まずは礼儀作法から始めよう
さて、まずは、基本。屋敷の図書室へ行ってみた。
……字は、全然読めなかった。見たことない字で、どう読むかさっぱり分からない。これは、一から勉強する以外、どうしようもない。
チートにすらすら読めるかと思ってたのに!ちぇっ。
次に、厨房へ行ってみた。
手伝いをしたいと言ったら、コック達に「お嬢様にそんなことはさせられません!」と言われ、すぐに厨房を追い出されてしまった。
まったくもう。全然、思うように進まないじゃない。
これじゃ、剣術を習いたいって言っても、ダメかなあ。身を守る手段も手に入れておきたいんだけど。
そうそう、あと、平民落ちに備えて町にも行っておきたいよね。でも、さすがに4才の子供一人では……危ないよなー。
次の手をどうするか悩んでいたら、お姉さま達がやってきた。
アナベル姉さま(7才)と、グレイシー姉さま(13才)。
二人とも、当然ながら可愛い。
あ、そういえば、カールトン家は、子だくさんだ。(ちなみに、我が家は公爵家である)
他に、お兄さまが三人いる。長男オリバー(14才)、次男セオドア(11才)、三男ライアン(もうすぐ9才)。こちらも言うまでもなく、美少年揃い。私はショタじゃないので、もう少し育った姿を見るのが楽しみ。実兄なのは、残念なとこだけど。
でもって全員、年の離れた妹の私をでろでろに甘やかしている。もちろん、父母に祖父母もだ。将来、悪役令嬢になるのも当然といえるだろう。
「アリッサ。なんだか急にいろいろ始めたみたいだけど、どうしたの?」
グレイシー姉さまが顔を覗きこんできた。わたしは、首を振る。
「何も始めてないです、姉さま。わたし、将来、ダメな女にならないために、今からいっぱい勉強しなくちゃいけないんです」
姉さまは、目を白黒させた。突然の変わり様にビックリしたんだと思う。だけど、ここで年相応のフリをしてても、時間を無駄にするだけだ。4才で前世の記憶を思い出した幸運は、しっかり使わないといけない。
「アリッサがダメな女になるわけないわ、こんなに可愛いのに」
「可愛いで許されるのは、小さい間だけです。このまま育って、痛い大人になったら、どう責任取ってくれるんですか?」
「ア、アリッサ……?」
「わたしも、姉さまと一緒に礼儀や作法の勉強をさせてください」
「う、うん、じゃあ、一緒にやりましょう……???」
おお、上手くいった!
よし。一歩前進!