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もしかして悪役令嬢 ~たぶん悪役令嬢なので、それっぽいフラグを折っておきます~  作者: もののめ明
アリッサ7才

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絆が切れないように、手紙を書く

 そろそろ収穫祭だ。

 アルからは、まだ何も連絡は来ない。

 そんなある日、お祖母さまからアルへ手紙を書くよう言われた。

「でも……帝国へ留学する件、私に教えてくれないまま行っちゃって……結局、そのまま手紙もくれないのに、こっちから先に出すなんて……」

「アリッサ」

 いつもと違うピリッとした声に、私は思わず姿勢を正した。

「アルフレッド殿下がアリッサのために奔走していたこと、知らない訳ではないでしょう?貴方が思っている以上に、殿下は苦労されているのよ?以前から貴方はかなり殿下のご好意に甘えていることを自覚なさい。―――というより。そもそも、貴方は殿下に迷惑をかけすぎです」

「うっ……」

 お母さまや姉さまたちは知らないけれど、お祖母さまはラクの騒動を知っている。

 うう、なのでそれを持ち出されると私は何も言い返せない~……。

「慌ただしくて留学のことをアリッサに話す機会がないまま行かれた殿下を責める資格なんて、貴方にはありません」

「はい……」

「それと貴方へ伝えないままだったことに気付いたとき、殿下が動揺しないはずがないでしょう。慣れない異国でお一人で奮闘されているのに、その上、貴方に何と謝ればいいか頭を悩ませるなんて……どれだけ迷惑を掛け続けるつもりですか!」

「ごめんなさい!」

 お祖母さまの言う通りです……。

 すぐに私から手紙を書きます~!!


 とはいえ……部屋へ戻り、私は頭を抱えた。

 ―――だって、なんて書いたらいいんだろう?留学のことを教えてくれなかった件には触れず、普通に「帝国、どんな感じ?」とか「地龍公爵家へ行ってきました~」なんて書くのもおかしいよね?

 あ~、う~~~、そうか、アルもこんな感じなのかも~……。


 ※ ※ ※


アルフレッドさま


 お元気で過ごされていますか?

 留学の件、ビックリしました。

 いろいろあったから、アルとゆっくり話すヒマがほとんどなくて……いってらっしゃい!と直接言えなかったのは残念です。


 帝国はどんな感じですか?もう慣れましたか?

 食事は美味しいでしょうか。変わったもの、面白いものはあるのでしょうか。

 私は異国へまだ行ったことがないので、憧れます。街の様子とか、そちらで流行ってるものとか、いっぱい教えて欲しいです。

 でも、言葉の違う異国での留学生活は慣れるまで大変ですよね。あまりムリはしないでください。


 私の方は、地龍公爵の奥さまと仲良くなりました。ユージェニーさまは王都からほとんど出たことがないのに、たくさんの国の風習や文化をご存じですごいです。

 私ももっと他国のことを勉強しなくちゃ!と思いました。


 そうそう、クローディアとエリオットの誕生日パーティーにも行きましたよ。アルが来られなくて残念だとエリオットが言っていました。

 だけどアルがプレゼントしてくれたたくさんの珍しい花の種は、ちゃんと育てておくので、帰ってきたら驚かせるからと張り切っています。そのうち、エリオットは植物園を作っちゃうかも!?


 アルと一年会えないのは、やっぱり寂しいです。

 身体に気をつけて、勉強がんばってください。


アリッサ


 ※ ※ ※


 なんだか子供っぽい手紙になっちゃって、恥ずかしい。

 何度も何度も書き直して、これ以上はムリ……と一晩かかって諦めた。

 ついでに、アルダー・ル雑貨店で人気な文房具を同封する。オススメは最近ようやく製品化できた付箋だ(もちろん、使い方の説明も付けておく)。

 貼って剥がせるノリの開発って、本当に大変だったんだけど。きっと、今のアルに役立ってくれるんじゃないかな。

 さて、お祖母さまに手紙が書けたと報告したら、頭を撫でられた。

「大事な人との絆ほど、切れないようにするには努力が必要なのよ。向こうから連絡が来るまでこちらからしない!なんて変に意地を張っていたら、人間関係なんて簡単に疎遠になってしまいますからね」

「……お祖母さまは努力されているのですか?」

「あら。わたくしが努力しなかったら、もうとっくにオーガストとの縁は切れています」

 ええ?!お祖父さまの方がお祖母さま大好きで、必死に努力してると思っていたのに。

 意外だなぁ。

「男なんて、馬鹿なものですよ。調子のいいときはなんでも出来る気になって大きなことを言うくせに、少し駄目なことが続いたら途端に自信を失くして使い物にならないんですから」

「……お祖父さまが自信なくすこと、あるんですか?」

「横で常に持ち上げておいてあげないと、すぐに失くします。アリッサはそんなことのない頼り甲斐のあるしっかりした男性を選びなさいね。オーガストのような男は駄目よ?」

 えーーー?私、お祖父さま大好きなのに、お祖母さま的にはダメ男なの?!

「あれ……でも、お祖母さまは縁が切れないよう、努力された……んですよね?」

「ふふ。そうね。こんな駄目な人を支えられるのは、わたくしくらいだと思ったからかしら?」

 うーむ。お祖母さまとお祖父さまの過去が気になるわ……。

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