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もしかして悪役令嬢 ~たぶん悪役令嬢なので、それっぽいフラグを折っておきます~  作者: もののめ明
アリッサ7才

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敵の狙いを考察してみると?

 私の様子から何か起こったと察した地龍公爵がすぐに水龍公爵を呼び(ルパート閣下は本戦1回戦で敗退。マーカス殿下のそばにいた)、閣下に姉さまたちの護衛を任せて私を別室へ連れて行ってくれた。

 近衛騎士のオーウェン団長も来られる(オーウェン様も1回戦敗退だ)。

「何があった?」

 公爵から静かに聞かれ、私はハッとした。

 なんて説明したらいいの?

 乙女ゲーム……悪役令嬢……荒唐無稽すぎてアルに説明できないと保留していたのに!こんなことになるなら、先にアルに言っておけば良かった……。

「えーと……あの、私……天恵者なんです……」

 地龍公爵とオーウェン様はほんの少し目を見張った。

「……そうか」

「それで……さっき、メイドから……私と同じような天恵者じゃないと分からないことを聞かれました」

 オーウェン様が「ん?」という顔で首を傾げる。

「我が国で、同じ時期に天恵者が現れた例はないけれど……まあ、でも、そういうことはあるだろう。で、そのメイドが天恵者だとして……えーと、彼女はアリッサ嬢と話をしたかったということだろうか?」

「そうではなく……うーん、そうですね……私は、私が天恵者だと今まで明かしていません」

「火龍公爵にも?」

 少しギョッとしたように問い返された。

 この話を、お父さまがいないところで聞いてはいけないのでは?と逡巡したのが見てとれる。

 うん。私もお父さまも含めて話した方がいいと思うんだけど、今、その時間はないよね?天恵者の件って、もう隠しておける問題じゃなさそうだし……。この際、話してしまうよ!

 ただ、乙女ゲームの話は……ボカしてもいいかなぁ……。

「はい。それで……メイドは、あの席の誰かが天恵者ではないかと思っていたんだと思います。それを確かめる質問をして、私はつい、それに反応しました。すると彼女は私を見て笑い、すぐに去って行ったんです」

 地龍公爵が顎を撫でながら、聞いてきた。

「それは、どういう笑いだ?仲間が見つかって嬉しい───という笑みではなかったんだな?」

「そうですね。すぐにうつむいたし、目は笑ってなかったので」

 公爵とオーウェン様が目を合わせる。

 小さく溜め息をついて、公爵は顎から手を離した。

「狙いは……おぬしか」

「たぶん」

「しかし……何故ですか?天恵者が天恵者を狙うなんて」

 オーウェン様はまだ納得がいかない表情だ。

 そりゃ、そうよね。私も“何故”かは分からないもの。

 でも、私と同じ、前世が日本人で乙女ゲームのことを知っている人が、“悪役令嬢”を探しているんだと思う。

 ということは?

 ……乙女ゲーム(又は悪役令嬢が主人公の小説やマンガ?)をシナリオ通りに進ませないため、登場人物を殺そうとしてるってこと?

 もしそうなら、怖い!怖すぎる!!

 あ、そうか。だとすると、最初にアルが狙われたのも分かるかも。

 だって、アルは攻略対象者っぽいもん。

 私があれこれ考え込んでいたら、地龍公爵が立ち上がった。

「地龍翁」

「ちょうど、見世物も終わったようだ。アリッサはこのまま帰れ。風龍に送らせよう」

「いや、まだ色々と確認すべきことが……」

 オーウェン様が慌てて公爵を制止するけれど、私は急き立てられるように部屋を出された。

 私の背に回された地龍公爵の手は温かい。

「今、大切なのはこの子の安全であろうが。一刻も早く王城を離れておく方が良い。……オーウェン、火龍と水龍を集めておけ」


 馬車の中は、妙な緊張感が漂っている。お母さまとアナベル姉さまが、同乗している風龍公爵にドキドキしているからだ。

 一方の風龍公爵は飄々としているけれど。

「そういえば……アリッサ嬢は、地龍翁に名前呼びを許されたんだね」

 馬車が走り出してすぐ、公爵は私を見て楽しそうに尋ねてきた。

 私は頷く。

「はい」

「ルパートとも仲が良いようだし、ぜひ、気難しい龍を手懐ける方法を伝授してもらいたいものだ。私はいまだに、地龍翁もルパートもマクシミリアンも名前を呼んでくれないんだよ」

「風龍公爵は、名前で呼んで欲しいのですか?」

 公爵は陽気にウィンクした。向かいに座るお母さまがフラリと倒れそうになる。

「風龍公爵なんて堅苦しいだろう?」

「じゃあ、私もお母さまと同じようにメイジーさまとお呼びして構わないでしょうか?」

「うれしいね。ぜひ」

 やったぁ!麗しの風龍公爵と親しくなれた感じで嬉しい!!

 私は調子に乗って、ふと思いついた提案を口にした。

「お父さまやダライアスさまにも、メイジーさまが名前呼びして欲しいと思っている件、伝えますね!」

 お母さまが顔色を変え、「要らないことを言わない!」というように口の前で指をバツの形にする。

 でも、今になって自分から「名前で呼んで」って言いにくいと思うもん。私が代弁するのはいいことだと思わない?


 屋敷に着き、そのまますぐ私だけ領へと転移となった。

 メイジーさまから「オーガスト様の元にいなさい。そこが一番安全だ」と言われたためだ。あとで事の詳細、お父さまは教えてくれるかなぁ……。

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