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もしかして悪役令嬢 ~たぶん悪役令嬢なので、それっぽいフラグを折っておきます~  作者: もののめ明
アリッサ7才

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247/369

今度は王城でお茶会、忙しい~!

 さあ、今日は王城でお茶会で~す。アナベル姉さまとライアン兄さまも一緒に行きます。

 お父さまもお母さまも心配と不安の入り交じった顔をしていたけれど、一番不安で怖い思いを抱えているのは決して表には出さないけれどアナベル姉さまだからね。私とライアン兄さまがしっかり守るよ!


 王城に着いて、冬なのに花で溢れるティールームに案内された。

 うーん、華やかなのに落ち着いた温かみのある部屋で、素晴らしい。

 それにしても……何回か王城には訪問しているけれど、いまだに城の全容は掴めない。見回りの兵士さんって、こんなに広くて大変じゃないのかなぁ?地図って最初にもらえるのかしら。もし地図があるなら、私も欲しい……。

 ───ティールームには、アルだけでなくマーカス殿下もいた。

 マーカス殿下もアナベル姉さまの件にひどく心を痛めているらしい。犯人を捕まえるために協力したいと申し出てくれたそうだ。

 それでアルは、今回のお茶会はマーカス殿下と二人で開催することにしたのだとか。場を騒がせそうなシンシアさまは決して入らせないので、安心して欲しいと添えられていた。

 ていうか。

 いつの間にアルは、マーカス殿下とそんな共同戦線を張れるような関係になったんだろう?前のお茶会のときは、仲悪そうじゃなかったっけ?

 さらにビックリしたことに、手紙には最近、マーカス殿下と一緒に体を鍛える訓練をしているとも書いてあった。

 なんで?

 経緯が書かれてないので、さっぱり分からない。

 ……男の子同士だから、拳で語り合って仲良くなったとか?王族なんだから、まさか、それはナイよねぇ。


「本日はお招きいただき、ありがとうございます」

 広いティールームだけど、なんだか人が多くて熱気でむわっとする。いつもより護衛が多いし(それは私たちの方も同じ)……侍女や侍従の数もやたら多いような?

 型通りの挨拶が終わると、マーカス殿下とアルがそれぞれ侍女に下がるよう言い付る。

そっとライアン兄さまが教えてくれた。

「珍しい組み合わせのお茶会だから、様子を探られてるんじゃないかな」

 な~るほど、王城内のいろんな派閥が聞き耳を立てているってことか。

「アリッサは、おとなしくしてるんだよ」

「はーい」

 しゃべりだしたら、うっかり余計なことをポロッと洩らしそうたから、兄さま姉さまに任せよう。

 席に座れば、お茶やお菓子がすぐに運ばれてくる。

 マーカス殿下が心配そうな、気遣う視線をアナベル姉さまに向けたあと、すぐに表情を改めてにっこり微笑んだ。

「今日は落ち着いた装いだな」

「あら。マーカス殿下は、派手な方がお好きですか?」

 アナベル姉さまも微笑んで、何気ない空気で会話を進める。

 アナベル姉さまが毒を受けた件は機密事項だ。王城でも一部以外には伏せられていると聞く。マーカス殿下も余計なことをここでは話せないのだろう。

「いや、私は大人しい方が好みだが……アナベル嬢とアリッサ嬢のお揃いの衣装は、その……うん、素晴らしかったなあ、と」

「ああ!殿下に褒めていただいたと、アリッサから聞いております。でもあの衣装はアリッサが考えたものなんですよ。見事でしょう?」

「ああ、斬新ですごかった」

 しみじみとマーカス殿下は頷いて、すっとテーブルに魔石を置いた。防音の魔石だ。

「相槌を打つだけにしてくれ。手近に話す。……近いうちに、アルフレッドが公式にカールトン商会に顔を出す。日取りは改めて知らせるが、準備しておいてくれ」

 私は思わずポカンと口を開けたが、ライアン兄さまもアナベル姉さまも落ち着いた笑顔で「承知しました」と答える。

 ええ?公式にアルが城下に出るって危なくない?

「私も一緒に行きたかったが、アルフレッドに止められた。弟を頼む」

 マーカス殿下は強い光を放つ視線を私に向けた。

 その視線を受けて、一瞬、息を飲む。だけど……“弟を頼む”、その短い言葉に、アルとマーカス殿下の間にあったわだかまりは無くなったのだとはっきり感じ取った。ちょっと胸がじんわりする。良かったな……うちは兄弟仲が良いので、心からそう思う。

 ただ、マーカス殿下。どっちかって言うと、私がいつもアルに守られている方です。それどころか危険な目に遭わせている方です。

 でももちろん、目一杯、守るからね!

 うんうん頷いたら、ライアン兄さまから頭をコツンとされ、アルからは「アリッサがじっとしているのが、一番危なくない」と言われてしまった。

 ヒドイ。

 そのあと、マーカス殿下、ライアン兄さま、アナベル姉さまは部屋を出て行った。三人は温室で花などを見るそうだ。この後、殿下と私はあまり話す時間がない。アルのことを頼むためだけに、マーカス殿下は防音の魔石を使って話をしたらしい。

 なお、私とアルはこのまま、この部屋でお茶会を続行する。

 犯人が動くかどうかは分からないけれど、アナベル姉さまとアルを別々に分けて、どちらかに食いつかせようという作戦なのだ。

 ライアン兄さまは、あまりに雑な作戦だと昨日から胃痛に悩まされている。

 まあね。気持ちは分かるけどね。

 でも仕方ないじゃん。囮ってそんなもんでしょ。

 少なくとも王城で魔法攻撃は封じられているそうだし、いきなりナイフ持って襲ってきても、姉さまもお守りをつけているから大丈夫。さあ、犯人よ、さっさと掛かってきなさい!


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