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もしかして悪役令嬢 ~たぶん悪役令嬢なので、それっぽいフラグを折っておきます~  作者: もののめ明
アルフレッド視点2

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僕は、たぶん誰にもアリッサを渡したくない

 気は進まないけれど。

 この話は、しなければならない。

 ───アリッサに、一定レベルを超える魔力量は国の管理下に置かれること、隷属の首輪が付けられ一切の自由はなくなることなどを説明する。魔力量の多い者は滅多に現れないので、そんな対策があることを大半の人は知らないかも知れない。

 ウォーレンも管理されている一人だと言ったら、アリッサの金の瞳は真ん丸になった。

 リックが真っ青になって立ち上がる。

「お嬢───お嬢様と殿下が婚約者であれば、そういう束縛は必要ないのでは」

 ……まあ、普通はそう考えるかな。王家の人間と婚約関係にあれば、ある意味、管理下にあるようなものなのだから。

 だけど、僕は第二王子だ。

「もし、王族との婚姻で隷属の首輪が免除されるというなら、僕ではなくマーカス兄上と婚約になるだろう。もしくは……父上、国王陛下だ」

「そんな!」

 悔しいけれど、これが現実だ。

 アリッサが魔法を使えることを知り、そのスムーズな扱いから(もしかして魔力量が多いかも)と思ったときの、僕の絶望感といったら!

 大きな魔力量の持ち主は、ある意味、兵器だ。

 国の中で無用な争いが起きることを防ぐため、確実に、現国王か次期国王の妃に据えられる。

 ……アリッサがマーカス兄上と?

 そんなの、仮定でも考えるのは嫌だった。

 アリッサが僕以外の人を好きになって、その人を選ぶなら……辛いけれど、受け入れようと思っていた。だけど、そうではなく、政略的な意図でマーカス兄上となんて──―絶対に納得いかない。

 ああ、でも、もしアリッサがマーカス兄上なら婚約してもいいと言ったら?

 僕は絶望して、立ち直れないかも知れない。思ったより、僕は心が狭いようだ。

 それだけアリッサのことが好きになってしまったのか、それともマーカス兄上に対する対抗心なのか。この気持ちは一体、どっちなんだろう……?

 何度も考え込んでいたことをまた脳内で繰り返していたら、アリッサの顔色が悪く、目が虚ろになっているのに気付いた。

「アリッサ!……ごめん、急にいろいろ、話しすぎた。ちょっと休もう。横になるかい?」

 アリッサは、僕に手を引かれるまま大人しくソファに横になった―――。


 温かい紅茶を淹れる。

 リックが手伝おうとしてくれたけれど、手で制した。

 僕は、わりと美味しく紅茶を淹れられる自信がある。そして、お茶を淹れるという行為で僕自身も気持ちを落ち着かせたい。

 ……お茶を飲んだアリッサが、ポロリと涙をこぼした。

 冷静になろうと思ったばかりなのに、内心、ひどく動揺する。ああ、もっと気を使って話を進めるんだった。泣かせたくなかったのに。

「……ケーキもあるよ。食べる?」

「うん」

 だけどアリッサは黙々とケーキを食べ、紅茶を飲み……やがてその綺麗な金の瞳に強い意志を滲ませて僕を見た。

「ごめんなさい。動揺しちゃって……」

「いや。ボクに配慮が足りなかった」

「ううん。アルは襲撃のあと、ずっとその心配をしてくれていたんでしょう?わたし、何も知らずにのん気にしてて……ほんと、ごめんなさい」

 アリッサは、やっぱり凄いなあ。

 短い時間でちゃんと前向きになって、その上、こうやって僕にまで気を遣うんだから。

 僕ももっともっと、しっかりしないといけない。

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