ゲームで大盛り上がり
バチバチの火花が飛び散るお茶会が始まった。
特にアナベル姉さまとクローディア様の応酬が凄まじい。クローディア様は7才らしいけど、アナベル姉さまより年下とは思えない口達者である。
そういえば、今、気付いたんだけど……美形度合いから察するに、エリオット様は乙女ゲームのいわゆる攻略対象ではないだろうか。で、クローディア様はエリオット様攻略の際の悪役令嬢。
だってね、クローディア様は7才ながら今にも「オーホホホッ」と高笑いしそうな傲慢っぷりが見え隠れしているのよ。私も前世を思い出さず順調に育っていたら、こんな風だったんだろうか。なんだか恥ずかしい……。
さて、漂う空気が殺伐として全然楽しくないので、雰囲気を変えてみることにした。
「気分転換に、少しゲームをしてみませんか」
「ゲーム?」
そう、アリッサ特製人生ゲームだ。
お茶会で試してみたかったものというのが、これ。ていうか、用意して良かった。ギスギスした空気が変えられる……!
最初はただのスゴロクを作りかけていたのだけど、いやいや、イベントある方が盛り上がるわ!と作り直したのだ。正解だった。
「しゃ、借金?!この私が……!!」
エリオット様が大ショックを受けている。その横で大笑いしていたライアン兄さまは事故で1回休みになり、ガッカリ落ち込む。
私は早々に結婚した。お祝儀を全員からもらう。
「……貴方、さっき商会設立で儲けたばかりなのに、こんなにお祝儀集めるの?!えげつないわ……!」
「お祝いごとをケチるなんて、キモが小さいですよー、はい、出して出して!」
クローディア様にニヤニヤしながら言った私だが……その後は事業拡大に失敗し、病気になり、散々な目に。
結果、1位はハリー様、最下位は私という有様になった。
「……恐ろしいゲームだな、これは。君が考えたのか?」
「ええ、そうです……」
途中まで好調だっただけに、後半の災難続きはショックで、さすがに私も元気をなくしてしょんぼりしながら答える。うう、自分で作ったとはいえ、厳しすぎるよ……。
「こんな人生はゴメンだが、ゲームとしては非常に面白かった。販売はしていないのか?」
「そうね、滅茶苦茶な人生になったけど、思ったより楽しめたわ。売っているなら、買ってあげても良くてよ?」
おお?好感触?
「これは今回のお茶会用に作ったので、販売はしていないんです。でも、みなさんに楽しんでもらえるようですから、商品として開発してみますね」
エリオット様はにっこり微笑んだ。うわ~、眼福。
「うむ。必要であれば、出資もしよう」
「それは大丈夫です。あ、でも、改良点を出してもらえると、ありがたいです」
「人生の後半に、良い出来事が少なすぎるわ!これまでの功績で叙爵とか、そういうのを入れなさいよ」
「いいアイディアです、クローディア様!他にありますか?!」
……こうして、お茶会は人生ゲーム改良会議に突入した。予想外に白熱して、楽しかった。
クローディア様やエリオット様とも、いいお友達になれそうな気がしてきたな……。




