表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
もしかして悪役令嬢 ~たぶん悪役令嬢なので、それっぽいフラグを折っておきます~  作者: もののめ明
アルフレッド視点3

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

309/368

直前で思いがけない事態へ

「マーカス殿下、なかなか戻られませんね」

「うん。また地龍公爵が何か難癖でもつけているんだろうか……」

 エリオットと2人でお茶を飲みながら、もう何度めになるのか……廊下の方に視線を向けた。

 兄上が戻る気配は、今のところない。

 ―――今日は四龍会議で、リバーシ大会運営の最終確認が行われている。兄上がその会議に行ってから、随分な時間が経っていた。

「父上もたまにボヤいていますが……地龍翁はそんなにもうるさい方なのですか?」

「なんでも反対しないと気が済まないのか?と思うくらい、文句ばかり言う方だね」

「最終段階のここで文句は言わないで欲しいところですが……」

「まったくだ」

 開催までに時間がなかったため、今回、僕とエリオットは作業を分担した。

 試合手順や会場の手配は僕と兄上、参加諸侯の取りまとめはエリオットだ。水龍家で茶会などを催して、大会の意義(災害被災地への寄付の件)を説明し、参加者を募ってくれたのである。

 しかも兄上主催としたため、ホッジ家が変に力を誇示しないよう派閥をいろいろと調整してくれた。正直、これらの作業はかなり大変だったと思う。

 短期間だったのに、それを涼しい顔でこなして……エリオットは本当に優秀だ。

「それにしても……リバーシ大会が終われば、アルフレッド殿下は帝国へ留学ですね。1年、お会いできないのは淋しい」

 ふと、溜め息のようにエリオットが呟いた。その口調に胸を衝かれる。

「……そうだね、僕も淋しいよ。他国へ行くのは楽しみでもあるんだけど」

「手紙、出します」

「うん」

 不思議な気分だ。まさか、エリオットとこんなに仲良くなるなんて。

 きっと帝国で、僕はエリオットの手紙を心待ちすることになるんだろう。

「エリオットは、他国へ行ってみたいと思うことはあるのか?」

「もちろん、あります」

「どこへ行ってみたい?」

「私は、南国へ行きたいですね」

 南国。

 エリオットが?

 ……ちょっと意外な気がする。

「南国には、こちらでは見たことのないような鮮やかで大輪の花があるそうなので。虫を食べる花もあるらしいですよ!ぜひ、それらを見てみたい」

「なるほど」

 それなら分かる。

 南国の暑い陽射しの中、夢中になって植物を見て回って、最後には倒れるエリオットまで想像できる。

「帝国には、大きな温室のある植物園もあるそうです。殿下、もし見学に行って図録が売っていたら……」

「わかった、送るよ」

「ありがとうございます!」

 エリオット、将来は植物学者になったほうがいいんじゃないか??


 廊下からざわめきが聞こえる。

 兄上が戻ってきたのだろうか。

 僕らが扉の方に視線を向けて待っていると……はたして、兄上が現れた。顔色がやや良くない。

 その後ろには、もっと焦燥感のある火龍公爵がいる。

 何があった?

「アルフレッド。……リバーシ大会にアリッサ嬢、アナベル嬢、クローディア嬢が見学に来るよ」

「は?!」

 僕と、そしてエリオットの声が重なった。

 何故?

 来れないように手を打ったのに!

「アリッサ嬢が地龍公爵に直談判したそうだ。それに、イライザ様から招待状が出されている」

「殿下、申し訳ない……アナベルとアリッサは妻も味方につけていて……」

 地龍公爵に、母上の招待状?

 もしかして。この間、母上と話していたあの時か?

 そんな素振りは、まったく見せなかったのに。

 エリオットもクローディア嬢が見学に来る件は初耳らしい。呆然としている。

 僕は……何もかもぶち壊してくれるアリッサが、初めてどうしようもなく腹立たしく思えた―――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ