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もしかして悪役令嬢 ~たぶん悪役令嬢なので、それっぽいフラグを折っておきます~  作者: もののめ明
アルフレッド視点2

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そんな顔、絶対に他で披露しちゃ駄目だよ?

8000pt突破~!ありがとうございます~。

アルフレッドの話、10話くらいで終わらせるつもりだったのに、またまた長くなっております。あ、これ書いておかなきゃ、というエピソードがポロポロと足されてしまいまして。

早くアリッサに戻りたいんですけど、もう少しお付き合いくださいませ。

 サンルームはやたら風通しがよくなっていた。

 ここまで開放的にしなくてもいいのでは?と溜め息混じりに思ってしまう。あちこちの柱の影からこちらを覗いている顔が見える。ちょっとうんざりしてしまったけれど、アリッサは飾られている南国の花を興味深そうに眺めて回っている。サンルームの雰囲気は気に入ってくれたらしい。

「……本当は、アリッサと公式のお茶会はしたくなかったんだ。要らぬ詮索が増えるだけだし」

 アリッサに席を勧めたら、ニコッと笑顔が返った。

「まあ、でも、私は噂のバンフォード大公を初めて拝見できたので、ちょっとは収穫あったかも」

「たぷたぷ大公が見たかったんですか?」

 横からウィリアムが口を挟む。

「たぷたぷ大公?」

「殿下の命名です」

「ぷぷっ!……でもあれ、たぷたぷ出来ないくらい肉がパンパンじゃないですか?もはや肉塊……」

「うーわー、肉塊大公って言うとかなり怖そうですね~」

「私は怖かったですよー」

 え?まさか大公の真似だろうか?

 アリッサが頬を膨らませて鼻や口を中央に寄せて変な顔をする。似ていない。けれど、表現しているものが分からない訳でもない。

 うっ。

 そ、そんな顔で僕を見たら……

「止めてくれ!今度会ったとき、吹き出さずに我慢できる自信がない……!」

「ダメダメ。笑ったら呪われるからね~。肉塊に押し潰されるのだ~」

「アリッサ!」

 駄目だ!我慢できない!!

 とうとう僕はお腹を抱えて笑ってしまった。

 その顔は卑怯だ、アリッサ。君は公爵令嬢なんだぞ、そんな変な顔をするなよ……!

「アルフレッド~、何故笑うのだ~」

「ワシはたぷたぷではなぁい!」

 調子に乗ってウィリアムまでバンフォード大公の声真似をする。

「や、やめ……お、おなかが…………っ!」

 腹筋が崩壊するぅ……!


 前にモラ湖で人生一生分くらい笑ったと思っていたけれど、そんなことはなかったらしい。

 僕はこんなにも笑う人間だったのかと驚きたくなるほど、たくさん笑ってしまった。僕はアリッサといたら、毎日、笑ってばかりになりそうだなぁ。

 散々笑ったあと、アリッサからはカールトン領の港町、リーバルのお土産を渡された。

 波音が聞こえるという巻き貝に、白砂や色とりどりの二枚貝が詰まっているガラス玉。僕はまだ海を見たことがないが、これらを見るだけで海への興味が掻き立てられた。

 僕も行ってみたい。

 さらにアリッサはすごいものを取り出した。

「こっちは誕生日プレゼント!」

 なんと、帝国産遠眼鏡だそうだ。遠くのものが近くに見えるらしい。

 去年に続き、今年まで。こんな風に誕生日を祝ってもらえるなんて、夢みたいだな。

「誕生日なんて、気にしなくていいのに!」

「でも、これ、すっごく気に入っちゃって。アル、興味ない?バートお勧めの最新式なんだけど」

「バート?」

 誰だ?

「あ、リーバルの統領なの。お祖父さまと一騎打ちしたこともある強い人なんだって。リーバルの街をいっぱい案内してくれてね、すっごく楽しかった。今度はバートの船にも乗ってみたいなぁって思ってる」

 バート。

 もしや、バート・オズボーン?!

 アリッサの目がキラキラしてる。ちょっと待った。そのキラキラ具合はどういうことだ。まるで……まるで……いや、そんな想像はしたくない。

 でも、僕はそんな目で見られたこと、一度もないんだけど。

 あああ、もう最悪だ。どうして僕は……祖父に近い年齢の男に嫉妬しなきゃいけないんだ。

「前から一度、聞いてみたかったんだ。……アリッサって年上好き?」

「??」

「だって同年代の人間より、年配の人と打ち解けるのが圧倒的に早くない?最近は店頭に立ってないみたいだけど、カールトン商会でアリッサファンになった貴族は多いし、水龍公爵とも笑顔で挨拶する間柄だし……」

 はああ。こんなことをアリッサに言うなんてさ。

 ……格好悪いよな。

 アリッサはそんな僕の胸中を知らず、真面目な顔で考え込む。

「別に年配の人が好みってわけじゃなくって……えーと、大人の包容力がある人が、好きとか……かな?」

「なるほど。包容力……」

 大人の包容力。ちょっと難しいな……。

「いやぁ、お嬢様は単に甘やかしてくれる人が好きなだけじゃないですか?」

 リックが横から突っこみを入れてきて、アリッサに睨まれていた。

 いやいや、リック。アリッサはそんな一筋縄じゃいかないよ。甘やかすだけで好きになってくれるなら、どんどん甘やかすけれど……たぶん、そうじゃない。

「ちなみに」

 突然、アリッサが金色の瞳をキランと光らせてこっちを見た。

「アルはどういう人が好きなの?っていうか、婚約しないの?マーカス殿下がまだだから?」

 うわ。それ、聞いてくるんだ?

 やっぱり僕はまったく意識されてないんだなぁ。

「え?───うん、婚約は……そうだね、まだ無理かな。兄上がまだだし」

「好きな子は?」

「………………いるよ」

「いるの?!」

 ビックリするほど大きな声で驚かれた。

 そんなに驚くことだろうか?僕は恋愛なんかしないと思ってるのか?

「……どんな子?」

「世界中の誰よりも魅力的で可愛い子」

「そうなんだ……」

「発想が豊かで行動力があって、目が離せないし」

「ふぅん」

 ちょっとは察して欲しいなと思ったんだけど。

 無理だよなー、やっぱり。

 まあ、僕よりも年下で、初対面のときにカエルを渡してくるような子―――とは言えないし。でも、かなり意を決して好きな子がいると告げただけに、出来れば、もう少し違う反応が欲しかった。

 はあ。

 将来、僕はちゃんと告白出来るだろうか?なんだか、不安になってきた。

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