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もしかして悪役令嬢 ~たぶん悪役令嬢なので、それっぽいフラグを折っておきます~  作者: もののめ明
アリッサ7才

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魔獣退治、初見学

 翌朝。

 私はそのまま来た道をUターンして帰るはずだったのだけど……数日前にこの村の近隣で魔獣が出たという話があり、危ないからセオドア兄さまたちの退治が終わるまで待機するよう言われた。

 ここまで、全然魔獣が出ないなーと思っていたけど、とうとう、出現だ。

「……ねえ、兄さま。魔獣退治に付いて行ったらダメ?」

「んー……絶対に指示に従うかい?」

「うん」

「じゃあ、付いておいで」

 行っていいんだ!

 聞いておいて、OKが出るとは思わなかった。

 私がピョンピョン喜んでいたら、マシューとメアリーが心配そうに兄さまに苦言していた。

「セオドア様。アリッサ様を連れて行くのはどうかと……」

「心配なのは分かる。だけど、僕はアリッサにいろんなものを見せると決めたから。たとえ、アリッサが見たくないと言ったものでもね」

 え?見たくないものも見なきゃいけないの?

 な、何を見せようと考えてるんだろ、兄さま……。

「それに、アリッサの安全なら大丈夫だ。最強の護り手がいる」

「最強の?」

「ね、お祖父さま。アリッサにいいところを見せる機会ですよ」

「!!」

 お祖父さま?!

 出発前にあれほど兄さまが付いて来るなって言ってたのに!

 振り返ったら、憮然とした顔のお祖父さまがいた。

「セオドア。アリッサは危険な目に合わせんと約束したではないか」

「うちの騎士や僕の腕を信じていないんですか?後を付いて来るなんて。大体、冬山の魔獣くらいじゃ、大したことありませんよ」

 兄さまの厳しい語調に、お祖父さまはシュンとする。

「しかしなぁ、世の中、もしもということが……」

「お祖父さま。昔、グレイシーとアナベルにいいところを見せようとして、泣かれましたよね。それがイヤだったからってアリッサだけ大事に囲ってもダメです。火龍家の一員として、きちんと領主の仕事は見せる!教える!それもまた務めです」

「…………」

 ふうん。姉さまたちは魔獣退治を見たことがあるんだ。

 それは知らなかった……。


 ということで、私は魔獣退治に付いてゆき───結果として、なかなかグロいものを見ることとなった。

 うん。知らないって幸せだったかも~。

 そういえば私、スプラッタ映画も大の苦手だったんだよね~。

 でもおかげで魔獣退治ってすごく大変で危険だということがよく分かったし、血がブシャ!は冗談じゃないくらい気持ち悪いって分かったよ。

 想像するのと、ホントに体験するのって全然違う。

 冒険って言葉の響きは胸踊るけど、私には向いてない気がしてきたなぁ。前世含めて、安全な場所でのほほーんと生きてきたんだと改めて実感したよ……。

 そして、帰り道。

 お祖父さま、テッド、ガイに馬車の周囲を守ってもらい、揺られながら。

 私は心からマシューを褒めていた。

「マシュー、すごいね。テッドより強いんじゃない?やっぱり、商会の仕事であちこち回ってたからそんなに強いの?」

「僕は自分の身しか守れませんよ。テッドの方が護衛として立ち回る分、技術は完全に上です。今回、彼は初めての実戦で戸惑っていただけでしょう」

 そうなんだ。

 でも、マシューがあんなに戦えるとは思ってなくてビックリした。

 もうね、マシューの剣捌きを見てたら安易に世界を旅したいとか言えないね。自分の身は自分で守るって、結構大変だよ。

 それにさ、私にはいつも護衛が付くワケだから。

 私が危ない目にあうってことは、メアリーやテッドたちが危ない目にあうってことだ。

 いろいろと身に染みました。

 セオドア兄さま。いい勉強の機会をありがとう。

火曜日の更新、少し遅れるかも知れません

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