手を繋いで
本日の更新、遅くなりました!
別作品の影響か、アルの思考に頭が切り替わらなかった……。
ウォーレンと会わせるためにアリッサが王城へ来る日となった。
あのモラ湖の襲撃で意識を失ったアリッサの姿が目に焼き付いているので、もう回復しただろうか、心に傷を負っていないだろうかとここ数日、僕は落ち着かない。
……ところが久々に会ったアリッサは、初めての場所に興味津々で目を輝かせてキョロキョロしており、まったく襲撃のショックは引きずっていないようだった。
火龍公爵に以前、幽霊の話で怖がらせたことを謝ったら「もっと怖がらせても良かったのに」と言われたことを思い出す。
うん、アリッサはもう少し“恐怖心”を持った方がいいのかも知れない……。
アリッサには、新しく専属の護衛が付くらしい。
リック。
アリッサが友達だと言っていた少年だな。メアリーという侍女の弟だったか。
ほんの少し胸が焦げつく感じを抱きつつも、愛想よく挨拶する。
リックは、きちんと立場は弁えているらしい。一歩控えた振る舞いで、僕に挨拶をしてくれた。
隠者の塔へ向かうのに、さり気なくアリッサの手を取る。
アリッサは拒絶することもなく、おとなしく繋いでくれた。ちょっと嬉しい。
───意図したこととは違うけれど。
手を繋いで正解だった。
アリッサは階段を下りる最中もずっとキョロキョロしていて、なんとも危なっかしいのだ。
塔は古いので、階段は磨り減り滑りやすくなっている。ときどき、つるっと滑っては落ちそうになるので本当にヒヤヒヤした。
はぁ、決して、そのために手を繋いだわけじゃないんだけどなぁ。
後ろでリックもハラハラした様子で見守っていたが、本人は足を滑らしたことも気付かないくらい塔の内部に意識を回しているので……今後、初めての場所へアリッサを連れて行くときは、必ず手を繋いでおいた方がいいのかも知れない。
ところが、
もう少しで下に着くというときになって、アリッサがぎゅっと手を握ってきた。
どうしたんだろう?
顔を見ると、不安そうな色が漂っている。地下に迷宮があるのかとか、不思議なことを聞いてきたので、何か変な想像でもしたんだろうか?まあ、妖しげな雰囲気の塔ではあるけれど。
さっきまで元気いっぱいだったのに……アリッサは本当に分からない。
そう思ってから、そういえば今日はなんのために塔へ連れて来たか、アリッサには何も説明していなかったことを思い出した。思わずアリッサの手の甲を撫でた。
「ごめん、説明なしでこんな所に連れてこられて、不安になるよね。……今日は、アリッサの魔法の腕を知りたいんだ」
「わたしの魔法の腕?」
綺麗な金の瞳がパチパチと瞬く。
「えと……罰せられるんですか?」
ビックリした。罰するって何故。
火龍公爵に怒られたのだろうか。確かに、一人で勝手に練習するのは危ないけれど。というか、アリッサの魔法は色々と問題が出てきそうなんだけど……。
「え?危険だから10才以下の習得が制限されているだけで、別に罰はないよ?今日は純粋にアリッサの魔力量を知りたいだけなんだ」
そう説明したら、ホッとした顔になった。
まさか、塔の地下に幽閉されるとか想像してたわけじゃないよね?
遅ればせながら、誤字報告ありがとうございます。
魔法陣が魔方陣になっている箇所、多数……!
スマホで書くとき、「まほうじん」では一発変換しなかったので、「ま」「ほうじん」と分けて変換したのが失敗でした……。一発変換できなくてよく使う単語は単語登録しておけってことですね。
でも、スマホの変換があやしげな単語だらけになりそうで、登録できない小心者……。(でも、すでに予測変換は普通では使わなさそうな言葉ばかり上位に来ますが)




