表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
もしかして悪役令嬢 ~たぶん悪役令嬢なので、それっぽいフラグを折っておきます~  作者: もののめ明
アルフレッド視点2

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

226/369

目が覚める衣装の効果

 火龍公爵家の姉妹が会場へ入ってきたとき、入り口の周辺が大きくどよめいた。

 僕はそのとき、余所見をしていたのだが、ざわっと空気が揺れたことに驚いて辺りを見渡した。壇上の高いところに座っているので……黒と赤の派手な二人組は遠くからでもよく見えた。

 ……その二人組。祝いの場に参加するにしては、どうにも禍々しい雰囲気を醸している。

 まだ顔がよく見えない距離だったけれども、僕にはすぐ(アリッサだ)と分かった。あの鮮やかな紅い髪は、彼女以外、有り得ない。

 いや、それにしても。

 ちょっと……毒々しすぎないだろうか?

 恐ろしいことに、とても似合っているのもどうかと思う。普通のドレスより合っているかも知れない。

 近くでシンシア様が息を飲む音が聞こえた。

「な……な、ななな…………」

 言語障害に陥っているようだ。

 少しだけ愉快な気分になって、そっと壇上を見渡してみたら……火龍公爵がにやりとしているのが見えた。

 まあ、当然とは思うけれど、公爵公認なのかぁ。

 でも……。

 いいんですか、火龍公爵。あなたの可愛い娘たちが今後、社交界の毒花って噂されるようになるかも知れませんよ?それで婚約者に名乗り上げる者が減るなら、僕は歓迎すべきなのかも知れないけれど。

 ───アナベル嬢とアリッサが兄上の前に来た。

 アナベル嬢はライアン殿に、アリッサはマシューにエスコートされている。

 ライアン殿は広く顔が知られているが、マシューはカールトン商会を利用している一部しか知らないからだろう。彼への注目度が異様に高くなっていた。アリッサがまた自然と寄り添っているので(マシューを信頼しているのは分かる。分かるけれど、端から見るとかなり親密そうに見えて……複雑な気分だ)、詮索に拍車が掛かっているのではないだろうか。

 マシューからはこのエスコート役は荷が重いというようなことを聞かされていたが……なかなかどうして、堂に入ってるじゃないか。つまらない嫉妬をしそうだよ。

 

 兄上には、二人のド派手な装いが相当面白かったらしい。

 それまで誰に対しても無難な挨拶しか返してなかったのに、身を乗り出して話し掛けている。

 ……後ろでシンシア様がプルプルし始めた。大丈夫だろうか?

 アナベル嬢は恐れる風もなく兄上と挑戦的な受け答えをし―――そして、姉妹仲良く去っていった。

「……気分が悪いわ」

 ぼそりとシンシア様が呟いて、席を立った。

「大丈夫ですか、母上」

「マーカス。あなた、腹が立たないの?!」

「え?ちょっと眠くなってきたなぁという頃だったので、良い目覚ましになりましたね」

「何を呑気な!……席を外します」

 不快全開な顔を扇で隠し、シンシア様は奥へ下がった。

 途端に兄上がパッと輝いた顔をし、僕を振り返る。

「アルフレッド。少しノドが渇いたから飲み物を飲んでくる。代わりに挨拶を受けておいてくれ」

 ええっ?!シンシア様がいなくなったからって、ここから逃げ出す気か?それはずるい、兄上!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ