあ話していたら、お母さまがニコニコと手を叩いた。

 そして、席へ案内される。

 誕生日パーティーというより、豪勢な夕食会って感じかな。

 ホント……うれしいなぁ。


 食事は、どれも私の好きなもので美味しかった。

 アナベル姉さまが作ったチーズケーキは、私がよく知っている前世のベイクドチーズケーキとは違って、かなりずっしり重い感じ。でも、ちょっと酸味があって、これはこれで美味しい。

「このケーキね、店で出したいんだけど、改良点ある?」

 横から姉さまが尋ねてくる。

 うーん。このままでもいいかも知れないけど……。

「下に、タルト生地を敷いてもいいかも?」

「タルト生地?」

「えとね~、簡単なのはビスケットを細かく砕いて、バターで固めるの」

「ふーん。パイじゃなくて、ビスケットを敷くのね。面白そう、試してみるわ」

 アナベル姉さま、研究熱心だなぁ。


 最後にみんなから、いろいろと誕生日プレゼントをもらった。なんか、身を守るお守り系が多いよ。そんなに心配かけてる……?

 ちなみに、お父さまとお祖父さまからは、馬と、馬具一式をプレゼントされた。といっても、王都の屋敷の中に馬は入れられないので、領の方にいるらしい。

「馬……乗っていいの、お父さま」

「お前に乗馬を教えると、勝手にどこへ行くか分からんと思っていたが……何かあったときに乗れないのも問題だからなぁ。仕方ない……」

「ふふふ、領へ帰ったら儂が教えるからな!楽しみだなぁ、アリッサ」

 うう。

 馬に乗ったことがないときだったら、喜んだだろうけど……今は、ぎえ~!って気分かも。

 しかもお祖父さまが教えてくれるの??

 スパルタじゃありませんように!リックやテッドたちは、ボロボロになってたから怖いよぅ!


 食事会が終わったあと、マシューが控え室で待っていた。

「マシュー!来てたの?うわぁ、一緒に食事したかったなー」

 駆け寄ってそう言ったら、苦笑が返ってきた。

「火龍家一族に混じって食事なんて、落ち着きません。向こうでリックたちと頂きましたよ、ご馳走さまでした」

「そうなんだ。ちぇっ」

「おや。そんな顔は、公爵家のお嬢さまに相応しくないですよ」

「いいの。マシューに私の残念な気持ちをちゃんと分かって欲しいから」

 唇を尖らせて抗議したら、マシューは肩を震わせて笑った。

 むう。本気に捉えてないな?

「それで?今日はどうしたの?」

 まだ口を尖らせながら聞いたら、マシューは苦笑をもらした。

「こんな日に、仕事の話をしに来るわけがないでしょう。……お誕生日、おめでとうございます。カールトン商会の一同からのプレゼントを持ってきました」

「え?商会から?!うわ、なんだろ」

 想像してなかったので、私は目を丸くした。マシューが差し出した小さめの箱を、そっと受け取る。

 軽い。

 中には……缶が入っている。長靴をはいたネコが描かれた、カワイイ缶だ。

 ドキドキしながら缶を開ければ、赤いものがたくさん入っていた。

 一つ、取り出してみると……

「クリップ?」

「はい。お嬢さま専用クリップです」

 ニコニコとマシューが言う。

 クリップは、丸や星の形、ウサギの形などいろいろだ。少し前に、そういう可愛いクリップを作って欲しいとお願いしていて、完成したらしい。

 それにしても。

「赤い色って……」

「特別な鉱石を混ぜた赤い針金を作りました。でも、この赤い色はアリッサお嬢さまだけの色にしようとみんなで話し合いまして。ま、生産が難しいということもありますが」

 すごい。嬉しい。私の髪色と同じ、鮮やかな赤だ。

 ふふ、目立つなぁ。

「ありがとう、マシュー!すごく嬉しい!缶もカワイイし」

「良かった、職人も赤い針金を作るのにかなり頑張ったんですよ」

「そうなんだ。お礼、言いに行くね」

 今日はこのまま、王都の屋敷にお泊まりだ。ということで明日、商会の方に……

「ああ、それは……王都は、まだあまりウロウロしない方がいいと思います。大丈夫です、僕がちゃんと伝えますので」

「えーーー」

「みんな、お嬢さまのことが大切ですから。御身を大事にすることを一番にしてください」

 くうう。私を狙う転生者、早くなんとかしないと……。

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― 新着の感想 ―
いつも楽しく読んでます! ひさびさのほのぼの回かな〜 色々ありすぎたし解決もまだだしね〜!? ふと、他の転生者は幸せなのかなとも思ってしまうね! アリッサ様は身分や立場で苦労はあるけど、周りから愛…
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