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もしかして悪役令嬢 ~たぶん悪役令嬢なので、それっぽいフラグを折っておきます~  作者: もののめ明
アリッサ7才

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思いもよらない言葉を聞く

 風龍公爵に案内されて王妃さまの席へ。

 今日は国王陛下も大会に出られるので、王城の行事では必須の挨拶回りは基本的には無しになっている(とはいえ王妃さまの元には、それなりに列が出来ているのだけど)。

 風龍公爵は私たちが席に着いたのを確認すると、ニコリと笑って会場へ戻っていった。審判役に付いているので、本戦の準備をするのだろう。

 入れ替わりで地龍公爵が来られる。

「年老いた爺では頼りないかも知れんが、護衛役を仰せつかった。まあ、置き石だとでも思って我慢してくれ」

 お母さまが目を丸くさせる。

「まあ。地龍翁が付いてくださるのですか?」

「火龍のは気に食わんだろうがの」

「……ダライアスさまは、大会に出られないのですか?」

 つい、横から口を挟む。お母さまから「アリッサ!」と注意の声が飛んだ。話の途中で割り込むのは、礼儀のなってないことだ。

 しかし地龍公爵は気にした風もなく、ふんと鼻を鳴らして私を見る。

「ああいうのは好まん。……おぬしは得意そうだが」

「そうでもないです」

「アルフレッド殿下をコテンパンにしたと聞いたぞ」

「あれは……勝てるのは最初だけだと思ったので……」

 な、何故、それを知ってるの?

「ふはは、悪いやつだな」

「~~ダライアスさまもコテンパンにします」

「ほほう?」

 やれるものなら、やってみろという視線を向けられた。

 お祖父さまには勝てるんだけど……地龍公爵はどうだろ?結構、食わせ者だもんね。難しいかなぁ。


 少ししてディもやって来て、地龍公爵の姿に一瞬、硬直する。

 しかし、すぐに綺麗なカーテシーをして王妃さまや公爵に挨拶をし、私の隣に腰を下ろした。

「ありがとう、アリッサ!エリオットには散々文句を言われたけれど、参加できてうれしいですわ」

「私も……ディに会えて、うれしい」

「ええ。冬の間、会えませんでしたものね」

 顔を見合わせ、ふふふと笑いあう。

「それで……今日は勝者を賭けるのでしょう?アリッサはどなたに賭けますの?」

 楽しげなディの問いに、王妃さまがずいっと身を乗り出してきた。お母さまも寄ってくる。

「やはり大蔵卿のベンジャミン様ではない?」

「あら、イライザ。夫に賭けないの?」

「それを言うなら、あなたこそ」

「内務卿のメイソンさまはどうなんですか?」

「近衛騎士団長のオーウェンさまの方が……」

 アナベル姉さまもディもすぐに加わり、一気に賑やかになった。わあわあとそれぞれが意見を述べて収集がつかない。地龍公爵は目を丸くさせている。

「───で、おぬしは誰に?」

 地龍公爵がそっと私に尋ねてきた。

 私は躊躇いなく即答する。

「お父さまです」

「ほう?」

 賭けは、一人だけに賭けてもいいし、複数人に賭けてもいい。

 でも私はお父さま一人だ。

「今回、お父さまにはいっぱい心労をかけてしまいましたからね。せめて、全力で応援します。ていうか、本当にお父さま、強いし」

「ふはは、火龍のもこれは負けられんな」

 地龍公爵はにやっと笑った。


 リバーシ大会は大盛り上がりだ。お父さまは順調に勝ち上がっている。

 そして、準々決勝のときだった。

 メイドが新しいお茶を持ってきてくれた。

 アナベル姉さまとディが「ああ、今はお代わりは要らないわ」「そこに置いておいてちょうだい」と指示する。

 メイドは「かしこまりました」と頭を下げ、ポツリと呟いた。

「いかにも悪役令嬢ですね」

「え?」

 姉さまとディがポカンとする。

 私は軽く息を飲んでメイドを凝視した。

“悪役令嬢”?

 メガネをかけた、恐ろしく平凡な容姿のメイド。まさか、転生者?

 ……バチッと彼女と視線が合う。

 しかしすぐに頭が下がり、彼女はさっとテーブルを離れた。

「メグ!」

 私は慌てて、後ろに控えていたイアン(メグ)を呼ぶ。

「お嬢様。どうされました?」

「すぐに、あのメイドを追って!」

 小さな声で頼んだら、イアンは「承知しました」と詳しいことは聞かずに後を追ってくれた。

 あのメイド……私と目が合った瞬間、笑わなかった?

 背筋がぞくっとした。

 もしかして……あの人が……。

今週来週は少し時間に余裕がないため、火土の2回更新で。

気になる箇所で進みが遅くてすみません。

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