クマのぬいぐるみのお礼と……檻?!
更新再開します!
ここからしばらくシリアスパート。毎日更新はちょっとムリそうですが、解決までは休まず火木土更新がんばります。
とても急に決まったのだけれど、冬至祭前に王城へ行くことになった。
正式な訪問ではなく、隠者の塔の方だ。アルにたくさん心配を掛けたから、お父さまが直接話をできるよう予定を調整してくれたらしい。
お守りとぬいぐるみのお礼も言いたかったから、会えるのは嬉しいな。
アルは会うなりとっても優しい笑顔になって迎えてくれた。
「お姉さんが目覚めて、良かったね」
「うん!……それと、誕生日プレゼントもありがとう!」
「だいぶ前から用意していたんだけど、アナベル嬢の件があったから贈るかどうか悩んでたんだ」
そっかぁ。いろいろ、気を使わせてしまって申し訳ない~。
「あのね。クマのぬいぐるみ、毎晩、一緒に寝てるんだよ」
フワフワですっごく抱き心地がいいのよね。ぎゅっとしたら、それだけで安心しちゃう。
すると何故かアルは頬を少し赤くして「そうなんだ」と頷いた。
そうそう。もう一つ、クマの件で言っておかないといけないことが。
「それとね。クマの名前、アルから名前をもらってアルフにしたけど、いいかな?」
「え?」
「アルとおんなじ、キレイな青い目をしてたから。……イヤ?」
アルの瞳は、本当にキレイな青だ。澄んだ秋の空を思わせる。この国に青い瞳の人はいっぱいいるけれど、アルほどキレイな青を私は見たことがない。
アルフも……クマのぬいぐるみも同じくらいキレイな青だったので、これはもう、アルから名前をもらう以外ない!って思っちゃったんだよね。
「イ、イヤじゃないよ」
アルの顔がますます赤くなる。
……あれ?なんで?私、変なこと言っちゃったかな?
隠者の塔に着いた。
いつものように中へ入り───その瞬間、カシャンと檻に閉じ込められた。
えっ?!
ビックリして、フレーズする。
檻。巨大な鳥籠みたいなやつ。
急に現れたような?
な、なんで??
私の左右にいたアルとリックも、鳥籠に押されたのだろう、タタラを踏んで驚いた顔をしている。
「ウォーレン!どういうつもりだ?!」
アルが下に向かって大きな声を上げた。
ウォーレンさん?これ、ウォーレンさんが?
しばらくして、階段からウォーレンさんが現れた。青い顔をしている。
「ウォーレン。すぐにアリッサを出すんだ」
「ダ、ダメだよ。アルこそ、彼女から離れるんだ」
いつもなら声は小さいし何度もどもるのに、ウォーレンさんは普段から考えられないほど鋭い声を出した。アルの顔が険しくなる。
「どういう意味だ?」
「転移陣を使ったから王城へ入れたけど……普通なら、門で弾かれる。彼女は、魔の者と契約してる」
「は?!」
魔の者と契約?!何、それ!!
アルが血相を変えて私を見た。
私は力いっぱい首を振る。
知らない。
そんなの、全然知らない!
「……ウォーレン。アリッサには思い当たる節はないようだけど」
「印が付けられているよ。今、目に見えるようにする」
ウォーレンさんが右手を上げ、何か呟いた。
じりっ。
左手の甲に熱が走り、目をやると……赤い変な模様が浮き上がった。
これ……これが魔の者と契約した印?
いつ?どこで??
「し、知らない、こんなの……いつの間に……」
「……アリッサに印を付けた魔の者をここへ喚び出せるか、ウォーレン」
「ここへ?」
「ウォーレンの結界内なら、捕獲できるだろう?」
アルの青い瞳が怖いくらいに冷え冷えしている。今、その視線はウォーレンさんに向いているけれど、もし私にその視線を向けられたら……どうしよう。泣きそうになってきた。私、アルに……嫌われてしまうの……?
「……分かった。アルは少し離れて。念のために護符を渡す」
ウォーレンさんはごそごそと袖から符を取り出してアルに渡し、彼をそのまま壁際まで押しやってから私の前に来た。
「手を出して」
「…………」
印の出た左手を檻の外へ出す。
ウォーレンさんは印の上に人差し指と中指を当て、小さく何かを呟いた。
チリッ。
鋭い痛みを感じたと思った瞬間、
「姫さん!」
真っ青な顔のラクが現れた───。
 




