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もしかして悪役令嬢 ~たぶん悪役令嬢なので、それっぽいフラグを折っておきます~  作者: もののめ明
アリッサ5才

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うーん、悪徳商人道を極めようかしら

 振り返ると……ん?王子??

 黒髪なので驚いたけど、確かにアルフレッド王子だ。お忍びで変装してるということだろうか?隣には、人の良さそうな20才前後の男性がいる。

「いらっしゃいませ、すこし おまちくださいませ」

 お忍びなら、殿下とかアルフレッド様とか言ってはいけない気がして、とりあえずそれだけ言って、ニッコリと頭を下げる。

 で、ジェンキンス侯爵に、

「では、こちらの商品は、こうしゃくのお屋敷にとどけますね。サービスに、こちらの茶葉をおつけしますわ。東の国から仕入れたばかりのとても香り高いお茶なんです」

と急いで対応した。侯爵は満足そうに頷き、「では、また来月、お会いしましょう」と私の手に優しいキスをして帰ってゆく。あ~あ、結局、新商品を全部侯爵に売っちゃった。

 オーラムジャムをジェンキンス侯爵家に配達するよう指示を出して、改めて王子に向かい合った。

「……君は店員として、店に立っているの?」

 信じられないという顔で王子が問うてくる。私はこてんと首を傾げた。

「月に1度だけですけど」

「公爵家の娘なのに!」

「どうして、公爵家のむすめが店員をしたらダメなのですか?」

「!」

 絶句する王子。

 まー、確かに貴族のお嬢様のすることじゃないよねー。

 でも、平民落ちしたときのためにお金は稼いでおきたいし、私、前世でも働いたことなかったもの。子供で大目に見てもらえるうちに、経験積まないと!で、実際に働いてみたら思ったより楽しいしね。客商売は向いているのかな?って思う。

 ていうか、こんなことになるなら、前世で少しくらいバイトしておけば良かった。お母さんは許してくれなかったけどさ。

「せっかくなので、当店じまんのジャムの ししょくをされますか?」

 王子が呆然として動かないので、なんとなくジャムの試食を勧めてみる。

 すると、隣に立っていた青年が屈んで話をしてくれた。王子よりも薄い水色の綺麗な瞳だ。黒髪なのだけど、これはやっぱり王子と同じように変装だろうか?

「ぜひ、試食をしてみたいです。これだけ沢山の種類があると迷ってしまうので、いい試みですね」

「ありがとうございます」

 青年は、ウィリアムと名乗った。王子の従兄らしい。王子のお忍びの付き添いみたいだ。ん?従兄?てことは、王族?

 王都店で売り子するなら、もう少し高位貴族の顔と名前を覚えた方がいいのかも。写真つきの貴族年鑑みたいなのがあれば便利なのになー。それでなくても人の顔と名前を覚えるのは得意じゃないから、ホント、苦労するわ。

 王子とウィリアム様には、3つほどオススメなジャムを試食してもらい、結局、全部お買い上げいただいた。

 二人とも本当に美味しそうに食べていたので、お得意様になってもらえるんじゃないかしら。

 うふふ、順調に顧客を増やしているわ~。最近、顧客名簿や帳簿を見るのが楽しみなのよ。店長と二人でにまにまして見ている。もう、悪役令嬢じゃなくて悪徳商人を極めるのも悪くないんじゃない?って思うくらい。

 そのうち、自分で商会を立ち上げようかしら。女社長って、格好良くない?

 ……そういや、王子ってお忍びで街に出るんだ?他の商会でオススメな店をぜひ今度、教えてもらおう。色々、見学していい所はどんどん取り入れなくちゃ!

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